第2回PEW鯨類シンポジウム“A change in climate for whales”(クジラ-未来への共通の解決策はあるのか?)は2008年1月30-31日、東京・国連大学本部に於いて開催された。
ピュー慈善財団・環境グループ(Pew Environment Group)主催による本シンポジウムは、2007年4月にニューヨークに於いて行われた第1回PEW鯨類シンポジウムに続いて2度目の開催であり、「クジラ保護枠組みの未来」に関して2008年3月に開催予定の国際捕鯨委員会(IWC)中間会合に先立って行われるものである。
PEWシンポジウムの目的は、商業捕鯨再開支持派と現行のモラトリアム(商業捕鯨の一時停止)継続支持派との間で膠着状態となっている現状打開に向けて、共通の方策を見出すことにある。ニューヨークで開催された第1回シンポジウムでは、クジラ保護団体、科学者、政府関係者および“IWC関係者”などが一同に会したが、東京でのシンポジウムでも前回の方式を踏襲し、主要な捕鯨支持国の中心地に於いてオープンな対話を促すものである。本会合には28カ国から約100名が参加した。主要なテーマは、日本の見解、紛争管理、生物多様性、今後の方策、IWCの交渉プロセスとその将来等である。
本会合は極めて和やかなムードの中で行われ、他の捕鯨問題に関する会議と異なる喜ばしい変化だったと参加者の多くが称賛していた。また、特に日本を代表する方面から意義深い参加があり、幅広い日本の視点を反映できたと評価していた。本会合では絶滅のおそれのある鯨類の保護の必要性など2~3の重要原則について合意がみられたが、意見の隔たりが残る分野が依然存在することも確認できた。一方、議論を前進させていくための提言も幾つか出された。これらの提言は本会合での議論総括とまとめ、 “コンセンサス・ドキュメント(合意文書)”ではなく“議長総括”という形で来たるIWC中間会合へ提起されることになる。
IWCとの関連におけるクジラ保護に関する歴史
大型鯨類のいくつかの種には、個体数500頭以下と極めて絶滅が危惧されるものがあり、その他の多くの種でも元々の個体数の何分の1というレベルとなっている。こうした現況を招いた要因は、中世の早い時期から始まり、国際捕鯨委員会(IWC)で1982年に採択・発効した商業捕鯨のモラトリアム措置により1986年に正式に終了となった、商業捕鯨にある。1960年代にはクジラの乱獲が行われ、年間約70,000頭のクジラが捕獲されていたことが特に多くの種が危機に瀕する原因となったと考えられる。しかし、先住民による生存捕鯨や調査捕鯨として、あるいは1982年モラトリアムに対する公式な反対の下で、今日もなお捕鯨が行われている。
1946年に締結された国際捕鯨取締条約 (ICRW、「条約」)は、“鯨族の適当な保存を図って捕鯨産業の秩序のある発展を可能にするため”、現在、捕鯨に対して規制を行っている。 1949年の発効により、ICRWは、国際捕鯨委員会(IWC)を設置した。その主たる任務は、捕鯨規制のための措置を定める条約に対して、適宜、附表について調査・改訂を行うことである。これらの措置としては特に以下が挙げられる: 特定の種あるいは資源の完全なる保護、捕鯨禁止区域(サンクチュアリ)の指定、鯨類の個体数および大きさなどの捕獲枠の設定、捕鯨解禁期および禁漁期・捕鯨水域の規定、授乳期の幼鯨または幼鯨を伴う雌鯨の捕獲制限などである。検査方法に関する諸規定を盛り込み、「捕鯨船」の定義に航空機も含める定義の拡大を行った1956年の議定書改正を除けば、1946年以降、条約本体の改正は行われていない。
ICRWを公式に遵守するあらゆる国に対してIWC委員になる道が開かれており、現在は78名の委員がいる。各締約国からは政府代表(コミッショナー)が選ばれ、専門家およびアドバイザーらがその補佐を務める。IWCは毎年会合を行う。2008年5月にはチリ・サンティアゴに於いてIWC年次総会が開催される予定だが、これに先んじて本年3月にはIWCの将来について討議するための中間会合が英国・ヒースローにて開催予定である。
IWCには、発足以来、科学委員会、技術委員会、財務・運営委員会という3つの主要な委員会がある。技術委員会が活用されることがなくなったが、新たな保護委員会が発足し、2004年に初会合が行われた。その他に、先住民の生存捕鯨の問題や条約違反(規則違反)に対処するための下部委員会や幅広い問題を解決するためのアドホックワーキンググループ(特別作業部会)がある。
条約は、附表の改正は「科学的な知見に基づくものとする」ことを定めている。そのため、IWCは、主に加盟国政府からの推薦を受けた世界有数の鯨類生物学者約200名から構成される科学委員会を発足した。科学委員会は、IWC年次総会の直前に約2週間の会合を行うが、会期間に会合を行う場合もある。
科学委員会の情報と助言は、IWCが附表に盛り込まれる捕鯨規制を策定するための基礎を成すものである。附表の改正には、IWC委員による多数決で全体の4分の3という賛成票を必要とする。各種規定は、IWCの採択を受けた後、条約加盟国の国内法を通じて実施される。
近年になって科学委員会は鯨類資源の包括的評価の作業に集中し、その結果、様々な鯨類資源の捕獲枠設定において適用する改定管理方式(RMP)が策定された。改定管理方式(RMP)は1994年にIWCの受諾・承認を受けたが、未だ実施には至らず、改訂管理制度(RMS)の交渉は決着がついていない状況だが、1996年以降の交渉の下で、今後はRMPの遵守を確保するための検査および観察に向けた枠組み構築を行うことになる。
1982年のIWC年次会合で、1985/86年以降、すべての鯨類資源の商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)に対する決議が行われた。日本、ペルー、ノルウェー、 ソ連が自国への法的拘束力が及ばないようモラトリアムに対する異議申し立てを行った。アイスランドは、意義申し立てを行わなかったものの1992年にIWCを脱退した。2002年にアイスランドが再加盟した際にモラトリアムに対して遡及的に異議申し立てを行って2006年に捕鯨活動を再開したが、2007年8月に鯨肉の需要不足により捕鯨は一時中止されることとなった。今日、捕鯨国と考えられるのは、ノルウェー、アイスランド、日本だけであるが、ノルウェーとアイスランドがそれぞれの異議申し立てとして、日本は調査捕鯨と称して、捕鯨活動を行っている。 さらに、デンマーク(グリーンランド)、ロシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島 、米国(アラスカ)の先住民コミュニティの一部が生存捕鯨に従事している。
モラトリアムに加えて、インド洋(1979)および南洋(1994)に 2つのサンクチュアリが設定された。
