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Vol.12 No.597 - 2014年4月15日 火曜日
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会第12回会合及びIPCC第39回総会の概要(要約版)
2014年4月7日-12日

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第3作業部会第12回会合(WGIII-12)及びIPCCの第39回会合(IPCC-39)は、2014年7-12日、ドイツのベルリンで開催された。会合には、107か国の政府代表、国連及び政府間組織、オブザーバー組織の代表など605名を超える参加者が出席し、世界のメディアの関心を集めた。

6日間の会期中、参加者は、プレナリー会合及び非公式会合に参加、気候変動の緩和に関するIPCC第5次評価報告書のWGIII報告書について検討した。調整役代表執筆者は、政策決定者向けサマリー(SPM)の多様なセクション及び関係する題目に関し、短時間のプレゼンテーションを行い、参加者を支援した。会合終了時、WGIIIはSPMを承認し、その基礎となる報告書本文を受理した、これにはテクニカルサマリー及び付属書も含まれた。

SPMは、序章と4つの主要部分で構成される。SPM.1は序文の章である。この章は、IPCCの役割、報告書の構成、報告書の結論における確実度を示す。セクションSPM.2は、気候変動の緩和における多様な手法を考察する。SPM.3は、温室効果ガス(GHGs)の貯留量及びそのフローの動向、さらにはその推進要素の動向を検討する。セクションSPM.4は、持続可能な開発の観点から、緩和経路及び措置について議論する、これには長期の緩和経路、部門別及び部門横断の緩和経路及び措置が含まれる。さらに次の項目の考察も含める:エネルギー供給;エネルギー最終用途部門(輸送、建築、産業);農業、林業、その他の土地利用(AFOLU);人間の居住、社会構造基盤(インフラ)、空間利用計画。報告書の最終セクションはSPM.5であり、このセクションでは、緩和政策と制度について論じ、部門別政策及び国内政策、さらには国際協力に焦点を当てる。SPMには、論じられている動向や概念の説明を容易にする9つの図と2つの表も含まれる。

4月12日土曜日のWGIII会合閉会後、IPCC-39会合が再開され、SPM承認という作業部会の行動を正式に認め、他の問題について議論した。承認を受けたSPM及びその基礎となる報告書は右記のIPCCウェブサイトに掲載される:http://www.ipcc.ch.

IPCCのこれまで

IPCCは、1988年、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された。人為的な気候変動に伴うリスク、その影響可能性、適応及び緩和オプションを理解する上で関連のある科学、技術、社会経済の情報の評価を目的とする。IPCCは、新たな研究を行うことはなく、気候関連のデータをモニタリングすることもない。その代り、IPCCは、公表されピアレビューを受けた科学及び技術の文献に基づき、知識の評価を行う。

IPCCは、3つの作業部会を有する:WGIは、気候系及び気候変動の科学面を扱う;WGIIは、気候変動に対する社会経済システム及び自然システムの脆弱性、気候変動の影響、及び適応オプションを論じる;WGIIIは、GHG排出量を制限し、気候変動を緩和するオプションについて論じる。各作業部会には2名の共同議長、6名の副議長が任命されるが、WGIIIは例外で、第5次評価サイクルでは3名の共同議長が任命された。共同議長は、パネルが定めたマンデート遵守に関し、WGsを指導し、この課題ではテクニカルサポートユニット(TSUs)の支援を受ける。

さらにIPCCには、国別温室効果ガスインベントリプログラムに関するタスクフォース(TFI)がある。このTFIは、各国のGHG排出量及び除去量の計算や報告に用いる国際合意された方法論ならびにソフトウェアの開発、推敲、及び国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国によるこの方法論の利用奨励を目的として設置された、IPCC国別温室効果ガスインベントリプログラムを監督する。

IPCC議長団は、各IPCC評価報告書作成期間(約6年間)を任期として、パネルにより選出される。議長団の役割は、IPCCの作業計画策定、調整、モニタリングで、IPCC議長を補佐することである。議長団は、全ての地域を代表する気候変動専門家で構成される。現在、議長団は31名のメンバーで構成される:IPCC議長、IPCC副議長、3つのWGsの共同議長とTFIの議長団(TFB)そして3つのWGsの副議長である。IPCCは、2011年、会合期間内の作業及びWGs間の調整を支援する目的で、議長団に加え執行委員会を設立した。同委員会は、IPCC議長、IPCC副議長、WG及びTFBの共同議長、そして諮問委員で構成され、後者には事務局長及び4名のTSUsの長が含まれる。IPCC事務局はスイスのジュネーブにあり、WMOがホスト組織となっている。

IPCC作成文書:IPCCは、設立以来、一連の総合評価報告書、特別報告書、テクニカルペーパーを作成し、国際社会に気候変動に関する科学情報を提供してきた、これら作成文書はいずれも専門家及び政府による詳細な査読作業を受けている。

IPCCは、これまでに4つの気候変動総合評価報告書を作成し、それぞれUNFCCCの交渉進展に重要な役割を果たしたとされる:第1次評価報告書は1990年に完成;第2次評価報告書は1995年に;第3次評価報告書は2001年に;第4次評価報告書(AR4)は2007年に完成した。2008年、IPCC-28は、2014年に完成すべきAR5の作成を決定した。

評価報告書は、3部作で構成され、各WGがそれぞれ1部を担当する。各部は、SPM、テクニカルサマリー、評価報告書本文で構成される。報告書の全ての評価セクションは、詳細な査読プロセスを経るが、これには3つの段階がある:第1段階は専門家による査読;第2段階は専門家と政府による査読;そして第3段階は政府による査読である。各SPMは、担当のWGによる行ごとの承認を受ける。さらに評価報告書には、統合報告書(SYR)が含まれ、3つのWG報告書における最も関連性の高い要素に焦点を当てる、このSYRのSPMはパネルによる行ごとの承認を受ける。AR5の作成には、85か国から800名を超える執筆者及び査読編集者が参加している。

IPCCは、総合評価報告書に加え、特別報告書、方法論報告書、テクニカルペーパーも作成し、気候変動に関係する特定の問題に焦点を当てる。IPCCが作成した特別報告書は次のとおり:土地利用・土地利用変化・森林(LULUCF) (2000年);二酸化炭素回収貯留 (2005年);再生可能エネルギー資源と気候変動の緩和 (SRREN) (2011年);気候変動への適応進展を目的とする、極端な現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書(SREX) (2011年)。テクニカルペーパーとしては、次のものなどが作成された:気候変動と生物多様性 (2002年);気候変動と水 (2008年)。さらにIPCCは、各国によるGHGs報告を支援すべく、方法論報告書あるいはガイドラインを作成した。グッドプラクティス・ガイダンス報告書は、2000年及び2003年にパネルの承認を受けた。国別温室効果ガスインベントリプログラムに関するIPCCガイドラインの最新版は2006年にパネルの承認を受けた。2013年、IPCCは、GHGインベントリガイドライン2006年版の湿地に関する2013年補足書を採択し、京都議定書からの補足手法及びガイダンスの2013年改訂版を採択した。

IPCCは、2007年12月、「人間が作った気候変動に関する知識を増やし、普及させ、そのような変動に対抗するために必要な基礎を築いた(build up and disseminate greater knowledge about manmade climate change, and to lay the foundations needed to counteract such change)」その作業及び努力に対し、米国の元副大統領アルゴア氏と共にノーベル平和賞を授与された。

IPCC-28この会合は、2008年4月9-10日、ハンガリーのブダペストで開催され、IPCCの将来が議題の中心となった、この中にはWGの構造、将来の報告書のタイプやタイミング、IPCC議長団及びTFBの将来構造など、作業プログラムの重要要素が含まれた。IPCCは、AR5を作成し、そのWGsの構造は現状維持することで合意した。AR5における新しいシナリオの顕著な利用を可能にするため、パネルは、IPCC 議長団に対し、WGI報告書を2013年の早い時期に確実に完成させ、他のWG報告書及びSYRは2014年の実施可能な限り早い時期に完成させるよう求めた。

IPCC-29この会合は、IPCC創立20周年を記念する会合であり、2008年8月31日から9月4日、スイスのジュネーブで開催された。この時点で、パネルは、新しいIPCC議長団及びTFBを選出し、Rajendra Pachauri (インド) をIPCC議長に再選した。さらにパネルは、IPCCの将来に関する議論を続け、ノーベル平和賞の賞金で途上国の若い気候変動科学者を対象とした奨学金制度を創設することで合意した。議長団に対しては、SREXのスコーピング会議の検討を求め、このスコーピング会議は、2009年3月23-26日、ノルウェーのオスロで開催された。

IPCC-30この会合は、2009年4月21-23日、トルコのアンタリアで開催された。この会議で、パネルは、主にIPCCの近未来に注目し、AR5スコーピング会議へのガイダンスを提供した、このスコーピング会議は、2009年7月13-17日、イタリアのベニスで開催された。

IPCC-31この会合は、2009年10月26-29日、インドネシアのバリで開催された。議論の焦点は、ベニスのスコーピング会議で参加者が作成したAR5の各章の概要を承認するかどうかであった。パネルは、途上国及び経済移行国の科学者の参加、電子媒体技術の利用、IPCCの長期的な将来に関するIPCC-30の決定事項実施の進展状況についても考察した。

インターアカデミーカウンシル(IAC)によるレビュー:AR4での不正確さに関係するIPCCへの公的な批判、さらに批判に対するパネルの対応への批判に応えるため、国連事務総長のBan Ki-moon及びIPCC議長のPachauriは、IACに対し、IPCCのプロセス及び手順に関する第三者レビューを行い、IPCCを強化し、その報告書の質を確保するための提案を提示するよう要請した。IACは、2010年8月、レビュー結果の報告書を提出し、特に次の点に関して提案を行った:IPCCの管理体制;コミュニケーション戦略、これには危機対応計画を含める;透明性、これには参加者の選考基準、評価対象の科学情報、技術情報のタイプ;WGsによる不確実性の分類方法における一貫性。

IPCC-32この会合は、2010年10月11-14日、韓国の釜山で開催され、IACレビューの提案について議論した。パネルは、この件に関する多数の決議を採択したが、この中には灰色文献の扱いや不確実性の処理に関するもの、これまでの報告書での誤記の処理プロセスに関するものなどが含まれた。パネルは、更なる検討が必要な提案である、プロセスと手順、コミュニケーション、利益相反(COI)方針、そしてガバナンスと管理のそれぞれに関し、タスクグループを設置した。パネルは、AR5 SYRの概要改訂版を容認した。

SRRENWGIIIの第11回会合は、2011年5月5-8日、アラブ首長国連合のアブダビで開催され、 SRRENとそのSPMを承認した。特に議論が集中したのは、持続可能な開発、バイオマス、政策を扱う章であった。SRRENの主要な結論には、再生可能エネルギーの技術ポテンシャルは将来のエネルギー需要予測を大きく上回ること、再生可能エネルギーは全ての緩和シナリオで重要な役割を果たすことが含まれた。