IWCでの議論は高度に分極化している。捕鯨論争のなかで提起されている主な論点は、クジラを捕食動物と見なし漁獲管理目的で“処分(淘汰)”すべきであるという考えを容認できるかどうかという問題である。さらに、捕鯨支持国が提案しているモラトリアム解除と現行のサンクチュアリ廃止については、ICRWの目的として特に“鯨類資源の最適活用” と定められた規定に違反する規制なのかどうかという点が問題となっている。一方、反捕鯨国は、モラトリアム措置にかかわらず、近年、特に科学調査を目的としてクジラを殺すことを認める特別許可証の利用によって、漁獲量が次第に減少しているとして懸念を表明している。IWCのデータによると、 2006-2007年に捕獲されたとの報告がある1826頭のクジラのうち、926 頭が日本とアイスランドの調査捕鯨によるものだった。これによると、日本は、ミンククジラ705 頭、ナガスクジラ3 頭、 マッコウクジラ6頭、 イワシクジラ101頭、ニタリクジラ51 頭を捕獲したと報告している。また、アイスランドは、ミンククジラ60 頭を捕獲したと報告している。2006-2007年には、モラトリアムへの異議申し立ての下、ノルウェーはミンククジラ545 頭を捕獲、アイスランドはナガスクジラ7頭とミンククジラ1頭を捕獲している。先住民の生存捕鯨としては、2006年にミンククジラ (西グリーンランド) およびコククジラ(ロシア・チャクチ族)を中心に374頭が捕獲されたと報告されている。
CMS COP-7:「移動性野生動物の保全に関する条約」(ボン条約)第7回締約国会議は、2002年9月、ドイツ・ボンに於いて開催された。同会議では、ナガスクジラ、イワシクジラ、マッコウクジラを同条約の附属書IおよびIIの対象種とし、南極ミンククジラ、ニタリクジラ、およびコセミクジラを附属書IIの規制対象種と定める決議を行った。
CITES COP-12: 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)第12回締約国会議(以下、CITES)は、2002年11月、チリ・サンティアゴに於いて開催された。ミンククジラおよびニタリクジラの鯨類二種を条約附属書Iから附属書IIへ移行させるという提案などが否決された。
IWC-56: 第56回IWC年次総会は(IWC-56) は、2004年7月、イタリア・ソレントに於いて開催された。南太平洋および南大西洋におけるサンクチュアリ設定をもとめる提案は採択に必要な4分の3の支持票を獲得できなかった。その他、南洋サンクチュアリ廃止案、南極ミンククジラの捕獲割当案、沿岸小型捕鯨の割当案などの日本提案はすべて否決された。
CITES COP-13: 第13回CITES締約国会議は、2004年10月、タイ・バンコクに於いて開催された。日本からはRMSの完了・実施を求める決議案とミンククジラ3種を附属書IからIIへ移行させるという提案が出されたが、いずれの提案も無記名投票により否決された。
IWC-57: 第57回IWC年次総会は、2005年6月、韓国・蔚山に於いて行われた。日本からは、無記名投票という投票方式の拡大やモラトリアム撤廃等を目的としたRMSの改定、現行の南洋サンクチュアリの廃止、沿岸地域によるミンククジラ年間捕獲割当150頭の許可などを求める提案が出されたが、IWCはこれらの提案を否決した。また、ブラジルとアルゼンチンからは、南大西洋サンクチュアリに関する提案が出されたが、必要な4分の3の支持票が得られなかった。また、南極における調査捕鯨を目的とした漁獲量に関する日本提案を撤回もしくは修正するよう、日本政府に対して強く要請する内容の決議案が可決された。
CMS COP-8: CMS COP-8は、2005年11月、ケニア・ナイロビに於いて行われ、クジラ目の保護に関する決議案8.22が採択された。この決議は、特に、すべての関連セクターにクジラ目の保護を盛り込むよう求め、CMS事務局と科学委員会(Scientific Council)、IWC、その他の国際機関などの間で連携を図るよう促すものである。
IWC-58: 第58回IWC年次総会は、2006年6月、セントクリストファー・ネーヴィス(セントキッツ・ネーヴィス)のフリゲートベイに於いて行われた。膠着状態に陥ってしまったRMS交渉を前進させるという課題に対して参加者の意見が一致した。ブラジルとアルゼンチンによる南大西洋サンクチュアリ提案は投票にかけられなかった。沿岸地域によるミンククジラの年間捕獲数150頭の割当許可および南洋サンクチュアリ廃止をもとめる日本提案は、またも投票に破れる結果となった。 捕鯨特別許可に関しては、何らの合意に至ることはなかった。一方、IWCは、日本をはじめとする数カ国から提案された「IWCの機能の正常化」に取り組むことを明記した「セントキッツ・ネーヴィス宣言」を採択した。同宣言に反対票を投じた幾つかの締約国は、宣言が採択された後、正式にIWCとの関係を断った。
正常化会合: IWC正常化会合は、2007年2月12-16日、「資源管理組織としてのIWCの機能を再開させるための具体的措置の提示」を目的として、日本・東京に於いて開催された。日本はIWC加盟国すべてを招聘したが、同会合に出席したのは35ヶ国のみという結果となった。しかし、IWCがこうした不参加に対して公式に制裁を課すことはなかった。IWC加盟国のうち26ヶ国が不参加を決めた。結局、同会合では無記名投票に対する要望や沿岸地域によるミンククジラの捕鯨枠拡大を求める日本案などを含め、2007年のIWC年次会合に向けて、一連の勧告を出すということになった。
PEW鯨類シンポジウム: 第1回ピュー慈善財団主催鯨類シンポジウムは、2007年4月12-13 日、米国・ニューヨークに於いて行われ、保護団体や科学者、政策専門家ならびにIWC関係者ほか、内外から参加者が集まった。現在の取決めについては異論が多いものの、クジラ保護のために利用できる最善策であるとの意見が一部から寄せられた。また、現状を改善するための方策として多くの提案が出された。例えば、調査捕鯨の利用撤廃もしくは制限を目ざした条約の修正、新ルールへの条件付け(あるいは脱退)などの規定廃止、例えば独立世界委員会といった組織の設置による“より上位の監督機関”を通じた紛争解決、閣僚会議の実施、あるいは相互合意に基づく法的拘束力ある調停・仲裁手続きなどに関する提案などがあがった。また、捕鯨に対する政府補助金制度の問題を含めて捕鯨の経済問題についても研究すべきだという提案や、今後もこうしたシンポジウムの開催をもとめる声もあがり、日本で第2回会合を開催する運びとなった。
IWC-59: 第59回IWC年次総会 (IWC-59)は、2007年5月28-31日、米国・アンカレッジに於いて開催された。南大西洋のサンクチュアリ(禁漁区)に関するブラジル及びアルゼンチン提案について再度投票が行われたが、4分の3の多数決となる支持票を獲得するには至らなかった。また、先住民生存捕鯨に関しては、2008-2012年にアラスカのイヌイットがホッキョククジラ280頭の捕鯨割当を認められた。IWCは、日本に対し、ひきつづき調査捕鯨の許可証発行を差し控えるよう求める決議を可決した。また、クジラの致死的調査、CITESとの関係性、小型捕鯨などに関する決議が出された。日本の沿岸地域でのミンククジラ捕獲に関する問題については、コンセンサスが得られなかった。
会合レポート
開会
1月30日(水)、ピュー慈善財団・環境グループ常務取締役のヨシュア・S・ライヘルト氏がシンポジウム開会にあたって歓迎の辞を述べた。本会合に日本代表者の参加があったことの意義を強調した。会議はチャタムハウスルール(the Chatham House Rule)に則り、発言者の所属にとらわれることなく個々が発言を行い、率直な対話ができるように執り行うと述べ、各代表の発言はあくまでも個人の見解であり、必ずしも出身国政府や組織を代表するものではないという点を強調した。また、話し合いでは、いがみ合いを避けて、全員が受け容れられるような解決策を見つけることに専念するよう参加者に求めた。
国連大学コンラッド・オスターヴァルダー学長に代わって、国連大学(UNU) ・環境と持続可能な開発プログラム(ESD)のスリカーンタ・ヘーラト博士が歓迎の式辞を述べた。ヘーラト氏は、本会合は議論を進展させるための方策を見出すため日本が取り組んでいることを示すものであるとし、日本国内においても様々な意見が存在するということを証明するものだと述べた。
また、国際捕鯨委員会(IWC)は国連の機関ではないものの、国連海洋法条約(UNCLOS)、生物多様性条約(CBD)、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)、「移動性野生動物の種の保全に関する条約」(CMS)をはじめとする多くの国連条約が捕鯨問題と直接係わりをもっていることに言及した。ヘーラト氏は、鯨類は現在、1946年に国際捕鯨取締条約(ICRW)が締結された当時には予想しえなかった多くの脅威に直面しているとし、予防策を講じる必要があると強調した。
本シンポジウムの座長を務めたツィロマ・ネロニ・スレイド氏(国際刑事裁判所・元判事)は、モラトリアムなどの議論で多極化が起こっていると指摘し、こうした議論の法的・政治的・経済社会的な影響について強調した。 さらに、主要な捕鯨国側は“文化的多様性の軽視、交渉における善意の欠如、科学的原理の軽視、感情論”などがあると主張していると指摘し、とりわけ、調査捕鯨や国際捕鯨取締条約(ICRW)と商業捕鯨モラトリアム(一時停止措置)との親和性、サンクチュアリの設定および侵害等が議論の争点となっているとの指摘があった。スレイド座長は、参加者に建設的で創造的に取り組むよう説き、公式方針にとらわれず自由に議論するよう求めた。また、ICRW改正の是非論を重点的に議論するよう求め、改正の場合はどのように改正すべきか議論するよう促した。昨今の捕鯨関連会議では希望のもてる素地を成していたとし、本会合では日本の視点と意見の分裂を生んでいる潜在的な原因について焦点をあてる予定だと述べた。
捕鯨論議の現状: 日本の視点
森下丈二氏(水産庁・漁業交渉官)は、「(日本は)資源が豊富な鯨種については持続可能な利用を行い、絶滅が危惧される種や枯渇している種については保全するといったバランスを重視している」と述べ、“持続可能な利用”とは科学的に設計された方法に基づいて算定された厳格な捕獲割当枠の下、モニタリングやコンプライアンス措置に裏付けられた捕鯨活動を行うことを意味するものであると明言した。また多くの種の資源は豊富にあり、現在、個体数が増加、回復しているとし、IWCの科学委員会が改定管理方式(RMP)でリスクを回避できる捕獲頭数算定法を確立してきたと述べた。また、現在、行われている捕鯨活動は主に食糧供給のためであり、限られた市場向けのものであると指摘。ICRW附表では「モラトリアムは最良の科学的助言に基づき、見直される」と規定されていると強調した。
森下氏は、調査捕鯨の合法性と正当性について論じ、捕獲されたクジラの大部分が即座に捕殺されていることを指摘。捕鯨活動の中止は、持続可能な利用原則の選択的適用、科学及び国際法の無知、特定の価値観の押しつけ、感情論と世論に基づく政策決定等を伴うものであると強調した。また、現在、包括的な管理枠組みが欠如していることが残念であるとし、解決のための3つのオプションは、1) IWCの中で持続可能な規制の下での捕鯨活動を実現するための冷静かつ理性的な議論の実施、2) 持続可能で科学に基づいた方法による捕鯨管理を行うための新組織の設置、3) 現状維持、であると説明した。
鯨類科学者の粕谷俊雄氏は、日本の捕鯨の歴史について説明し、現在の行き詰まりは利用可能な唯一の組織たるICRWが時代遅れとなってしまっていることになると指摘した。また、日本の調査捕鯨は科学的な価値があいまいであると指摘し、成長が遅く繁殖率も低い大型鯨類を年間1000頭近く捕殺していることに対する倫理観を問うた。また、粕谷氏は、日本人の大半がICRWの抜け穴を利用することに寛容であるため調査捕鯨を受け入れているのだと述べたが、日本には商業捕鯨は必要ないと主張した。
粕谷氏は小型鯨類の漁業は中止すべきであると論じたが、その根拠として、現行の管理体制では透明性が欠如していること、検査および統計データが不十分であること、漁業方式が社会構造やクジラに係る文化的多様性を損ねるものであるということ、また安全なハクジラの管理体制というものは存在しないからという点を挙げた。また、日本の調査捕鯨はICRWを誤用しており、科学者や政府、捕鯨産業を腐敗(corruption)させるものであるとし、日本の調査捕鯨を終了させるよう提案した。さらに、現在、日本鯨類研究所に務める科学者に対して新たな雇用先を提供し、オープンに情報にアクセスでき、研究の機会が得られるようにすることを提案した。
星川淳氏(グリーンピース・ジャパン事務局長)は、現在の日本の捕鯨政策、特に調査捕鯨に関する政策は国益にかなっていないと論じた。グリーンピースのビデオ映像を見せながら、世論調査の結果により日本国民の意識の欠如と捕鯨問題への支持が分かると指摘し、南洋捕鯨の正当性に疑義を唱える世論が高まることを求めた。同氏は、これが国内政策の責任問題であり、IWCでの票買いといわれる行為は非倫理的かつ税金の無駄づかいであると示唆した上で、捕鯨活動をナショナリズムの問題のように捉えるのは日本の国益にはならず、国際連盟を脱退した日本とIWCの交渉を渋る日本の姿を重ね合わせるような発言を行った。
星川氏は、交渉を進展させるには、双方が過ちを認め、責任の擦り合いというパターンに終止符を打たなければならないと述べた。バランスの取れた国内外の報道と情報をもとにした日本国民の意志決定が必要だと強調し、日本の民主主義が危うい状況にあると示唆した。
その後の議論では、捕鯨問題で使用する言葉もデリケートな問題であり、議論の前進には慎重な言葉遣いが必要であると複数の参加者から指摘があった。
捕鯨の文化的な背景も論点のひとつである。ある参加者は、日本で捕鯨が文化の問題となったのはごく最近のことであると示す調査研究を紹介した。文化と倫理観の違いは常に存在する問題だとして、ある参加者からは持続可能性の議論に専念するべきだとの提案があがった。
遠洋捕鯨がさらに拡大する可能性があるとの懸念が参加者より示された。それはさらに、資源の過剰利用に対する一般的な懸念を反映するものとなった。 別の参加者は、捕鯨問題は資源管理問題として見るべきであり、商業捕鯨の再開は無制限の捕鯨の容認を意味するものではないと示唆した。クジラの致死的利用と非致死的利用は潜在的に両立可能であるとの見方が示された。
数名の参加者からは、数値目標を含めて、明確で合意にもとづいた“調査捕鯨”の定義が必要であるとの声が上がった。捕鯨の科学調査としての妥当性については、主要な目標が全く達成されていないと指摘する声が多かった。
「致死的調査に際して、日本では、他の国々で行われるような厳しいチェックと第3者独立機関の監視が入っているか」という質問が参加者から寄せられた。IWCがこの点を十分に規定しているかという点に議論が及んだ。