IPCC-33この会合は、2011年5月10-13日、アラブ首長国連合のアブダビで開催され、IPCCプロセスと手順に対するIACレビューのフォローアップが主な議題となった。パネルは、執行委員会の設立を決定し、COI方針を採択し、IPCC報告書の手順について、数件の変更を行った。さらにパネルは、SRREN及びそのSPMに関するWGIIIの行動を承認し、AR5の進展状況を検討した。

SREXIPCC WGI及びWG IIの第1回合同会議は、2011年11月14-17日、ウガンダのカンパラで開催され、SREXを容認、そのSPMを承認した。SREXは、気候、環境、人間の要素の相互作用が気候の極端な現象及び災害に悪影響を与える問題、影響及び災害のリスク管理オプション、気候以外の要素が影響の決定づけに重要な役割を果たすことなどを論じる。

IPCC-34この会議は、2011年11月18-19日、ウガンダのカンパラで開催され、IPCCのプロセスと手順に関するIACのレビューのフォローアップ行動、特に手順、COI方針、コミュニケーション戦略関係に焦点が当てられた。パネルは、IPCC報告書の作成、査読、容認、採択、承認及び発行の手順改訂版を採択し、COI方針の手順実施及び公開様式も採択した。パネルは、IPCC-34の前に開催されたWG I及びWG IIの合同会議で承認されたSREXのSPMも正式に容認した。

IPCC-35この会合は、2012年6月6-9日、スイスのジュネーブで開催された。この会議は、IACレビューの提案について、IPCC事務局及びTSUsの機能を承認し、コミュニケーション戦略を承認した、これでIAC提案に対するパネルの審議は終了した。さらに参加者は、IPCC報告書の手順の改定、IPCC議長団及び全タスクフォース議長団の選出手順の改定でも合意した。

IPCC-36この会議は、2013年9月23-26日、スウェーデンのストックホルムで開催され、WGIは「気候変動2013年:自然科学の根拠」と題するAR5の報告書を最終決定した。パネルは、その後、WGI SPMを承認し、その報告書本文を容認した、これにはテクニカルサマリー及び附属書が含まれる。

IPCC-37この会合は、2013年10月14-17日、グルジアのバトゥミで開催された。この会議において、パネルは、2つの方法論報告書を検討し、採択した:「国別温室効果ガスインベントリプログラムの2006年IPCCガイドラインに対する2013年補足書:湿地」及び「京都議定書からの補足手法及びグッドプラクティス・ガイダンス2013年改訂版」である。さらにIPCCは、一連の手順問題も議論し、IPCCの将来計画に関する初期の論議を行った。

IPCC-38この会議は、2014年3月25-29日、日本の横浜で開催され、「気候変動2013年:影響、適応、脆弱性」と題するAR5 WGII報告書の最終決定に焦点を当てた。パネルは、その後の会合でWGII SPMを承認し、その報告書本文を容認した、これにはテクニカルサマリー及び附属書が含まれる。

IPCC-39報告書

4月7日月曜日、IPCC議長のRajendra Pachauriは、IPCC-39の開会を宣言し、この会議はAR5完成に向けた極めて重要な瞬間であると強調した。同議長は、気候変動の目標達成では緩和経路の設定が極めて重要であると指摘し、AR5のWGIII報告書は、確固とした政策関連性を有し、情報に富んだ文書であるべきで、政策決定者が必要とする重要知識及び情報を提供すべきだと強調した。

ドイツ連邦政府環境・自然保全・建築・原子力安全性省のJochen Flasbarth次官は、参加者を歓迎した。同次官は、ドイツは現在、原子力の段階的廃炉及び再生可能エネルギーの割合増加を進めており、エネルギー供給システムの転換を行っているが、野心的な緩和目標を実現するとの決意に変わりはない、この目標には2020年までにGHG排出量を1990年比で少なくとも40%削減するとの国家目標が含まれると指摘した。同大臣は、WGIII報告書により、世界的な緩和行動のための各国の、そして国際的なモーメンタムが出てくることを希望すると表明した。

ドイツ連邦政府教育研究省のGeorg Schütte次官は、特に次の必要性を強調した:モデル化技術の最適化、その予測力の向上、緩和技術の強化;広範な知識ベースの構築;国際的な気候論議の強化;科学と政策のインターフェース及び政治的現実との相互作用に関する「より詳細な調査。」

WMOのDeon Terblancheは、政策決定者にオプション及び要素を提供するというWGIII報告書の重要性を強調し、パネルの将来にガイダンスを提供する上でのIPCC-39の重要性も強調した。同氏は、排出量削減のモニタリング及び支援努力に関するWMOの作業について説明し、気候変動の原因及び影響に関する情報の提供、さらには適応措置や緩和措置に関する情報提供という面で、世界の気象関連組織は重要な役割を果たすと言明した。

UNEPのJacqueline McGladeは、国際社会に対し、気候変動緩和のための「迅速かつ断固とした(immediate and robust)」行動をとるよう求め、(排出)動向の逆転は可能であり、2020年目標はまだ達成可能だと強調した。同代表は、全ての活動の根幹に対する「信頼でき、透明で、関連性の高い(credible, transparent and relevant)」評価が必要だと強調し、UNEPはIPCCの結論に対する世界の関心を高めるための支援を続けると約束した。

UNFCCC事務局長のChristiana Figueresは、ビデオメッセージの中で、WGIII報告書はAR5の第3部として、世界が気候変動の課題に向き合える方法に関する「解決のスペース(solution space)」を完成させると強調した。同事務局長は、AR5は客観的証拠や将来の経路オプションを示すことでUNFCCCに情報を提供すると指摘し、報告書へのアクセスを確実に強化する必要があり、それにより政策決定者に前進方法のガイダンスを提供すると強調した。

WGIII共同議長のOttmar Edenhoferは、科学者を地図の作成者(mapmaker)に、政策決定者をどの進路に進むかを決めるナビゲーターにたとえ、WGIII報告書草案の内容を紹介し、これは次の3つのセクションで構成されると述べた:第1部は、緩和経路の分析に利用できる多様な予測を提供する;第2部は、最近の進路とその結果を調査する;第3部は、将来に向けての多様な経路を示すと同時に、そのために何が必要か、そしてその影響はどういうものかを示す。同共同議長は、緩和がもたらす倫理問題、価値判断の必要性にも注目し、国際協力及び地域協力の果たす役割を強調した。

IPCC事務局次長のGaetano Leoneは、IPCCプログラムと予算に関するIPCC-39議題項目(IPCC-XXXIX/Doc.2, Corr.1)を提示した。この項目は、資金タスクチームの考察に回された。参加者はその後、IPCC-39の暫定議題書(IPCC-XXXIX/Doc.1)を承認した。

IPCC議長のPachauriは、WGIII-12の終了までIPCC-39を中断した。

WGIII-12報告

政策決定者向けサマリーの承認

月曜日の朝、WGIII共同議長のRamón Pichs-Madruga (キューバ)は、WGIII-12の開会を宣言した。WGIII共同議長のYouba Sokona (マリ)は、専門家及び各国政府から38000件を超えるコメントが寄せられたと述べた。同共同議長は、SPM改訂版は次の5つのセクションで構成されると述べた:序章(SPM.1)、報告書本文の1-4章をまとめるSPM.2、5-12章をまとめるSPM.3とSPM.4、13-15章をまとめるSPM.5である。同共同議長は、この会議において得られた進展を評価するため、発言と時間枠を比較するグラフィックな実績計を導入した。

SPM.1. 序章:共同議長のSokonaは、このセクションは各国政府のコメントに基づき書き直されたと説明し、その表現はWG-Iで既に承認されている文章に似通うと述べた。スイスは、報告書の構成を説明する文章について、「文献に注目する(focuses on literature)」という表現を「文献を評価する(assesses literature)」に変更するよう提案し、参加者もこれに同意した。サウジアラビアは、インドの支持を得て、この報告書の基礎となる文献を記述する文章に、IPCCのCO2回収貯留に関する特別報告書への言及を含めるよう求めた。共同議長のSokonaは、WGIII報告書はAR4に基づき構築されていると明言し、このためAR4以後に発表された文献のみを含めると述べた。スイスは、これまでの報告書にも言及するよう提案し、参加者もこれに同意した。

ベネズエラは、中国、ボリビア、ペルー、タンザニアの支持を受け、UNFCCC第2条(条約の目的)に言及する文章の除去を嘆いた。インドは、緩和及び気候政策の定義に関する文章の削除に関し、その再導入を求めた。

サウジアラビアは、中国の支持を得て、SPM草案の12月バージョンの表現保持を求め、この報告書は緩和に関する特定の目標値を提案しているのではなく、利用可能なオプションを評価していると強調した。スイスは、タンザニアとノルウェーの支持を受け、IPCC報告書には(政策)規範的な意図はなく、報告書は緩和の特定目標を提案していないとする表現は不必要だと述べた。共同議長のSokonaは、報告書は緩和オプション及びその社会的な影響を評価するが、特定のオプションを提案するわけではないとする文章の追加を提案し、参加者もこれに同意した。

結論の確実性の度合いに関する最後の導入部分について、スイスは、確実性の度合いに関する表現はWG報告書を横断して一貫性のある表現とするよう提案し、参加者もこれに同意した。脚注について、ノルウェーは、不確実性の一貫性のある扱いに関し代表執筆者のガイダンスメモに言及する文章を提案し、参加者もこれに同意した。

SPM.1最終文章:序章は、IPCCの役割を論じ、SPMの構成を紹介し、確実性の度合いを説明する。SPMにおけるWG結論の確実性の度合いは、確信度の定量レベル(極めて低いから極めて高い(from very low to very high))で表現され、可能な場合は、可能性の定量化表現(可能性が例外的に低いから、ほぼ確実(from exceptionally unlikely to virtually certain))で表現される。

SPM.2.気候変動緩和に向けた手法:共同議長のEdenhoferは、このセクションは、緩和及びその限界を検討する目的で利用可能な主要な予測を示しており、これはこの報告書全体の透明性強化を意味すると説明した。同共同議長は、以前の草案に寄せられた多数のコメントに配慮して、調整役代表執筆者(CLAs)が改定した文章であると明言した。

CLAは、このセクションの概要を説明し、これは報告書本文の1-4章に基づいており、不確実性の下での意思決定の扱い方、ガス全体を測定する最善のものさしは何か、倫理哲学は緩和負担の分担方法を決定する上で助けになるかどうか、「危険な人為的干渉(dangerous anthropogenic interference)」は何を意味するかを決定する方法などが、大枠の疑問点としてSPMに記載される。さらにCLAは、このセクションの主要結論に焦点を当てた、これには次のものが含まれる:排出量の大幅削減は困難である;極端な現象は緩和の便益を決定する上で重要である;持続可能な開発は、気候政策の策定枠組を提供する。