容認できる“残虐性のレベル”について議論すべきだとの声もあがった。別の参加者が、一般的に炸裂銛が最良の捕殺方法だとされているが、人道的とされる度合いを設定するのは困難であると指摘し、これまでに著しい改善が見られ、ごく一部の否定的な例外を除いては注目されている“致死時間”がひとつの有効な目安となると示唆していた。
捕鯨の経済価値と政府補助金の問題について実質的な議論が行われた。政府補助金は、単に補助金なしではやっていけない業界の存続のために使われているとの見方が一部の参加者から寄せられた。しかし、その業界が役割を果たし、環境面で持続可能である限りにおいては経済的な尺度は問題にすべきではないというある参加者の声があがった。これに対して、現在の民営化の流れの中で、なぜ日本の捕鯨産業だけが今も国によって管理されているのかと疑問を提起し、捕鯨予算の7割がプロパガンダに使われ、環境省が意志決定の場から排除されており、日本の科学者には自分の仕事にほとんど裁量がないと指摘する声があがった。
IWC内部での潜在的な変化については、IWCに代わる組織を設立することができるかどうか、あるいはIWCと平行して運営できる組織を発足させられるかどうかという点が討議された。この提案については懸念も寄せられたが、他方でIWC内での交渉を進展させられない場合のセーフティーネットとして意義があると擁護する意見もあがった。
一部参加者が、政治家が無視できない世論の存在について強調した。「政府から一方的な情報が流される中にあっても、捕鯨に関する日本の世論は国際世論と同調する傾向があり、日本人の多くが鯨を保護すべきだと考えている」との発言があった。同氏によると、日本人の69%が遠洋捕鯨に反対しているが、同時に「外から口出しされたくない」という考えであるという。日本の世論形成要素の評価を求める声があがったが、ある参加者からは「世論は必ずしも文化を適切に反映するものではなく、日本では捕鯨論議は“民間vs国”という問題になっているようだ。」との意見も出された。
「コンフリクト・マネジメントと生物多様性~政府・NGO・民間部門による意見交流」
森島昭夫氏(日本気候政策センター理事長)は「コンフリクト・マネジメントには、基本的な問題や危機にある利害理解について理解すること、紛争解決に利用できるツールを特定すること、という2つの部分がある」とし、ICRWおよびCBDは、賛成と反対派の論議の対応に利用できるツールであると述べた。また、そこで対処すべき主な問題として、1)持続可能な利用、2)調査捕鯨、3)政府以外の団体の役割があるとまとめた。
さらに、森島氏は、両者が合意できる落としどころを見つけるためには、法的なツールだけを重視するのではなく、政策対話や説得という方法が必要であると指摘し、科学こそがそうした対話の基礎を築くのだと強調した。
その後、ホアン・マヨール氏(コロンビア前環境大臣)が、バイオセーフティー議定書交渉の議長を務めた際の経験についてスピーチを行った。交渉における課題は、さまざまな代表団の間にある不信感をのぞくことであるとし、バイオセーフティー議定書以外の難しい交渉にもあてはめられる8つの重要な教訓を紹介した。すなわち、1)信頼を築き、すべての締約国の意見を慎重に聞く2)議長の友(Friends of the Chair)といった特別なポジションは避ける、3)透明性を促進する、4)交渉の場の雰囲気を変える、5)コミュニケーション戦略と議論のフォーマットという観点でいえば“箱の外”で考える、6)高官レベルを確実に参加させる、7)議長を支援してくれる強力なチームをもつ、8)参加者に交渉のロードマップについて言い聞かせる、ということである。
さらに、マヨール氏は、難しい問題については小グループでの交渉が意味を持ち、メディアの関与や世論の圧力、直接的な経験を通じて得られる文化の理解などが重要であると指摘した。
国連環境計画(UNEP)オリビエ・ドゥルーズ氏は、 国際交渉で複雑な問題を解決するには幾つかの段階を踏む必要あるとし、第1段階としては、問題点や意見が一致している分野、決裂分野、不確実な分野等に関して共通基盤を探ることを含め、事実固めをすること。第2に、環境的健全性、社会的受容性、経済的実現可能性、文化的実行可能性、代替的な視点の尊重に配慮して今後可能な解決策を特定することであるとし、価値判断や情緒的な側面は無視できないと指摘した。そして、第3段階が、成功のための闘いで、様々な打開策を試して革新的な解決策を実行していくのが理想であると述べた。
国連大学高等研究所(UNU-IAS)所長および国連ミレニアム生態系評価(MA)の元共同議長のA.H. ザクリ氏に代わって、同じく国連大学高等研究所のサム・ジョンストン氏が、生態系評価の事例紹介に続いて、科学に準拠した政策推進に向けた効果的な参加型テクニックについて述べた。生態系評価については、地球の生態系および生態サービスの現状を検証するための初の国際的な取組みであり、信頼できる情報の提供、科学者の幅広い合意事項の明確化や未解決事項の解明を行い、将来の生態系の変化を見定めるためのベンチマークとしての機能を果たしていると述べた。
ジョンストン氏は、国連ミレニアム生態系評価(MA)について、95カ国1360名の専門家が参加し、独立機関の監督と860名の専門家と各国政府のピアレビューを受けて実施された画期的な試みだったとし、そこから得た教訓について触れた。なかでも最大の成果といえるのが多様な専門化グループ間に共通する合意点を見出すことだったとし、効果的な参加の構成要素は、実行を可能にするような環境づくりや途上国の活動支援、意見を率直に伝えるとともに人の意見を傾聴する姿勢、活発な運営委員会、共通基盤を見つけるためのコミットメント、平和的な異議申し立て等であると述べた。
さらに、科学と政策をつなげる必要があると強調し、そのためには、実行を可能にするような環境づくり、堅牢なデータ、ピアレビューのプロセス、規範的な調査より政策に関連した調査、効果的な成果の伝達、オープンで透明性があり、現代的かつ受容的な環境もしくは政策決定フォーラム等が必要であると述べた。さらに、捕鯨問題やその他の問題について固定的な基準というものは存在しないと強調し、恒常的に評価を実施する必要があると述べ、これまでも捕鯨よりももっと複雑な問題も善意と協力によって解決してきたのだと述べた。
その後の議論では、ICRWの締約国は他の分野の基準や規範に関わる交渉に携わっており、それが今後の交渉を進展させていくための土台を構築しているとの指摘があった。一部の参加者からは「捕鯨問題の交渉行き詰まりは2,3の締約国だけが捕鯨論議に深く関与していることが原因」との声があがる一方で、直接的で顕著な脅威に対する共通認識の欠如が原因だとする意見も聞かれた。
また、様々な捕鯨交渉の経験の適用性についても議論が展開した。アフリカ象の管理を含め、捕鯨に関して連絡しうる追加的なケースについて強調する参加者が数名あったが、争点の分野が平行線をたどっているとして疑問を呈する参加者もあった。往々にして、非致死的調査の結果が致死的調査の結果と異なるということがあり、ピアレビュー(研究者の査読)を受けた最も有益な情報を含む論文が非致死的な調査を材料にしていることがあるというと指摘するコメントもあった。
国際社会はなぜIWCを回避して行動しなかったのだろうかという問いが投げかけられたが、新体制で何度か試みられたものの結局頓挫してしまったのだという指摘があがった。ある参加者からは、例えば、テクノロジー等の他の問題で良好な関係を構築した上で交渉を行えば、意見の対立している国々との間の捕鯨交渉を推進していけるのではないかとの意見があがった。