CLAは、このセクションの再構成では特定の問題の重要性が減らされている、たとえばUNFCCC第2条への特定の言及を削除しているが、その一方でこの報告書の後の方で記述する倫理に関する新しいパラグラフには「危険な(dangerous)」という概念を保持しているとも説明した。さらにこのCLAは、努力の衡平分担など、倫理的な配慮が関わる国際協力についてのパラグラフを削除したと指摘した。

ベネズエラは、ボリビアの支持を得て、このセクションの背景を明らかにするため、UNFCCC第2条に言及する序文パラグラフの再挿入を提案し、このパラグラフには多くの複雑な問題が含まれると指摘した。同代表はさらに、技術の「変転(transition)」など、明確に定義されていない用語に対し懸念を表明した。

参加者は、気候変動の緩和にはグローバル・コモンズの問題が関わるとするパラグラフの文章の議論を開始した。米国は、「グローバル・コモンズ(global commons)」という概念は広く理解されていない可能性があり、異なる解釈を招きかねないと指摘した。米国、タンザニア、カナダ、南スーダン、フランスは、「グローバル・コモンズ(global commons)」という用語を使わない多様な表現を提案した。サウジアラビアは、集団の行動、差異ある責任、そしてグローバル・コモンズに言及するよう提案した。

あるCLAは、スイスが提案した用語集へのこの言葉の編入を支持し、グローバル・コモンズの概念については、社会学的に定義づけられていると指摘し、このパラグラフにあるグローバル・コモンズに続く文章で、その概念や関連性についてさらなる説明がなされていると指摘した。

ブラジル、サウジアラビア、ボリビア、マレーシアなど多数の参加者は、「グローバル・コモンズ」のような複雑な概念が絡んでいることから、SPM.2の文章に関する議論を進めるのは困難だとし、これをまとめることも困難だと指摘した。サウジアラビアは、ブラジル、マレーシア、ボリビア、南スーダンの支持を受け、グローバル・コモンズに言及する場合には責任についても論じることが重要だと強調し、このパラグラフの12月バージョンを用いるよう求め、12月バージョンでは、気候変動を、国際協力の必要性を暗示させるグローバル・コモンズの問題として、表現していた。同代表は、国際協力は「大気に関する権利及び責任を定義づけし、割り当てることで貢献できる(can contribute by defining and allocating rights and responsibilities with respect to the atmosphere)」と述べた。

ボリビアは、英国、米国、オランダの支持を得て、この問題及びSPM.2のセクション全体をコンタクトグループでの審議にかけるよう提案した。オーストリアとメキシコを議長とするコンタクトグループは、月曜から木曜にかけ会合した。

コンタクトグループでの議論では、意見対立のある問題数件に焦点が当てられた。参加者は、持続可能な開発の問題、それが気候政策との関係で果たせる役割について、長時間議論した。一部の途上国は、気候変動の議論において、開発する権利及び貧困根絶の重要性を強調する必要があると強調したが、一部の先進国は、気候変動のリスクが行動をとる動機になると強調した。3日間の議論の後、参加者は、次のパラグラフを挿入することで合意した:気候政策を評価する根拠を提供し、気候変動のリスクに対応する必要性に焦点を当てるものとしての持続可能な発展及び衡平性。このパラグラフの中の別な文章では、「一部の緩和努力は、持続可能な開発を推進する権利の行動、及び貧困根絶及び衡平性を達成する行動を損なう可能性がある(some mitigation efforts could undermine action on the right to promote sustainable development, and on the achievement of poverty eradication and equity)」と記述する。

意見対立があった別な点は、気候変動を「グローバル・コモンズ(global commons)」の問題とした箇所であった。一部の国は、この概念への言及を入れることに懸念を表明し、政策決定者が誤解をし、国際法との関係で、意図しない法的意味あいをもつ可能性があると述べた。別な途上国は、グローバル・コモンズに関するあらゆる言及を開発の権利と結びつけるべきだと強調した。多数の参加者は、この概念の定義づけを試みるよりも、説明型手法を採用するよう提案した。合意された文章では、気候変動は地球規模の集団行動問題という特性がある、これは大半のGHGsが時間をかけて蓄積し、地球規模で混合するためであり、いかなる媒体による排出量も他の媒体に影響を与えると記述する。さらに脚注では、この問題は社会学では「グローバル・コモンズの問題(global commons problem)」とされると説明し、この表現は「法的なアレンジ、もしくは努力分担に関する特定基準に何ら特定の影響を与えるものではない(has no specific implications for legal arrangements or for particular criteria regarding effort sharing)」と指摘する。

さらに参加者は、緩和及び技術移転に関する国際協力についても議論した。緩和支援、市場開放、及び民間企業による新技術の開発や展開を奨励するインセンティブ創設を目的とした研究開発協力の必要性に関する12月の草案文書の表現について、一部の途上国は、市場開放への言及は政策規範的であるとして、その削除を要請した。多数の途上国は、技術移転及び「環境上適正な(environmentally sound)」もしくは「信頼でき安価な低炭素技術(reliable and affordable low-carbon)」 への言及を含めるよう求めたが、ある先進国の代表は、技術移転への言及に対し警告し、これは知的財産権との関係で数件の解釈が可能であり、UNFCCCでは「意見対立のある(contentious)」問題だと指摘した。コンタクトグループで合意された文章は、個別の媒体がそれぞれ独自に自分たちの利益の進展を図るなら、効果のある緩和は達成されないと記述し、「国際協力は、環境上適正な技術や知識の開発、普及、移転において建設的な役割を果たせる(international cooperation can play a constructive role in the development, diffusion and transfer of knowledge and environmentally sound technologies)」と記述する。

参加者は、気候政策により倫理問題が生じるとするパラグラフ草案についても議論し、一部の途上国は、緩和と適応の関係を明確にするためGHGsへの歴史的な寄与についても言及するよう求め、他のものは衡平性の概念への言及を挿入するよう求めた。合意された文章では、緩和と適応に関し、衡平性、正義、平等の問題が起きると指摘し、大気中のGHGs累積量に対する各国の過去の及び将来の寄与度は異なる、各国が直面する課題や状況も異なり、緩和と適応への対応能力もそれぞれ異なると記述する。

これに加え、参加者は、特に下記のパラフラフについて、多少の改定を行った上で承認した:価値判断及び倫理上の配慮が係る気候政策の決定;気候政策策定に情報を提供すべく、通常用いられる手法の一つである経済評価、ただしこの経済評価のツールには、「明確に文書化された(well-documented)」限界があると認識する;気候政策と他の社会目標、たとえば健康、食糧安全保障、生物多様性などとの相互作用で得られる共通便益及び副次的悪影響;リスク及び不確実性の違いを考察することで情報を得る気候政策、ただしこれらのリスク及び不確実性の一部は測定困難である、特に発生した場合には極めて重大な影響を及ぼすが、発生確率が低い現象では、測定が困難である。コンタクトグループは、木曜日の夜遅くのプレナリーに文書を提示、この文章は改定されることなく承認された。

SPM.2最終文書:このセクションは、緩和を定義づけし、気候政策の評価における持続可能な開発及び衡平性の役割を明確にし、個々の媒体がそれぞれの利益を独自に進めるなら、効果のある緩和は達成されないと警告する。主要な結論では特に次の問題を論じる:衡平性、正義、平等の問題;気候政策決定における価値判断、倫理上の配慮、経済評価;気候政策と他の社会目標が相互干渉する場合、共同便益もしくは副次的悪影響が生じる可能性;気候政策に情報を与えるリスク及び不確実性、これには個人及び組織によるリスクの受け止め方によるものも含める。

SPM.3. GHGsの貯蔵とフローの動向、及びその推進要素:セクションSPM.3における次の序文案に関し:「人為的なGHG排出合計量は、2000年から2010年の10年間に、過去30年間のどの10年間よりも急速に増加したTotal anthropogenic GHG emissions rose more rapidly from 2000 to 2010 than in each of the previous three decades)」、中国とインドは、この記述の正確さを疑問視した。サウジアラビアとインドは、広範な時間枠で記述するよう求め、その方が動向をより明確に示すと述べた。あるCLAは、この記述は排出量の増加に関するものであり、2000年から2010年に最も高い増加率を示したと説明し、これにより執筆者は、この10年間ではそれまでの他の10年間と比べて急速に排出量が増加したと結論付けられたと述べた。カナダは、サウジアラビアの支持を受け、「過去10年間のいずれの10年間でも、人為的なGHG排出合計量は増加した(total anthropogenic GHG emissions rose in each of the previous four decades)」と記述することを提案した。ノルウェーは、ドイツ、ルクセンブルグ、アイルランドの支持を受け、現状通りの記述保持を希望した。あるCLAは、この結論はカナダが示唆するような2000年の低排出量を原因とするものではないと述べた。非公式折衝後、CLAsは、次の記述を提案し、参加者もこれに同意した:「人為的なGHG排出合計量は、1970-2010年の間、増加し続けており、この期間の終わりにかけ、10年間単位の絶対増加量は増大している(Total anthropogenic GHG emissions have continued to increase over 1970 to 2010 with larger absolute decadal increases toward the end of this period)」。

参加者は、気候変動緩和政策の件数増加にも関わらず、年間のGHG排出量は増加しており、年平均では1970-2000年の期間(1.3%)より、2000-2010年の期間の数値(2.2%)の方が大きかったとする文章を承認した。

SPMにおけるGHG排出量は、100年先の時間枠で見たIPCC第2次評価報告書記載の地球温暖化係数(GWP)で計算されるとする脚注に関し、ブラジルは、WGI報告書記載の次の文章を提案した: 「排出量の計算方法及び時間枠のタイプの選択には、明確な、あるいは暗黙の、価値判断が係る(The choice of type of emission metric and time horizon involves explicit or implicit value judgments)」。米国は、この代わりの案を提示した:「最も適切な測定基準及び時間枠は、特定の用途において、どの気候変動要素が最重要と考えられるかにより異なる(The most appropriate metric and time horizon will depend on which aspects of climate change are considered most important to a particular application)」 。ブラジルは、ペルー、中国、ボリビア、セントルシアの支持を受け、WGI報告書から次の文章も追加するよう提案した:「一つの測定基準で、異なる排出結果の全てを正確に比較することはできない、全てに限界や不確実性が存在する(No single metric can accurately compare all consequences of different emissions, and all have limitations and uncertainties)」 、しかし米国、欧州連合(EU)、ノルウェー、オーストラリアはこれに反対した。米国、ノルウェー、ルクセンブルグ、EU、フランス、その他は、ブラジルの提案のうち後者のものは、内容がそぐわないと述べ、米国は、異なる測定基準でも不確実性レベルは同等であるとの誤った印象を与えると指摘した。スイスは、脚注ではただ単に詳細についてはWGI SPM及びIPCCウェブサイト参照とすることを提案した。カナダは、南スーダンの支持を受け、次の妥協案を提案した:「全ての測定基準には限界と不確実性がある(All metrics have limitations and uncertainties)」。

あるCLAは、この場合、測定基準はものさしとして用いられており、これは気候変動への寄与度分析で測定基準を使う場合とは役割が違うと説明し、過度の混乱を招きかねないと警告した。このCLAは、異なる測定基準の採用により具体的な数値は変化する可能性があるが、その動向は変化しないと付け加え、報告書本文において測定基準を記述する3.9.6章及び付属書2を参照と追加することを提案した。ニュージーランド、ノルウェー、ルクセンブルグ、スウェーデン、英国、EU、その他は、CLAの提案を支持したが、WGI SPM参照も含めることで同意した。ルクセンブルグは、説明するための文章を追加するよう提案した:「これは、UNFCCCにおいてこれまで使われてきた共通の測定基準である(this is the common metric used up to now under the UNFCCC)」。サウジアラビアは、オーストリア、トリニダードトバゴ、韓国、その他の支持を受け、次の記述を提案した:「異なる排出結果を評価する場合、全ての測定基準に限界や不確実性がある(all metrics have limitations and uncertainties in assessing the consequences of different emissions)」 。参加者もこれに同意し、さらにペルーの提案通り、WGIIIボックスTS.5参照を追加することで合意した。

参加者は、SPMにおける不確実性の扱いに関する脚注を承認し、さらに2000年から2010年では人為的なGHG排出量が歴史的に高かったとする文章、及び世界経済の危機は排出量に一時的な影響を与えるとする文章を、2つとも承認した。

GHG排出量増加に関するパラグラフの次の文章「2000年から2010年の最近のGHG排出量増加の80%は化石燃料の燃焼によるものであった80% of the recent GHG emissions growth from 2000 to 2010 has been from the combustion of fossil fuels)」に関し、サウジアラビアは、ベネズエラ、エジプト、シェラレオーネ、カタール、イラク、その他の支持を得て、その前のパラグラフと一貫性を持たせるため、1970-2010年とすることを提案し、他の部門及びガスへの配慮を支持した。中国は、この文章では全てのGHG関係ガスを対象とするよう提案した。さらにサウジアラビアは、「化石燃料(fossil fuels)」の除去を提案し、過去40年間を反映させるなら、化石燃料の割合はさほど高くないと指摘した。

EUは、AR5は過去10年間に焦点を当てるものであることを想起し、CLAもこれを確認した、さらにEUは、ドイツ、スロベニアと共に、これは政策決定者にとり極めて関連性のある問題だと述べた。ドイツは、スロベニアと共に、2000年から2010年は政策決定者にとり最も関連性のある期間であると強調した。さらにCLAも、文献とのつながりを残し、透明で、正確な情報を提供する必要があるとし、AR4(の記述)を繰り返さないようにする必要があると述べた。ドイツは、英国、スウェーデン、ジャマイカ、メキシコと共に、この文章を現状のままとすることを支持した。

IPCC議長のPachauriは、事実に基づく情報を伏せておくことは「IPCCの責任の放棄(dereliction of the IPCC’s responsibility)」であるとし、さもなければ「少数の国の要請でこの見出し文が除去されたという見出しが躍るだろう(there will be a headline that this headline statement has been removed at the behest of a few countries)」と警告した。オーストリア、ロシア、英国、アイルランド、フランス、ベルギー、その他は、科学的結論を受け入れ、保持する必要性があることを支持した。オーストリアは、「政治的に関連するが規範的ではない(politically relevant and not politically prescriptive)」科学的結論を受け入れるよう参加者に訴えかけ、IPCCの信用を損なわないよう警告した。ベルギーは、アイルランドと共に、「我々は政策決定者のためのサマリーを作るためここにいるのであり、政策決定者がサマリーを作るわけではない(we are here to make a summary for, not by, policymakers)」ことを想起した。

共同議長のPichs-Madrugaは、このパラグラフの最初の文章について、非公式グループでの検討を提案し、執筆者の意見が重要だと指摘した。この協議では、含めるべき排出源、部門、ガスの議論に焦点が当てられ、さらに1970-2010年と2000-2010年の期間における排出量の増加に関する表現にも議論が集中した。参加者は、文案について合意に達し、その後この文章はプレナリーで審議され、承認された。最終文案は次のとおり:「化石燃料の燃焼及び産業プロセスのCO2排出量は、1970年から2010年のGHG排出合計量の増分の約78%に寄与した;2000-2010年の期間においても同様な割合の増分に寄与した(CO2 emissions from fossil fuel combustion and industrial processes contributed about 78% of the total GHG emission increase from 1970 to 2010; with a similar percentage contribution for the period 2000-2010)」。

スロベニアは、1970-2010年の増加と2000-2010年の増加が同じかどうか質問した。CLAsは、この2つの期間では、合計排出量への寄与の割合は流動的であったと説明し、後者の期間の化石燃料の燃焼による排出量と産業プロセスの排出量の割合は、前者のそれと類似していたと説明した。このパラグラフの残りの部分は承認された。

右記のとおり記述する脚注「フッ化ガスに関するこの報告書のデータは、地球大気研究(EDGAR)の排出量データベースから得られたものであり、このデータベースは京都議定書に含まれる物質を対象とする(in this report data on fluorinated gases is taken from the Emissions Database for Global Atmospheric Research (EDGAR) database, which covers substances included in the Kyoto Protocol)」に関し、ニュージーランドは、これは京都議定書第一約束期間に適用されると明記するよう提案し、参加者もこれに同意した。

1970-2010年におけるガスのグループごとの人為的なGHG合計排出量/(GtCO2eq/yr)に関する図SPM.1は、多少の改定を経て採択された。

パラグラフの最初の文章で次のように記述する文章:「1750年から2010年のCO2排出量累計2000 GtCO2のうちの半分以上、1100 GtCO2分は、過去40年間に発生した(高い確信度)(more than half of cumulative CO2 emissions between 1750 and 2010, about 1100 GtCO2 out of 2000 GtCO2, have occurred in the last 40 years (high confidence))」を明確にするようにと多様な要請があった。 中国は、この記述に高い確信度を付けることに疑問を呈し、同じパラグラフの中で、森林及び他の土地利用(FOLU)からのCO2排出量には大きな不確実性が伴うと記載していると述べた。あるCLAは、高い確信度は過去40年間の排出量累計に関するものであり、これはその基となる特定の数値に不確実性が伴うことがあっても、変化しないと説明した。このCLAは、高い確信度の記述を一般的な記述と結びつけ、「2000 GtCO2のうち約1100 GtCO2(about 1100 GtCO2 out of 2000 GtCO2)」という実際の数字と切り離すことを提案したが、中国は反対した。

中国とCLAsの更なる協議の後、参加者は、このような数値はその後に続く文章に基づき計算可能であると指摘し、詳細な数値の除去で合意、次の記述とした:「1750年から2010年の間のCO2排出量累計の約半分は、最後の40年間に起きた(高い確信度)(about half of cumulative CO2 emissions between 1750 and 2010 have occurred in the last 40 years (high confidence))」。

米国は、スイスの支持を得て、このパラグラフに次の文章を追加するよう提案した:CO2以外の排出量は、1970年以後の人為的なGHG累計排出量の約25%を占める;さらに米国はこの点の記述を省略するなら政策決定者の誤解を招くと述べた。ブラジルは、このパラグラフはCO2排出量を扱うものだと指摘し、米国案はCO2以外の排出量を議論する別なパラグラフにもっていく方が良いと述べ、非CO2排出量を含めること自体、同等に誤解を招く可能性があるとし、選択した測定基準や時間枠により割合の数値は異なると述べた。

あるCLAは、一定期間の累計排出量について、非CO2排出量では同程度の計算がされていないとし、期間や測定基準を明示せずにこのような割合の数値を示すことは、文献との一貫性に欠けると述べた。米国は、報告書ではほぼCO2のみに焦点を当てているとして懸念を表明し、非CO2累計排出量に関する「広範な文献(wide body of literature)」を指摘し、米国は、これに続くパラグラフで非CO2排出量を扱うことなら、受け入れられると付け加えた。非公式折衝後、参加者は、人為的なGHG排出量を扱うパラグラフに次の文章を加えることで合意した:「1970年以降、毎年、人為的なGHG排出量の約25%は非CO2ガスの形で起きている(Annually, since 1970, about 25% of anthropogenic GHG emissions have been in the form of non-CO2 gases)」。

このパラグラフの最初の文章、次の通り指摘する文章「2000年から2010年の間の人為的GHG排出量の増分、10 GtCO2eq/年の約75%はエネルギー供給部門及び産業部門に由来するabout 75% of the 10 GtCO2eq growth in annual anthropogenic GHG emissions between 2000 and 2010 comes from the energy supply and industry sectors)」に関し、サウジアラビアは、カタールとエジプトの支持を受け、エネルギー供給部門、産業部門に焦点を当てることに反対し、包括的かつバランスの取れた文章にするため、AFOLUや他の部門にも言及する12月バージョンのSPM草案に戻すことを求めた。これに対し、英国、デンマーク、ドイツ、オランダ、スイスは反対し、提示された文章の保持を求め、これはSPMでも明確かつ政策関連性の高い文章の一つを構成すると述べた。サウジアラビアは、他の部門に焦点を当てないことだけが問題ではない、最近の40年ではなく10年に焦点を当てていることなど更なる問題もあると付け加えた。

参加者は、12月草案にある次の文章を追加するかどうか検討した:「現在のGHG排出レベルは、エネルギー供給、AFOLU及び産業部門の寄与分で占められている:間接的な排出量を考慮に入れるなら、産業及び建築部門の重要性が増す(Current GHG emission levels are dominated by contributions from the energy supply, AFOLU and industry sectors; industry and buildings gain considerably in importance if indirect emissions are accounted for)」。ブラジルは、この文章の追加に反対し、AFOLUの不確実性レベルは極めて高く、炭素循環も動的であり、このためエネルギーや産業部門と比較できないと指摘した。米国は、非CO2ガスへの言及追加を提案した。

非公式グループでの議論が続けられ、参加者は、排出量増加動向に関する文章と、動向推進要素としての異なる部門の役割に関する文章、さらには間接排出量の役割に関する文章を区別する必要性について議論した。プレナリーへの議論結果報告の中で、ノルウェーは、次のようなグループ案を提示した:「2000年から2010年の間における人為的なGHG排出量は、年間10 GtCO2eq増加し、この増分は直接的にはエネルギー供給(47%)、産業(30%)、輸送(11%)、建築(3%)の各部門に由来し、間接排出量を計算に入れるなら、建築部門及び産業部門の寄与分を高める(中程度の確信度)(Annual anthropogenic GHG emissions have increased by 10 GtCO2eq between 2000 and 2010, with this increase directly coming from energy supply (47%), industry (30%), transport (11%) and buildings (3%) sectors. Accounting for indirect emissions raises the contributions of the buildings and industry sectors (medium confidence))」。インドは、この%を足しても100%に達しない事実について明確化を求めた。エジプトは、タンザニアの支持を得て、建築部門の中身について質問した。米国は、この%に2000年以後のAFOLU排出量低下の傾向が反映されていない理由を質問した。CLAsは、「建築」部門(の排出量)には、化石燃料の直接燃焼によるものが含まれるが、建設作業や電力の使用によるものは含まれていない、100%の残りの%はAFOLUのものであり、この部門の排出量には極めて大きな不確実性があり、レビューされた傾向にも一貫性がないことから、数字を省略したと説明した。スイスは、それそれの文章に確信度を加えるよう提案した。オランダは、用語集に「直接(direct)」排出量と「間接(indirect)」排出量を加えるよう提案し、参加者もこれに同意した。参加者はこの文章を承認した。