分極化したIWC内部のムードを一新するための戦略としては、IWC会合に高官レベルの即時参加を要請する案とその対案としてまずは科学上の明確さを追求するべきだという二案が出された。科学は健全なる管理体制の根拠を成すものだが、多くの決議は政治的であるという主張が聞かれた。また、交渉において何が必要とされるかという点については、“信頼醸成”、“相違点ではなく共通部分からの作業開始を出発点とする”、“革新的なアイディアを生かす余地を認める”、“外交と利用可能な最善の知識をもって様々な代替案を模索する”、“共同責任という意識の醸成”等の意見があがった。“フラストレーションを熱望に変換させられれば…”と示唆する声もあった。
国以外の主体が担うべき役割については、意見の対立が浮き彫りになった。「非政府組織(NGO)やメディアは国民の関心を集めようと努力しており、政治家の力添えもありがたいが、感情的なアプローチがIWC内部の問題解決の妨げとなっている」との指摘があった。本質的な問題に関しては、非国家主体が主な意志決定者にブリーフィングを行えるようなメカニズムの設置が一つの選択肢として提示された。また、この問題に関して日本ではNGOの参加がないと心配する声もあった。別の出席者からは、日本政府だけが怠慢だと責められるべきではないと認める意見も示された。
“現状維持”案については、それではみすみす状況悪化を招くことになりかねないとの警戒する意見があった。別の出席者は、国際社会は日本の捕鯨活動完全放棄を期待することはできないとし、締約国の中で日本だけが譲歩するということがあってはならないとの主張もあった。
1972年にストックホルムで開催された国連人間環境会議の象徴的な意義について言及しながら、商業捕鯨モラトリアム(一時停止措置)が撤廃されれば環境にとって深刻な打撃になるとして、モラトリアムを求める声があがった。
2010年に予定される生物多様性会議(CBD)第10回締約国会議(COP-10)について、日本が開催国となる可能性もあるとし、CBD-COP10でIWCとの合同会合開催案が、ある出席者より提起された。
「共通の解決策を目指して」
スレイド座長より1月30日(木)の会議内容について紹介があり、広中和歌子氏(参議院議員)および黒川清氏(内閣府総合科学技術会議議員)を特別に歓迎するとの挨拶があった。
エデゥアルド・イグレシアス氏(IWC・アルゼンチン政府代表)は、捕鯨論議のデリケートな性質について触れ、IWCが難局を打開する上で直面している数々の難問について述べた。特に調査捕鯨への非難表明として、アルゼンチン、ブラジル、チリ、メキシコが提起した2005年の「ブエノスアイレス宣言」について紹介。IWC内で聞かれるもっと多様な見解の重要性について振り返りつつ、ハイレベル交渉の必要性を説き、異なるブロック間の小会合を通じた信頼醸成、意見の分かれる項目について討議するためIWC内の作業部会設置、市民社会の参画推進、IWC内での議論促進などを提案した。
また、2008年6月にチリで開催予定の第60回IWC年次総会で何らの解決策が見出せなかった場合は、締約国はIWCに対する各々の信任度を問い、これらの交渉権限を外交の場に移すことも検討すべきだと示唆した。さらに、国際司法裁判所(ICJ)が各条約のなかでの国家行動を審判する場となりうるのではないかと示唆した上で、法的拘束力を伴わない手法に価値があるかどうか疑問であるという見方を示した。
リチャード・コーワン氏(IWC・英国政府代表)は、「“機能不全、死に体のIWC”という評価は、これまでのIWCの業績をないがしろにするものであり、国際交渉の現状を否定するものだ」とし、例えば1982年のモラトリアムはこれまでいかなる環境交渉の場でも講じられなかった最も思い切った方策であり、プラスの効果であると強調した。
同氏は「主要原則を犠牲にしなくても共通基盤に立つことは可能だ」と述べた。 また、反捕鯨国の中には商業捕鯨の再開支持に全く価値を見出していない国もあれば、(捕鯨反対というポジションは)それほど強固に堅持すべき方針だとは考えていないかもしれない」と述べ、「後者ならば、少なくとも、非常に予防的なアプローチの採用、すなわち、科学という名の下で行われる致死的調査活動の全面中止とともに、現代の漁業協定のベストプラクティスを踏まえ、また、完全なる国際的な監視を伴う、商業捕鯨の実施に関する透明性と信頼性ある一連のルールを全ての締約国が採用するように要求するだろうと思われる」との考えを示した。
さらに、コーワン氏は、妥協案に含めるべき項目を次のように示した。すなわち、現行のサンクチュアリ承認と新たなサンクチュアリ設定、研究およびモニタリングの向上、場合によっては実績に基づいたRMP改正、衝突、もしくは捕殺された鯨の福祉(welfare)に関するデータ収集、致死的工程に関する明確な基準設定による鯨のストレス・苦痛の緩和、現行の調査捕鯨による捕獲頭数を大幅に下回る捕獲割当枠の設定である。
現行の捕鯨作業はICRWの下で合法的な行為であると強調した上で、コーワン氏は「自分が勝てない勝負と見たときに、引き分けのためにプレイするのは名誉ある、勇気ある行為である」と述べ、「両者がこれを認識すれば、現在の緊張関係の一部はほぐれ、IWC会合の回数も減らし、もっと友好的なムードで実施できるのではないか」と締めくくった。
佐藤哲氏(長野大学教授)は「国際的なプロパガンダや世間の認識はともあれ、捕鯨支持派・反捕鯨派、どちらの言い分も理解できる」とし、「日本人は際限なく捕鯨を求めている残酷な野蛮人なのではない、反捕鯨国もひたすら感情的になって科学調査に理解を示さないという訳ではない」との見解を示した上で、絶滅の危機に瀕した種の保全などを含めた共通の目標について討議することにより相互の信頼を築き、比較的に豊富な鯨類の捕獲については重要な保護問題とはならないと認識すること等が必要だと提言した。また、佐藤氏は、特定種に対する価値観は文化的背景に依拠すると述べ、多様性の尊重を求めると述べた。一部の締約国がある種の消費を支持する場合、持続可能で、倫理的で人道的な方法で捕鯨が行われるならば、これを反対する理由はないとし、致死的、非致死的な資源利用の両方が共存可能であると述べた。
佐藤氏によると、適応管理が科学的な不確実性に対応するための最も強力なツールであるとし、国の支援を受けた調査を通じた長期的なモニタリングの価値を強調し、そうしたモニタリングが適応管理の基礎となり、知識の蓄積、予測不能なシステム変化に対するベースラインを提供することになるのだと述べた。また、調査捕鯨をあらためて設計し直すよう提案し、これが捕鯨国以外の国々との対立を最小限に抑えるとし、持続可能性、捕獲頭数を最小限に抑制すること、RMPのような適応管理の手続き順守が必要であると指摘した。
ヘザー・ソール氏(世界自然保護基金 (WWF) 英国)は、スーザン・リーバーマン氏(WWFインターナショナル)の代理でプレゼンテーションを行い、IWCに対する主な提言として、生態系ベースの管理方式の適用、ガバナンスの近代化、小型鯨類の保全、共通目標に関する合意などを掲げた。