参加者は、GHG排出量はAFOLUを除く全部門で増加しているとの文章でも合意した。排出源を設定する文章に関し、ブラジルは、AFOLUの数値は正味の排出を示すとの文章を提案し、参加者もこれに同意した。中国は、部門レベルに関する数字を取り巻く不確実性の評価を明確にするよう求めた。多様なパラグラフ及び数値で示されるデータ及び傾向に関し、所得レベルに基づいて諸国をグループ分けしていることに、多数の参加者から懸念が表明されたため、参加者は、国の分類を議論するコンタクトグループの設置で合意した。

所得レベルに基づく国の分類問題を話し合うコンタクトグループは、3日間にわたり会議した。議論の中心は、世界銀行の分類に由来する4つの所得レベルでの各国の分類に基づく排出量及び排出量増加のデータを、SPMに含めるかどうかであった、この分類は、具体的には低所得、中の下の所得、中の上の所得、高所得である。このような変数を選択した合理性に関し、CLAsは、次のように説明した:ピアレビューされた文献では所得という要素international cooperation can play a constructive role in the development, diffusion and transfer of knowledge and environmentally sound technologiesは広く用いられている;単独のものとしては、この指標は、評価した全ての指標の中でGHG排出量を決定づける最も重要な指標である;新規の分類なわけではない;4つの分類は、グループ分けとして最適の数字であり、グループ内の違いを最小にし、分類同士の違いを最大化し、類似性や差異を強調できる。CLAsは、各国の排出量に所得レベルが与える影響は、政策決定者が理解する上で最も重要な傾向の一つであると強調した。WGIII共同議長の一人は、このような形で結果を示さないなら、IPCCの科学的な信頼を下げることになると警告した。

大半の国は、「文献に忠実であり続け(staying true to the literature)」ることの重要性、IPCCの科学的な信頼を保持し、SPMの政策関連性保持を確保することの重要性には同意した、これが国の分類にどういう意味合いを持つかでは意見が分かれた。提案されたSPMの文章を支持する多数の国は、報告書本文を正確に反映しようとする執筆者の能力を信頼すると表明したが、途上国数か国は、これに疑問を呈し、次のような問題点を指摘した:他にも多数の変数要素が存在する;世界銀行由来の分類の使用自体、気候変動の観点からすると関連性がない;ある時点での各国の所得に基づくグループ分けは偏った結果を招く;「政治目的で科学が操作されている(science has been manipulated for political purposes)」と示唆した。

コンタクトグループは、他の変数あるいは分類を使用する可能性についても長時間議論した。所得分類の使用に反対する各国は、特に:人材開発や各国の事情など他の指標の使用を求めた;所得だけでは全ての関連情報をまとめることはできないとし、「歴史を捉えていない(capture history)」と指摘した;WGIIの分類との一貫性を求めた;先進国と途上国、附属書Iと非附属書I、そして報告書本文で用いられた5つの地域分けなどの分類を提案した。CLAsは、このような分類のどれを用いたデータの提示も、情報を提供するとは言えないとし、特に排出量への寄与度が低いままの低所得グループを見えなくしてしまうと強調した。一部の国は、WGIIの場合とは異なると指摘し、WGIIは影響という、所得とは異なり、地域特性があるものを扱っていると指摘した。この文章を支持する各国は、WGIII用語集を参照し、先進国グループと途上国グループの確実な定義づけはされていないと指摘した。特に低所得諸国や後進途上国(LDCs)にとっては、それぞれの固有の事情を反映させることが重要であるという点で、多くのものは合意した。CLAsは、低所得諸国とLDCsの間にはかなりの重複があるが、説明という目的からすると、多くの異なる所得レベルを持つ各国が、排出量にどう寄与しているかを示すことも重要だと指摘した。

所得分類の利用に反対する諸国は、政策決定者は新しい気候合意に関するUNFCCCの交渉でSPMから意見を引き出そうとするので、極めて政治的な問題だと強調し、IPCCは政治ではなく科学に焦点を当てるべきだと述べた。CLAs及び原文を支持する諸国は、提案された分類は説明の目的で用いられ、IPCCの域を超えるいかなる意味合いをも持たせようとする意図はないと確言した。一部の国は、これを明記する脚注を提案したが、不十分として他のものに拒否された。協議最終日、CLAsは、新しい分類案を提示した、これは方法論の脚注以外、セクションSPM.3から「所得(income)」という言葉を排除し、ほぼこれまでのものに対応する4つのグループに基づかせるとの提案であった。多数の国がCLAの提案に反対したことから、コンタクトグループの共同進行役は、このグループでは合意に達せなかったと、WGIII共同議長に報告した。

金曜日の夜、共同議長のEdenhoferは、意見の一致がなかったことをプレナリーに伝え、このような成果に対するWGIII共同議長の失望感を指摘した。同共同議長は、所得分類を用いるSPM.3の図の草案を全て削除し、さらに地域グループを用いる図も全て削除するため、コンタクトグループを再開するよう提案し、参加者もこれに同意した(これらの図は、地域別のCO2合計排出量に関する図SPM.2、国家所得グループごとのGHG合計排出量に関する図SPM.3b、国家所得グループごとのGHG排出量の傾向に関する図SPM.4、領域内及び最終消費に基づき、各国家所得グループに起因させた化石燃料燃焼によるCO2排出量に関する図SPM.5)。加えて、このコンタクトグループは、全ての締約国が受け入れられる文章を提示するよう求められた。オーストリア、英国、米国、EU、セントルシア、マダガスカル、オランダ、メキシコ、ニュージーランド、その他は、この決定に対する懸念を表明し、さらにWGIIIの執筆者によりSPMに入れられた全ての関連情報を伝えることができないというIPCCの能力の無さにも懸念を表明した。

このコンタクトグループは、図を削除すべく協議を再開したが、関連のSPMの文章の別な表現について合意することができなかった。多数の参加者は、「先進国」及び「途上国」を文章に使うことに反対した。CLAsは、「他の一部の諸国(some other countries)」というような表現では何の追加価値もないとし、関連する全ての文章の削除を提案、このグループも同意した、削除された文章には次のものが含まれた:2000年から2010年の部門別排出量に関するパラグラフの2番目の部分;排出量増加及び一人当たり排出量に関する地域グループ及び所得グループベースのパターンを記述する2つのパラグラフ、これには領域内及び消費量ベースの排出量への言及も含める。ある一つの国は、削除された部分の基となっている報告書本文の図及び章への参照を追加するよう提案した。これに対し、多数の途上国が反対した。

プレナリーにおいて、中国、インド、サウジアラビア、カタール、エジプト、その他は、この提案に反対し、削除された文章に関するいかなる参照事項もSPMに残してはならないと述べた。参加者は、SPM草案の最新バージョンのパラグラフに記載される参照事項に焦点を当てると決定した、このうちの2件は、所得ベース分類に言及する報告書本文の章(章1.3と5.3)を参照する。米国、スロベニア、ノルウェー、フランス、カナダ、その他は、この参照事項の保持を支持したが、サウジアラビアは反対した。更なる協議の後、参加者は、報告書本文への2件の参照事項を削除し、コンタクトグループの提案通り、関連のパラグラフを削除することで合意した。

セクションSPM.3の残りの部分の議論に戻った参加者は、一貫性や明確さのための改定を行い、経済部門ごとの人為的なGHG合計排出量(GtCO2eq/yr)に関する図SPM.2を承認した。

経済成長及び人口増のCO2排出量への寄与に関するパラグラフについて、セントルシアは、このパラグラフの最初の文章で非炭素化のパターンやエネルギー原単位の問題を取り上げていない理由は何か質問した。ドイツは、セントルシアを支持し、非炭素化への言及を求め、排出量は低くても経済成長は起こりうると強調した。アイルランドは、エネルギー原単位問題を強調するよう求めた。サウジアラビアは、経済「成長(growth)」ではなく、経済「活動(activities)」への言及を求め、このパラグラフでは短期よりも過去40年間の動向を論じることを提案した。スイスは、スロベニアの支持を受け、世界の動向への言及を求めた。サウジアラビアとカナダは、ベネズエラの支持を受け、この文章では化石燃料の「燃焼(combustion)」に言及しないよう要請し、その理由は以前の草案に記載されていなかったため、各国の困難な状況のためだと述べた。

「非炭素化(decarbonization)」への言及という要求に関し、CLAsは、この用語はパラグラフの後の方で出てくると指摘した。「成長(growth)」及び「燃焼(combustion)」への言及の保持を支持するCLAsは、化石燃料には燃焼以外の用途もあると説明し、経済成長は基本的な世界分解分析の要素の一つであると述べた。共同議長のPichs-Madrugaは、次の文章を提案し、参加者もこれに同意した:「世界的には、経済成長及び人口の増加は、化石燃料の燃焼によるCO2排出量を増加させる最も重要な推進要素であり続ける。2000年から2010年での人口増の寄与度は、その前の30年間のそれとほぼ同一のままであるが、経済成長の寄与度は急速に上昇した(Globally, economic and population growth continue to be the most important drivers of increases in CO2 emissions from fossil fuel combustion. The contribution of population growth between 2000 and 2010 remained roughly identical to the previous three decades, while the contribution of economic growth has risen sharply)」。その後参加者は、エネルギー原単位の改善と石炭の利用増による非炭素化の流れの逆転とが相殺しあうとする2つの文章を検討、承認した。

化石燃料の燃焼によるCO2排出量の世界合計における10年単位の変化について、人口、一人当たりの国内総生産(GDP)GDPのエネルギー原単位、エネルギーの炭素原単位で分解した図SPM.3は、明確さと一貫性のための改定を行ったのち承認された。

追加の緩和努力なしの経済成長に関するパラグラフについて、CLAは、「気温中心値の上昇(median temperature increase)」に言及する文節を「世界平均地上気温の上昇(global mean surface temperature increase)」に変更し、数値もこれに対応させたと説明した。セントルシアとノルウェーは、中心値の保持を希望し、こちらの数字の方が、政策関連性があると指摘し、参加者もこの再挿入に同意した。あるCLAは、ノルウェーの質問に応え、「今日既にあるもの以上(beyond those in place today)」のGHG排出削減努力を追加しない限り、排出量は増加すると明記するよう提案し、参加者もこれに同意した。CLAは、中国の質問に応え、平均値という広範な気温範囲に移行したのは、WGIとの一貫性保持が目的であるとし、追加緩和なしの場合の将来シナリオでの気温の不確実性を示すためだったと説明した。カナダは、追加緩和の量的パラメタ―を含めるよう要請した。中国は、次の文章の削除を提案し、参加者もこれに同意した:「気候対応の不確実性のため、より高い気温の可能性も除外できない(higher temperatures cannot be excluded due to climate response uncertainties)」。