ソール氏は、生態系を基にした管理アプローチは地域の生活の融和、抽出産業の存続および種の保全を可能にするとし、IWCは同アプローチを採用してこなかったということで突出した存在だと述べた。ガバナンスについては、紛争解決に関する規定づくりを含めた提案を紹介し、IWCが国連海洋法条約(UNCLOS)と類似した手続きを採用できるのではないかと示唆した。また、持続可能性や予防的アプローチ、事前の環境影響評価、透明性の拡大、情報アクセス、市民参加の重要性について言及した。小型鯨類の保護を拡大する必要があると強調し、協調的な保全および管理が重要であると述べた。
ソール氏は、IWC改革案として、科学委員会における新たな課題の重点化、科学委員会の知見に関する本会合(プレナリー)での討議、保全委員会による脅威の緩和に関する具体的な前進、本会合の機能改善を掲げた。また、こうした変革がなくては、保全面で成功を収めるという希望的観測を描きにくいと指摘した。
その後の討議では、“手詰まり状態のマネジメント” (managing the impasse)、“共通の解決の模索(looking for a way forward)”というアプローチについて賛否両論の議論を行った。 “forward”という言葉は様々に解釈できるとの指摘を受け、数名の参加者がIWC締約国という立場に挑むような発言を行い、これまでは“現状“に安穏とするような心情があったことを示唆した。
ある参加者は捕鯨反対の立場について取り上げ、船体との衝突や漁網にからまっての混獲といった原因により、捕鯨国の捕獲頭数以上に反捕鯨国によって、毎年多くのクジラが死んでいると言及し、外国の援助が途上国による乱獲を支えていることもあると述べた。
小型鯨類の管理についても議論が行われた。地域協定によって小型鯨類の管理は十分に行われているという見方が示される一方で、これはIWCの枠組みの中で対処すべきであるとの意見もあった。現在のRMPは小型鯨類やハクジラの管理に適用されないとの指摘があった。日本の小型捕鯨を先住民生存捕鯨と見なしうるかという問題については、そもそも日本政府は沿岸地域のコミュニティを正式に先住民と認定していないとの指摘があった。
シロナガスクジラの回復を阻害するということを根拠に、ミンククジラの間引きが必要とする考え方もあるが、ある参加者はこれを否定する立場から、海生哺乳類が漁業に何ら大きな影響を与えていないとする調査結果を示し、「漁獲量が減少している原因がクジラだと言うのは、キツツキが森林伐採の原因だと言っているようなものだ。」との意見を述べた。
持続可能な利用および管理という観点からは、果たして捕鯨を全面否定、あるいは全面的に受容れるという問題と切り離せるかどうかとの疑問が提起された。これに対して、捕鯨問題は、集団の大きさに関わるゲーム理論の問題ではなく、資源の衡平分配、および生物多様性を共有するための管理枠組み構築という権利に係わる、もっと根深い問題なのだと示唆する意見があがった。
相互不信という現況から脱却する方策に関しては、一般に目に見えるかたちでの協力調査プロジェクトを発足させることだとの提案があったが、「交渉には信頼は必要ない。単純に交渉のテーブルに座って討論する意思があるかどうかという問題だ」とのコメントもあがった。 また、捕鯨問題の根底にある価値システムについても参加者の関心が寄せられ、文化的多様性と相互尊重を考える必要があるとの見解が強調された。共同調査については、調査成果に対するアクセス権および管理という側面から更なる議論が行われた。 科学者以外の人たちが科学知識にどれだけアクセスしやすいかという点が重要であると強調された。
また、西アフリカからの視点として、データへのアクセスが出来ず、NGOの参加も少ないと状況が紹介された。
生態系ベースの管理アプローチの問題については、改定管理方式(RMP)はこうした原則に則るべきだとの提案の一方で、RMPは複合的な生態系目標に対する余地がほとんどないとして先の提案に反対する意見もあがった。
今後の道筋については参加者から具体的な提案がいくつか出された。日本が一定期間に完全に捕鯨を停止し、温暖化防止に全精力を傾けるべきだとの提案や、IWCが新たな国以外からの参加者に対してオープンに会合を開くことが唯一の道だとする案も出されたが、NGOはすでにIWCに関わっているとの反論が出された。ハイレベル(高官級)の参加者を参画させるという意見については参加者の見解はさまざまに分かれた。共通基盤および相違点の両方を明確にするために、対立見解を有するNGOを招いて、IWC第60回年次総会に先立って至急、IWC議長による下位レベルのフォーラムを開催すべきだとの提案もあった。
ピュー環境グループ主催の本シンポジウム向けに用意された背景文書については、クジラの保全および捕鯨は相互排他的な問題なのではないとして、国ごとに“捕鯨支持国”と“保全支持国”というように分類すべきではないとの批判があがった。さらに、両者を団結させるには、もっと客観的な背景文書であれば有益だったとの所感が述べられた。
ラウンドロビン・セッション: IWCの将来に関するプロセス
1月31日(木)には、英国放送協会(BBC)のリチャード・ブラック氏がモデレーター役となって“IWCプロセスとその将来:英国ロンドン・ヒースローに於いて2008年3月に開催予定のIWC中間会合への提言”とのテーマの下で、ラウンドロビン形式の話し合いが行われた。
根本的な懸念事項: 捕鯨活動を継続させる潜在的なモチベーションとなっているものは何なのかという議論が行われ、長期的な国家の食糧安全保障の維持、国民の食生活に対する主権の擁護、地元民もしくは国民の自尊心の保護、持続可能な利用原則の順守などがそれに当たるとの見解がまとめられた。後者に関しては、持続可能性の問題以外に何らかの根拠を挙げて捕鯨を禁止することは将来的に他の海洋資源の規制につながる可能性があるとある参加者が懸念を示した。これを受けて、別の参加者がクジラは魚類ではないと強調することによってこうした不安をとりなすことができるだろうと示唆し、それゆえに漁獲量規制のための動機として鯨類の致死的利用の中止が利用されるということはないだろうとの見方を示した。
科学の役割: 捕鯨論議が生態的関係を含めた科学知識の向上の恩恵を得ているという感覚は参加者全体が概ね共有していることだった。一方で、鯨類科学者の間では議論の場がIWCから離れてしまっており、世界規模の鯨類研究の分断化が進んでいるとし、IWCが近年、他の団体組織から科学者を招聘して意見を聞いており、科学者も政府代表(コミッショナー)も自らの要望をもっと明確に発言すべきだとの指摘があった。
信頼性と透明性が確保された長期的なデータ収集の必要性を強調する声が参加者の間からあがっていた。ある参加者は、低予算タイプの調査を実施するという選択肢があると指摘していた。科学の側面から政治に変化を促すための成功事例を強調しつつ、ある参加者は、環境変化に関する調査の重点化、小型鯨類に関する会合に科学者の参加を促すための任意ファンド、多年度方式による学際的なクジラと科学汚染に関する研究調査事業などが必要だと指摘していた。また、途上国におけるキャパシティビルディング(能力向上)やホエールウォッチングに関するガイドライン、ホエールウォッチングの影響調査などが必要だとの指摘もあがった。