排出量増加の推進要素に関し、スロベニアとEUは、「経済成長(economic growth)」への言及を支持したが、サウジアラビア、中国、シエラレオネ、セネガル、カタールは、「経済活動(economic activities)」を希望した。サウジアラビアは、先進国の経済活動に焦点を当てるよう求め、「途上国に成長の鈍化を求める(asking developing countries to slow down growth)」ことに対し警告した。中国は、気候変動の影響は排出量の増加のみが原因ではない、既存のGHG貯留量も原因だと強調した。英国は、基礎報告書に記載する人口増と経済活動の両方への言及を支持した。サウジアラビアは、妥協案として「経済活動及び成長(economic activities and growth)」への言及を提案した。多様な提案及び書式が提起された後、参加者は次の文章にすることで合意した:「今日既にあるGHG排出削減努力を追加しない限り、世界の人口増及び経済活動により、排出量の増加は持続すると予想される(without additional efforts to reduce GHG emissions beyond those in place today, emissions growth is expected to persist driven by growth in global population and economic activities)」。さらに、地球の平均地上気温の上昇及び気温の中心値の上昇の両方にも言及する。CLAsは、代表的濃度経路(RCPs)と基礎報告書で集められたシナリオとのリンクに関するロシアの懸念表明に対応し、基礎報告書の文章を脚注に含めるよう提案し、参加者もこれに同意した。

ドイツは、2010年の時点で、10か国の排出量が化石燃料燃焼及び産業プロセスからのCO2排出量の約70%を占めたとする12月のSPM草案の文章を含めるよう提案した。共同議長のEdenhoferは、各国のグループ化に関するコンタクトグループの議論が終了次第、この問題についてコンタクトグループでの議論を行うと提案し、参加者もこれに同意した。コンタクトグループの作業終了後、プレナリーの最終日にこの問題が提起されたが、合意には至らなかった。

最終的なSPM.3の文章:このセクションは、特に次に焦点を当てる:人為的なGHG合計排出量は1970-2010年の期間、増加し続けた;化石燃料の燃焼及び産業プロセスからのCO2排出量は、1970-2010年におけるGHG合計排出量の増分の約78%に寄与し、2000-2010年の期間でも同様な割合で寄与している;1750-2010年の人為的CO2累計排出量の約半分は、過去40年間に発生した。このセクションは、2000年から2010年の期間の人為的GHG排出量が10 GtCO2eq/年増加し、その47%はエネルギー供給部門、30%は産業部門、11%は輸送部門、3%は建築部門に起因すると指摘する。さらにこのセクションは次のように結論づける:経済成長及び人口の増加は、化石燃料の燃焼によるCO2排出量増加の最も重要な推進要素であり続ける;排出量の増加は、GHG排出削減努力を追加しない限り持続すると予想される。

このセクションには次の図も含まれる:1970-2010年のガスグループ別の人為的GHG排出量の年次合計に関する図SPM.1;経済部門別の人為的GHG排出量の合計に関する図SPM.2;主要な推進要素別に見た化石燃料燃焼によるCO2排出量の世界合計を10年ごとの変化に分解する図SPM.3。

SPM.4. 持続可能な開発の観点からみた緩和経路及び緩和措置:SPM.4.1. 長期緩和経路:共同議長のEdenhoferは、このセクションを提起し、AR4以後の主要な改善点及び差異を強調した、この中には一貫性確保を目的とする全シナリオ横断の気候情報の調整、炭素(CO2)回収貯留(CCS)など二酸化炭素除去技術(CDR)を含める広範な技術ポートフォリオの考察が含まれる。

あるCLAは、このセクションの概要を示し、近未来だけでなく長期戦略の観点からも考察したと強調した。このCLAは、次の点を指摘した:300件のベースラインシナリオ、900件の緩和シナリオを含め、AR4以降の(評価)モデルの数を増やし、これらのシナリオを、RCPsを通してWGIとリンクさせる構成にした;低排出シナリオの件数を増やした;シナリオの中に広範な社会経済的、技術的、制度的ダイナミックスを取り入れた;オプションを評価し、その実施可能性については判断を避ける形での情報提供を意図した。

異なる緩和レベルと一致する広範な技術オプション及び行動オプションを有するシナリオは、複数以上存在するthere are multiple scenarios with a range of technological and behavioral options that are consistent with different levels of mitigation)」と記述する導入部のパラグラフに関し、サウジアラビアは、SPMではテクニカルサマリーの表現が省略されているとして懸念を表明し、いかなるレベルであれGHG濃度を安定化させる単独の経路は存在しない、文献は安定化レベル達成への一連の経路を指摘していると発言した。執筆者は、文章の現状保持を希望し、SPMとテクニカルサマリーでは視点が異なると指摘した。サウジアラビアは、このようなシナリオ及び経路と持続可能な開発との相互作用を説明する必要があると強調し、参加者は、持続可能な開発からみたオプションの特性の違いや影響を記述する文章を追加することで合意した。

ボリビアは、このセクションでの異なる技術オプションへの言及方法に懸念を表明し、特に地球工学や関係オプションは、同代表に言わせると、母なる大地の権利を侵害するものであり、気候変動への対応能力は実証されておらず、「先進国からの新たな種類の侵害(new kind of invasion from developed countries)」だと述べた。同代表は、このような技術の影響結果、限界、可能なリスクに関する不確実性を強調し、このような問題への対応に関する、倫理プロトコルの設置をIPCCに提案した。同代表は、CDR技術の限界及び可能なリスクを指摘し、CDRからの排出量オフセットを数量化するには知識が不十分だと指摘する文章を、導入パラグラフに加えるよう提案した。共同議長のEdenhoferとCLAsは、ここは特定技術への言及に適した箇所ではないと指摘し、このパラグラフは一連のシナリオに関する一般的記述を意図しており、CDRについては、その後のパラグラフで扱われると述べた。

WGIII報告書で評価した長期シナリオの作成に用いた統合モデルを説明する脚注に関し、日本は、「費用効果の高い(cost-effective)」を「理想的な(idealized)」に代えるよう要請した。CLAsは、この文章で「費用効果の高い(cost-effective)」解決策とされるものは理想的なものだと明記する表現を提案した。ボリビアは、「転換(transformation)」の用語及び概念に関するWGIIでの長時間の議論を想起し、 同じ定義をここにも入れるよう提案した。共同議長のEdenhoferは、ここでの転換(transformation)という言葉の使用はWGIIの場合とは異なると指摘し、「緩和経路の主要な特性(key characteristics of mitigation pathways)」 との表現を提案し、参加者もこの変更に同意した。

次の文章「これは、2100年の大気濃度を430 ppm CO2eqから720 ppm CO2eqの範囲とするものであり、これは2100年の強制力レベルで見た場合は、RCP 2.6とRCP 6.0との間に相当する(this range spans atmospheric concentration levels in 2100 between 430 ppm CO2eq and 720 ppm CO2eq, which is comparable to the 2100 forcing levels between RCP 2.6 and RCP 6.0)」に関し、430 ppm以下のシナリオを含めるかどうかで多少の議論があった。CLAsは、430ppm以下のシナリオ導入に関するセントルシア、カナダ、米国、サウジアラビアの質問に応え、430ppm以下のシナリオに関する研究は2件だけであり、この2つの研究は2つの異なるモデルを用いている、このためその内容は一致しておらず、基礎報告書で用いたデータベースにこれらを含めるわけにはいかなかったと説明した。オーストラリアは、記載された範囲外のシナリオの評価も行われており、この中には430ppm以下のシナリオも数件含まれると明記し、この問題を適切に説明するパラグラフ参照のための文章を追加するよう提案し、参加者もこれに同意した。

「緩和シナリオは、一連の技術的、社会経済的、そして制度軌跡に基づく(the mitigation scenarios are based on a range of technological, socioeconomic and institutional trajectories)」との文章に関し、ボリビアは、シナリオにおいて市場ベース手法のみをどの程度考察しているかと質問し、この点を明確にする表現を求めた。CLAsは、モデルでは多数の方法論や手法が使われ、市場対非市場で、モデルを特徴づけることはできないと説明した。

同じ文章に関し、サウジアラビアは、技術面、社会経済面、制度面における不確実性への言及を求めた。カナダは、不確実性やシナリオの議論で基礎報告書の関連の章に言及することを提案し、CLAsもこれを支持した。ルクセンブルグとスイスは、これに反対し、不確実性はパラグラフの別な箇所で既に記載されていると指摘した。

この議論は、ボリビア、サウジアラビア、CLAs間の少人数グループの協議に回され、このグループは、「緩和シナリオには広範な技術的、社会経済的、制度的軌跡が関係するが、不確実性そしてモデルの限界もあり、この範囲の外でも発展は可能である(the mitigation scenarios involve a wide range of technological, socioeconomic and institutional trajectories, but uncertainties and model limitations exist and developments outside this range are possible)」とすることで合意した。その後、提示されたとおりの改定文章で合意した。

異なる長期濃度レベルに関するベースライン及び緩和シナリオでの世界的GHG排出経路、及びこれに伴う2030年、2050年、2100年の低炭素エネルギーの必要量拡大に関するSPM.4は、多少の改定を行い承認された。

その後、参加者は、「人為的GHG排出量を原因とする気温変化を産業革命前比で2℃以下に抑えられる可能性が高い緩和シナリオは、2100年の大気濃度約450 ppm CO2eqを特徴とするMitigation scenarios in which it is likely that the temperature change caused by anthropogenic GHG emissions can be kept to less than 2°C relative to pre-industrial levels are characterized by atmospheric concentrations in 2100 of about 450 ppm CO2eq)」との記述で始まるパラグラフについて議論した。「2100年までに濃度レベルが約500 ppm CO2eqに達する緩和シナリオは、気温の変化を産業革命前の水準比で2℃以下に限定する可能性がなくもない、ただし2100年以前に一時的にでも約530 ppm CO2eqを「行き過ぎる」場合は別である(Mitigation scenarios reaching concentration levels of about 500 ppm CO2eq by 2100 are more likely than not to limit temperature change to less than 2°C relative to preindustrial levels, unless they temporarily “overshoot” roughly 530 ppm CO2eq before 2100)」で始まる文章に関し、米国は、一時的にも目標を超えるという「行き過ぎ(overshoot)」という言葉の役割や時間枠について、懸念を表明した。スイスは、CDR技術への言及を含めるよう提案した。カナダは、530 ppm「を通り過ぎる(by)」行きすぎではなく、「に至る(to)」行き過ぎであると明示する表現を求めた。スロベニアは、530 ppmを閾値とみられかねないようにすべきではないと警告した。この文章は、カナダの提案する改定を加えて承認された。

ベルギーは、このパラグラフは3℃ではなく2℃シナリオに関するものであるとし、2℃を超えるシナリオへの言及は、新しい目標設定と誤解される可能性があると警告した。ノルウェーは、3℃シナリオの問題は別なところで論じられていると述べ、このためこのパラグラフでも言及するのは余計だと述べた。あるCLAは、ここでの言及は価値があると述べ、この言及で3℃の温度上昇の可能性を高める濃度がどれかをバランスのとれた形で表現すると述べた。ノルウェーとベルギーは、650 ppmは正確な閾値ではないことを示すため、「650 ppm」の前に「約(about)」を挿入するよう求め、参加者もこれに同意した。ドイツは、580 ppm及び650 ppmのシナリオに言及する文章の追加を提案し、協議の後、CLAsは次の新しい文章を提案した:「2100年までに550から650 ppm CO2eq濃度に達するシナリオは、気温の変化を2℃以下に抑える可能性があるというよりはない可能性が高い(Scenarios that reach 550 to 650 ppm CO2eq concentrations by 2100 are more unlikely than likely to keep temperature change below 2°C)」。スロベニアは、「産業革命前レベル比(relative to preindustrial levels)」を入れるべきだと指摘した。ベルギーは、シナリオは530から650 ppmの範囲にすべきだと述べ、参加者もこれらの改定に同意し、この文章を承認した。

 カナダは、スウェーデン及びデンマークの支持を得て、文章を明確にするため、次を提案した:「2100年までに気温のピークを迎え、その後気温の変化を1.5℃以下にする緩和シナリオは、2100年までに430 ppm CO2eqをかなり下回る大気濃度とする特徴がある(mitigation scenarios in which temperatures peak and are then likelyto bring temperature change to less than 1.5°C by 2100 are characterized by 2100 atmospheric concentrations well below 430 ppm CO2eq)」。少人数グループでの協議の後、参加者は、次の文章にすることで合意した:「2100年までに気温上昇を産業革命前水準比で1.5℃以下にする可能性がなくもない緩和シナリオは、2100年で430 ppm CO2eq以下の濃度という特徴がする(mitigation scenarios in which temperature increase is more likely than not to be less than 1.5 °C relative to pre-industrial levels by 2100 are characterized by concentrations in 2100 of below 430 ppm CO2eq)」。

WGIII AR5のため集められ、評価されたシナリオの主要な特性に関するSPM.1について、参加者は、2010年の排出量の割合ではなく、2100年と比較した2050年から2100年のCO2換算排出量の変化率(%)とすることで合意した。この表及び関係する脚注は、明確さと一貫性をもたせるため改定された。その後参加者は、次の記述で始まるパラグラフについて議論した:「2100年までに約450 ppm CO2eqの大気濃度に達するには、エネルギーシステムの本質的な変換を図り、さらに土地利用のポテンシャルも含め、人為的なGHG排出量を今世紀半ばまでに大幅に削減する必要があるreaching atmospheric concentration s levels of about 450 ppm CO2eq by 2100 would require substantial cuts in anthropogenic GHG emissions by mid-century through fundamental changes in energy systems and potentially the land surface)」。タンザニアとインドは、「本質的な(fundamental)」変換とは何かを明らかにするよう要請し、サウジアラビアとボリビアは、この用語に異議を唱え、主観的過ぎると指摘した。さらにサウジアラビアは、「エネルギーシステムの本質的な変換」と共に、土地利用の変化の「ポテンシャル」への言及も取り上げ、このシナリオでは土地利用変化の必要性について、明確かつ強力に言及する必要があると述べた。CLAsは、土地利用変化の「ポテンシャル」という表現は、全てのシナリオがエネルギーの本質的変化を示しているのに対し、必ずしも土地利用の変化を示していない事実に由来すると説明した。

CLAsは、「土地表面(land surface)」という言葉を「土地利用(land use)」に、「本質的(fundamental)」を「大規模な(large-scale)」変化に変更することに同意した。

このパラグラフ、及びこれに続くシナリオでのCDRの信頼性や一時的な行き過ぎに関するパラグラフは、オランダとブラジルが共同進行役を務める非公式グループで議論が続けられた。最初のパラグラフに関し、途上国数か国は、2050年までに40-70%の削減への言及に対する反対意見を再度述べ、これは規範的であると指摘し、数字の削除を求めた。これに対し、先進国数か国は反対し、数字は一連のシナリオから得られた説明的なもので政策関連性を持つと述べた。CLAsは、次の改定文書を提出した:(1) 世界の気温変化を産業革命前レベル比で2℃以下に抑える目標に言及する;(2) この変化は、各地のビジョンや手法により効果が高まるとする脚注を含める;(3) AR4の数値と比較する別な脚注を追加する。

途上国数か国は、2050年までに40-70%削減という表現を除去する必要があると主張し、全てのシナリオの多様な範囲を示すか、望むべくは表SPM.1にある情報のみに言及することを提案したが、先進国数か国はこれに反対した。ある途上国は、この途上国案を支持し、1.5℃目標の方を希望すると表明した。これに対し、ある先進国代表は、同じ変化を短い時間規模で行うことを求める低濃度シナリオに関する表現の追加を提案した。さらに同代表は、これらのシナリオは長期的には化石燃料の段階的廃止を暗示しているとの記述を求めた。CLAsは、他のレベルの量的数値の追加を提示したが、ある途上国は混乱するし、扱いづらいとして反対した。ある先進国はエネルギー効率の更なる向上への言及を入れるよう求め、参加者もこれに同意した。

最終合意されたパラグラフでは、多様な提案を取り入れている、この中には異なるシナリオの詳細を含める一方、40-70%削減という表現の保持が含まれる。つまるところ、このパラグラフは次のように記述する:2100年までに約450 ppm CO2eqの大気濃度レベルに達するシナリオには、2050年までに2010年比で40-70%の世界的な排出削減が含まれ、さらに2100年に排出レベルをゼロに近くする、あるいはマイナスにすることが含まれる。さらにこのパラグラフは、500 ppm CO2eq及び550 ppm CO2eqに達するシナリオでの2050年及び2100年の削減割合(%)を示す。このパラグラフでは、450 ppm CO2eqに達するシナリオの特徴を説明し、エネルギー効率の急速な改善や再生可能エネルギー、原子力、CCS付の化石燃料、あるいはCCS複合バイオエネルギー(BECCS)による低炭素またはゼロ炭素のエネルギー供給の割合を2050年までに3倍から4倍近くにすることを含めると述べた。またこのパラグラフは、シナリオが示唆する大幅な変更は地域により異なり、高濃度に達するシナリオにも同様な変化が含まれるが、その時間規模は緩やかである、その一方、低濃度達成のシナリオはこのような変化を急激に行うことが求められると記述する。

参加者は、その次のパラグラフについて議論した、この中には、多様なシナリオにおいて濃度目標を一時的に超えるあるいは「行き過ぎる(overshooting)」ことの暗示、これらのシナリオにおけるCDRへの依存度に関する問題が含まれる。ある途上国は、気候変動との戦いでのCDRのポテンシャルについては証拠が限定的であるとするよう提案し、このような技法にはリスクや不確実性があると指摘した。さらに同代表は、次のような脚注の組み入れを提案した:「WGIによると、CDR手法の地球規模でのポテンシャルには、生物地学化学的、そして技術的限界がある(according to WGI, CDR methods have biogeochemical and technological limitations to their potential on the global scale)」。別な途上国は、次の文章を提案した:「大半の評価では、地球工学技術は従来の緩和及び適応に代わるものとして扱うべきでない、これは高いコストを生むリスク、もしくは普遍的な不確実性があるためである(most assessments agree that geoengineering technologies should not be treated as a replacement for conventional mitigation and adaptation due to high-cost risks or pervasive uncertainties)」。執筆者は、書き直した提案を提示した、これにはCDR技術に伴うリスクの認識も含まれた。

「大半のシナリオでは、二酸化炭素はBECCSにより大気から除去される(in most scenarios, carbon dioxide is removed from the atmosphere through BECCS)」との文章、及び「一部のシナリオには、別なCDRオプションや大規模新規植林も含まれる(another CDR option, large-scale afforestation, is also included in some scenarios)」との文章に関し、ある途上国は、新規植林を単独で取り出すのではなく、CDRへの一般的な言及にするよう提案したが、執筆者は、この文章はシナリオで用いる真の情報を説明するものだと強調した。結局、参加者は、次の表現の文章で合意した:「行き過ぎのレベルにもよるが、行き過ぎシナリオは、通常、今世紀後半におけるBECCS及び新規植林の利用可能性及び広範な展開に依存する(Depending on the level of the overshoot, overshoot scenarios typically rely on the availability and widespread deployment of BECCS and afforestation in the second half of the century)」。BECCS、大規模新規植林、その他のCDR技術の利用可能性と規模は不確実であり、多岐のリスクを伴うと記述する文章に関し、ある途上国は、大規模新規植林の「リスク(risks)」を特定するのではなく、CDRのリスクという広範な表現を提案した。ある先進国は、BECCS、大規模新規植林、及びCDRには「程度の異なる(to varying degrees)」課題やリスクを伴うとする文章を提案し、参加者もこれに同意した。一部の参加者は、CDRに伴う「社会経済的(socioeconomic)」リスクへの言及を提案したが、他のものは反対し、一部のものは、このようなリスクは報告書の別なセクションで適切に論じられていると述べた。参加者は、結局、セクションSPM.4.2に規定するとおり、課題及びリスクへの言及を含めることで合意した。

最終合意文章は次のとおり:「2100年に約450 ppm CO2換算に達するとする緩和シナリオは、通常、大気濃度の一時的行き過ぎを含める、これは2100年に約500 ppmから550 ppm CO2eqに達するとする多数のシナリオでも同様である。行き過ぎレベルにもよるが、行き過ぎシナリオは、通常、今世紀後半におけるBECCS及び新規植林の利用可能性と広範な展開に依存する。これらの利用可能性及び規模、さらには他のCDR技術や手法の利用可能性や規模には不確実性があり、CDR技術及び手法には、程度は異なるが、課題やリスクを伴う(mitigation scenarios reaching about 450 ppm CO2 equivalent in 2100 typically involve temporary overshoot of atmospheric concentrations, as do many scenarios reaching about 500 ppm to 550 ppm CO2eq in 2100. Depending on the level of the overshoot, overshoot scenarios typically rely on the availability and widespread deployment of BECCS and afforestation in the second half of the century. The availability and scale of these and other CDR technologies and methods are uncertain and CDR technologies and methods are, to varying degrees, associated with challenges and risks」。さらに次のように記述する:「CDRは、行き過ぎのない多数のシナリオでも広く取り上げられている、これは緩和の費用が高い部門での残りの排出分を調整するためである。BECCS、大規模新規植林、CDR技術と手法の大規模な展開の可能性については、限定的な証拠しかない(CDR is also prevalent in many scenarios without overshoot to compensate for residual emissions from sectors where mitigation is more expensive. There is only limited evidence of the potential for large-scale deployment of BECCS, large scale afforestation and other CDR technologies and methods)」。