NGOの参加: 透明性と一般の参加が全体的な要望点として挙げられた。IWC会合へのNGOの参加拡充は全員一致で支持され、本会合の他、小委員会や作業部会でもそうすべきだとの意見もあがった。一方、無制限にNGOの参加を求めるのではなく、NGO側もプラスの成果を出し、ときには失敗や妥協を受け入れる責任を担うべきであるとの発言があった。これについてはさらに突っ込んだ論が行われた。一部の参加者は、NGOは必ずしも自分の意見を反映していないような結果でも支持し、あるいはいかなる場合でも糾弾するという気構えで臨むべきだと感じていたようだが、あるNGO代表は、ある集団の脅威となるような見解は何であれ反対する権利を留保すると発言する一方で、NGOは解決策に向かって努力する意思があると強調した。また別の参加者から市民社会は、それが市民的な方法で行われる限り、自由に意見をもって自由に表明する権利を有していると総括した。
他機関との協力: 多くの参加者がIWCと他の生物多様性に関連する機関との協力改善が必要だと強調していた。しかし、ある参加者は、捕鯨論争の行き詰まりを他の交渉プロセスにも“汚染してしまう”可能性があると釘を刺した。次第にIWCの孤立化が進み、制度的に分離した状況に陥ったことが現在の膠着状態を促したのだとの指摘があった。また、国際交渉では「クジラがあまりにも魚と同列の扱いを受けている」と指摘した上で「IWC事務局は生物多様性条約(CBD)やワシントン条約(CITES)、ボン条約(CMS)などの関連会議に出席すべきだ」との提案があった。また、IWC事務局はもっと現代的な多国間環境条約の事務局と同じように振舞うべきだとし、生物多様性連絡グループ(Biodiversity Liaison Group)に参加し、その他の機関の科学委員会などにIWCの科学者を参加させる方法を見つけ、持続可能な開発に関する世界サミットや生物多様性UNFCCCの目標にクジラを組み込むべきだとの提案が出された。また、そうした生物多様性関連会議には持続可能な利用に関する規定があり、定義上、捕鯨反対ではないということも示唆した。
ICRWの刷新: ICRWの改正または“刷新”(renovation)を求める強い声があがった。特に、他の行為者を関与させるためのメカニズムや紛争解決のためのメカニズム等に関する規定を盛り込むべきだという声があがった。ある参加者は本件を幅広い国々が出資支援している国連総会の決議にかけるべきだと主張し、IWC会合でICRWを見直すよう求めた。また、本会合は国連の諸規定に基づいて行われるべきであり、多方面の参加を受け入れるオープンな会合であるべきであるとし、以下の点でICRWを改正すべきであると提案した。すなわち、生物多様性保全および持続可能な利用に関する地球規模の目標を受け入れること、すべての鯨類を対象とすること、IWCの刷新、動物虐待や船体衝突、ホエールウォッチングなどの問題への対応に関する点である。
IWC会合の開催頻度: IWCの会合数を減らすという案に関しては、省資源化につながり、会合間折衝に向けて時間的ゆとりを生むとして、数名の参加者が指示を表明した。しかし、科学委員会は年1回の会合を行い、捕鯨国および反捕鯨国から課されたすべての業務を遂行する必要がある点も指摘された。そこで、「IWCの至宝たる科学委員会の負荷が大きくなりすぎて、非効率的になってしまうのは問題」であり、「科学委員会の会合をIWC本会合と切り離す案」も実行可能ではないかとの提案が挙がった。
共通の解決策に向けて: 気候変動や混獲など、IWCでコンセンサスを形成できるような問題を特定し、問題解決のための会合を設けるという案が出された。本会合での対立回避策として、締約国の事前会合を奨励することが提案された。一方、これは市民社会から透明性の低下、裏取引の土壌になるとの批判を招きかねないとの懸念が示された。また、追加会合の開催はさらなる排他主義につながりかねないとの懸念もあがった。その他、電子会議という形が実現できないかとの提案も出された。
IWCは形骸化してしまった現状から脱却する必要があるとの指摘があがり、人道面の議論は断念すべきではないかと問う声もあがった。これは実質的な成果を上げるという目標を議論の中心に据えるべきだとの提案に反映されるものだった。
IWC内での参加のありかたについては幾つかの改革案が出された。個人交渉官自身が新たなダイナミズムづくりのために交代する案や、参入と衡平性の評価、IWC議長が緊張回避と緩和に積極的な役割を果たすこと等が提案された。また、IWCの意志決定のための投票様式に対する懸念が示され、他の多国間組織で利用されているコンセンサスに基づくアプローチの方が効果的であり、これを利用すべきだとの提案があった。
混獲に関する分野において必要な交渉の進展も可能だとの見解も示された。ある参加者によると、現在は混獲された鯨肉が結局は市場に出回っており混獲に対する経済的なインセンティブを与えているような状況が見られるとのことで、改定管理方式 (RMP)の下で対処しうるが、RMPについて合意が得られない場合は他のメカニズムが必要であるとの提案が出された。
また、マスコミは国民の関心の方向を形成する役割があるとし、マスコミにはもっと建設的な役割を担うよう要請する声があがった。
一部の参加者からは、日本政府が自発的に調査捕鯨を中断し、調査捕鯨プログラムの成果分析を完全に実施すれば、政治的に大きな突破口(ブレークスルー)となりうるとの案が提起された。ある参加者は、同提案が捕鯨の権利を無期限に取り下げるよう求めるものではないと強調していた。 日本国民がこれを一方的な譲歩と見るのではないかとの不安も聞かれたが、相互的な交換条件といえるだろうと示唆する意見が出された。
その他の問題
1月31日(木)、ジャン・ヘンダーソン氏(大使、ニュージーランド外務省・環境局長)は、2008年3月に英国ロンドンで開催予定のIWCの将来に関する中間会合の運営委員会の活動について報告を行った。この運営委員会は、米国、日本、パラオ、チリ、ニュージーランドの政府代表で構成されており、IWC(国際捕鯨委員会)が国際捕鯨取締条約(ICRW)やIWCの組織文化、課題などを踏まえつつ、今後の進展に向けたプロセスを自ら設計していく必要があるとの見解で一致していると述べた。さらに、新鮮な、抜本的でプロセス志向のアプローチが必要であると強調した。
ヘンダーソン氏は、中間会合に関して、外部の専門家の経験を活用し、信頼の再建と議論と交渉に対するアプローチ改善を目指し、IWC第60回年次総会での議論前進策に焦点をあてる予定だと述べた。
閉会
スレイド座長が本会合の総括を行い、現在膠着状態に陥っている捕鯨問題を喫緊に解決する必要があると強調した上で、これまでそこに投入してきた資源やエネルギーをもっと広く地球全体に重篤な脅威をもたらす恐れのある問題に対して割り振っていくべきであると強調した。また、日本の参加者の中でも多様な見方が存在しているという点を指摘した。
スレイド座長は、今回の議論で明らかに合意が見られた分野を示した。すなわち、ICRWおよびIWCがクジラの保全に著しいメリットをもたらしたという点、絶滅のおそれのある種は絶対的な保護に値するという点、真に国際的な解決策が望ましいという点、持続可能性(sustainability)は重要なコンセプトであるが、それには様々な定義があり、定義づけの基準も様々であるという点、そして究極的には捕鯨論議の解決策は科学ではなく政治にあるという点などである。また、座長より、予防策や生態系に関するアプローチや紛争解決、明確な基準や定義といった面で他の現代法が有する多くの要素を有しておらず、他の国際条約と比べてみても、ICRWは旧態依然としており、透明性、柔軟性、即応性に欠いていると指摘があった。
今後の方策に関しては、スレイド座長は、賛成派、反対派のどちら側も完全に兜を脱ぐ構えにはないため、ある程度の現状維持が望みうる最善のものだと指摘。一番期待できる落としどころとしては、沿岸捕鯨コミュニティによる潜在的に合法性ある主張を認識すること、調査捕鯨を現状のまま一時停止し(suspend)、サンクチュアリを尊重すること、世界の国すべてのクジラ捕獲枠を定義することになるだろうと述べた。本会合は、鯨類の環境を変革してゆくための別のチャンスとして、プロセスの新たなフォーラムや新たな声、新たな交渉官らを取り込み、ICRW改正についても検討するなどといったことがあると認識したと述べた。
スレイド座長は、道義的な立場を主張するよりも、現実的で実現可能な解決策に焦点をあてることが重要であると強調し、攻撃的な対決を回避し、バランスの取れたメディア報道を奨励していく必要があると強く主張した。 また、実験的に他の会合の場を設定したり、創造的に議論し、合意を活性化させるためのテクニックを試したりすることが良いのではないかと提唱していた。
スレイド座長は“合意文書”というよりも“議長総括”の形で、とりまとめた成果文書を提供すると述べた。和やかな雰囲気の中で貴重な意見を発表していただいた参加者に対する座長からの感謝の辞をもって、午後6時10分、本シンポジウムが閉会した。
今後の会合
CBD第2回保護地域に関する特別オープンエンド作業部会会合: 本会合は2008年2月11-15日、イタリア・ローマで開催予定。CBD事務局・連絡先: TEL: +1-514-288-2220; FAX: +1-514-288-6588; E-MAIL: secretariat@biodiv.org; URL: http://www.biodiv.org/meetings/
第4回ASCOBANS JASTARNIAグループ会合: 2008年2月25-27日、スウェーデン・コールモーデンに於いて、バルト海港湾性ネズミイルカのJastarnia回復計画に関してバルト海および北海における小型鯨類保全に関する移動性動物の種の保全に関する条約(CMS)協定(ASCOBANS)締約国会合が開催予定。ASCOBANS事務局・連絡先: TEL: +49-228-815-2416; FAX: +49-228-815-2440; E-MAIL: ascobans@ascobans.org; URL: http://www.ascobans.org
IWC中間会合: 国際捕鯨委員会(IWC)の将来に関するIWC中間会合は、2008年3月6-8日、英国・ロンドン、ヒースローに於いて開催予定。IWC事務局・連絡先: TEL: +44-1223-233-971; FAX: +44-1223-232-876; E-MAIL: secretariat@iwcoffice.org; URL: http://www.iwcoffice.org
海洋・沿岸・島嶼に関する第4回世界会議: 2008年4月7-11日、ベトナム・ハノイに於いて開催予定。連絡先:デラウェア大学 Miriam Balgos; TEL: +1-302-831-8086; FAX: +1-302-831-3668; E-MAIL: mbalgos@udel.edu; URL: http://www.globaloceans.org/globalconferences/2008/index.html
第23回CITES動物委員会: 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES) 動物委員会は、2008年4月21-24日、スイス・ジュネーブに於いて開催予定。これに先だって、動物および植物委員会の合同会合が4月19日に行われる。CITES事務局・連絡先: TEL: +41-22-917-8139/40; FAX: +41-22-797-3417; E-MAIL: info@cites.org; URL: http://www.cites.org/eng/news/calendar.shtml
移動性野生動物の種の保全に関する条約(CMS)の下での移動性サメ類に関する国際協力の選択肢特定・検討のための第2回会合: CMS事務局主催による本会合は2008年半ばにドイツ・ボンに於いて開催予定。CMS事務局 連絡先:TEL: +49-228-815-2401/02; FAX: +49-228-815-2449; E-MAIL: secretariat@cms.int; URL: http://www.cms.int
CBD COP-9: 生物多様性条約第9回締約国会議(CBD COP-9)は、2008年5月19-30日、ドイツ・ボンに於いて開催予定。CBD事務局・連絡先: TEL: +1-514-288-2220; FAX: +1-514-288-6588; E-MAIL: secretariat@biodiv.org; URL: http://www.biodiv.org/meetings/
IWC-60: 第60回IWC年次総会および関連会合は、2008年6月23-27日、チリ・サンティアゴに於いて開催予定。同会合に先立ち、科学委員会などの他の委員会や下部委員会の会合が行われる。また、混獲鯨に関連する問題についてのワークショップも開催。IWC事務局・連絡先: TEL: +44-1223-233-971; FAX: +44-1223-232-876; E-MAIL: secretariat@iwcoffice.org; URL: http://www.iwcoffice.org
CMS COP-9: ボン条約第9回締約国会議(CMS COP-9)は、2008年12月1-5日、イタリア・ローマに於いて開催予定。CMS事務局・連絡先: TEL: +49-228-815-2401/02; FAX: +49-228-815-2449; E-MAIL: secretariat@cms.int; URL: http://www.cms.int/
世界海洋会議: 2009年5月11-15日、インドネシア・マナドに於いて開催予定。会議事務局連絡先: TEL: +62-431-861-152; FAX: +62-431-861-394; E-MAIL: info@woc2009.org; URL: http://www.woc2009-manado.net/?view=home&page=2
IWC-61: 第61回IWC年次総会および関連会合は2009年、ポルトガル・マデイラに於いて開催。日程・場所は未定。詳しい情報については、IWC事務局・連絡先: TEL: +44-1223-233-971; FAX: +44-1223-232-876; E-MAIL: secretariat@iwcoffice.org; URL: http://www.iwcoffice.org
CITES COP-15: カタール・ドーハに於いて開催予定。日程未定。連絡先: CITES事務局; TEL: +41-22-917-8139/40; FAX: +41-22-797-3417; E-MAIL:
info@cites.org; URL:
http://www.cites.org