このセクションの他のパラグラフでは、次の記述のパラグラフが議論された:「カンクン合意に基づく世界のGHG排出レベルの推計は、気温上昇を2℃に限定する費用効果の高い長期緩和軌跡と一致しないestimated global GHG emissions levels in 2020 based on the Cancún Pledges are not consistent with cost-effective long-term mitigation trajectories limiting temperature rise to 2°C )」。中国は、2030年までの排出経路に関し、図SPM.5で検討したシナリオとカンクン合意との関係について質問し、あるCLAはこれに応えて、費用効果の高いシナリオの圧倒的多数は明らかにカンクン合意以下だと明言した。ノルウェーは、文章の中に図SPM.5への言及を加えるよう提案した。サウジアラビアは、インドの支持を受け、12月のSPM草案に立ち戻るよう提案した。非公式折衝の後、参加者は、カンクン合意は2℃の温暖化にとどめる費用効果の高い長期緩和軌跡と一致しないとする文章で合意した。

ニュージーランドは、サウジアラビアの支持を得て、用語集に「カンクン合意(Cancún Pledges)」の定義を入れるよう提案し、参加者もこの挿入に同意した。カンクン合意は2020年に言及するが、2030年までの緩和行動というのは、長期の気温目標達成を志向する経路やオプションを極めて大きく制約する効果があると指摘する文章に関し、カナダは、この文章では緩和行動を早く行えばおこなうほど、先へ進むのを制約する行動は少なくなっていくことが正確に反映されていないとし、これを反映する表現を求めた。オーストラリアは、この文章が必要かどうか質問した。ベルギーは、2020年と比較し2030年に焦点を当てた理由を尋ねた。執筆者は、2030年を強調した関連性について説明し、10年以内でも制約効果はかなり高まると指摘し、緩和を2030年まで遅らせる場合には、2020年まで遅らせる場合と比較し、緩和という課題に対し、より大きな影響を及ぼすとする表現を提案した。カナダは、この書き方では既に行われている緩和行動が考慮されていないとし、この点を反映する表現を求めた。参加者は、これに続くパラグラフの中に似通った表現があると指摘し、この文章を削除することで合意した。

次の記述をするパラグラフの第1文:「緩和を2030年まで遅らせるなら、低い長期排出レベルへ移行する困難さが大きく高まり、気温の変化を産業革命前比2以下で維持することと一致するオプションの範囲が狭められるdelaying mitigation through 2030 will substantially increase the difficulty of the transition to low longer-term emissions levels, and narrow the range of options consistent with maintaining temperature change below 2°C relative to preindustrial levels)」に関し、カナダとオーストラリアは、緩和が既に行われていることを反映させるため「増加した緩和(increased mitigation)」とするよう提案したが、CLAsは、「今日行われている努力以上の緩和努力(mitigation efforts beyond those in place today)」という表現を希望した。ベルギーは、「will」ではなく「would」を希望すると表明した。サウジアラビアは、ブラジルの支持を得て、この文章は予測に言及すべきだとし、CLAsは、この点を反映する文章を提案した。参加者は CLAs提案の変更を加え、この文章を承認した。

2100年までに約450から500 (430-530) ppm CO2eqの濃度に達する緩和シナリオにおいて、2030年時点のGHG排出レベルの違いが、2030年から2050年の期間にCO2排出削減量及び低炭素エネルギーの規模拡大率に与える影響に関するSPM.5については、大きな変更がなかった。

参加者は、次のとおり記述するパラグラフの第1文を承認した:「緩和の集約経済コストの推計値は大きく異なり、モデルの設計や想定条件、シナリオの規格に極めて高い感度を有するestimates of the aggregate economic costs of vary widely and are highly sensitive to model design, assumptions and specification of scenarios)」。米国は、英国、チリ、スイス、アイルランド、ノルウェーの支持を受け、この後の文章の次の記述に含まれる数値に対し、懸念を表明した:「2100年までに約450ppm CO2eqの大気濃度に達する緩和シナリオには、世界の消費量の損失が含まれる、これはベースラインの消費量と比較した変化率として計算され、緩和なしで起きる場合と比較し、2030年では1-4%、2050年では2-6%、2100年では3-11%となる(mitigation scenarios that reach atmospheric concentrations of about 450ppm CO2eq by 2100 entail global consumption losses, measured as a change from baseline consumption, of 1% to 4% in 2030, 2% to 6% in 2050, and 3% to 11% in 2100 relative to what would happen without mitigation)」。これら諸国は、この数値を、ある時点における数値ではなく、一定期間での年ごとの消費量の数値として枠づけしなおことを求め、こうすることで、費用の情報を「明確かつバランスのとれた(clear and balanced)」形で伝えられると述べた。チリは、消費モデルを「解決策の一部(part of the solution)」に変えることが重要だと強調した。スイスは、この想定条件は今世紀のうちに「急激に(radically)」変化する可能性があると指摘し、それぞれの時間枠に関係する確実性レベルに言及するよう求めた。ノルウェーは、これらの数値は緩和の共同便益や気候変動削減の他の便益を考慮に入れていないと明言する文章の追加を要請した。

この文章は、このパラグラフの残りの部分と共に、非公式コンタクトグループでの議論に回された。コンタクトグループ会議で、参加者は、コストに関する情報を統合し、補足コストに関する情報を追加し、コストの多様な側面を拡大し、たとえば毎年発生するコスト、及びこれが意味する毎年の成長率の低下による複合影響を示す文章に改定した。BECCSへの言及に関し、サウジアラビアは、BECCSに加えてCCSにも言及するよう求め、参加者は、次のような文章に改定することで合意した:「バイオエネルギー、CCS及びその組み合わせ(bioenergy, CCS and their combination (BECCS))」。

費用効果の高いシナリオにおける世界的緩和コスト、及び特定技術の利用可能性が限定され、追加の緩和が遅れると想定した場合に推計される費用の増加に関するSPM.2は、明確さと一貫性を持たせるため、改定された。

参加者は、次の記述をするパラグラフの文章について議論した:「2100年までに気温の変化を産業革命前の水準より1.5℃以下の上昇に戻す可能性がなくもないシナリオを探求した研究論文は限られる数しかない;これらのシナリオは2100年までに大気濃度を430 ppm CO2eq以下にする(Only a limited number of studies have explored scenarios that are more likely than not to bring temperature change back to below +1.5 °C relative to pre-industrial levels by 2100; these scenarios bring atmospheric concentrations to below 430 ppm CO2eq by 2100)」。セントルシアは、異なる時間枠でのCO2累積排出量に関する量的情報を含めた脚注の追加を求めた。サウジアラビアは、不確実性のレベルの特性を示すよう求めた。スイスは、これらのシナリオではCDRの利用が必要になるとの見方を示し、この点に言及すべきだと述べた。あるCLAは、CDRはこれらのシナリオだけの特性ではないと説明した。参加者は、セントルシアの提案した脚注を含め、このパラグラフを提示されたとおり承認した。

その後、参加者は、450または500 ppm CO2eqの緩和シナリオに伴うコスト、共同便益、副次的悪影響に関するパラグラフの第1文について議論した、この第1文は次のように記述する:これらのシナリオは、「大気の質及びエネルギー安全保障の目的達成における政策コストの削減を示し、人間の健康や生態系への影響、エネルギーシステムにおける資源の充足や復元力において、大きな共同便益を伴う(that these scenarios “show reduced policy costs for achieving air quality and energy security objectives, and they are associated with significant co-benefits for human health, ecosystem impacts, and sufficiency of resources and resilience of the energy system)」。

ノルウェーは、「政策コスト(policy cost)」ではなく「コスト(cost)」とするよう提案し、CLAsもこれを支持した。スイスは、エネルギーシステムと大気の質を強調していることについて質問し、ベネズエラは、「エネルギー安全保障(energy security)」を「エネルギー供給(energy supply)」に置き換えるよう提案、 サウジアラビアは、副次的悪影響を含めるよう求め、エネルギー安全保障と大気の質以外では、他の全ての共同便益への言及を除去するよう提案した。

エネルギー安全保障及び大気の質への言及について、あるCLAは、このパラグラフが引用したシナリオ文献では、これらの2つの共同便益に関するものしか、確固とした定量化された証拠を記載しておらず、副次的悪影響については記載がないことを明らかにした。エネルギー供給への言及という提案に関し、このCLAは、これはエネルギー安全保障の一要素であると指摘した。悪影響への言及の挿入というサウジアラビアの要請に対し、CLAsは、次の句を文末に加えることを提案し、参加者もこれに同意した:「これらのシナリオは他の共同便益及び副次的悪影響の定量化をしていない(these scenarios did not quantify other co-benefits or adverse side-effects)」。

エネルギー最終用途の共同便益ポテンシャルは、副次的悪影響のポテンシャルを上回る可能性がある、これは全てのエネルギー供給及びAFOLU措置にあてはまるわけではない可能性があることを証拠は示唆していると記述する文章に関し、日本は、この内容でのAFOLUへの言及について質問し、一方、サウジアラビアは、AFOLU及びエネルギー供給措置の両方の副次的悪影響を強調することに反対した。CLAsは、各部門の共同便益及び副次的影響のポテンシャルについて詳細な評価が行われたことを明らかにし、AFOLU及びエネルギー供給措置には大きな副次的影響のポテンシャルがあることが特徴だが、このことはAFOLUには共同便益がない、あるいは自動的に副次的悪影響を生むことを意味すると捉えるべきではないと述べた。CLAs及びカナダからの提案をうけ、参加者は、共同便益の「ポテンシャル」は副次的悪影響の「ポテンシャル」を上回ることを反映する定量化表現で合意した。

参加者は、2005年と比較した2050年の黒色炭素及び二酸化硫黄の大気汚染排出レベルに関するSPM.6を、多少の変更を加えて承認した。

異なる諸国間のコストの分布に関するパラグラフについて、スイスは、このパラグラフは表現を明確にしない限り誤って解釈される可能性があるとの懸念を表明し、米国は、このパラグラフにある科学的要素を政策処方的、規範的要素から解き放す必要があると述べた。ノルウェー、カナダ、EUは、パラグラフを改善するため非公式コンタクトグループを作るよう求めたが、ブラジル、サウジアラビア、南スーダンはこれに反対した。共同議長のSokonaは、CLAsがパラグラフを改定し、改定された文章を提示すると提案し、参加者もこれに同意した。CLAsは、次のように記述するパラグラフ第1文の文案を提示した:「緩和シナリオにおいては、緩和努力及びこれに伴うコストが、国により異なる。国家を横断するコストの分布は、行動自体の分布で異なる可能性がある(mitigation efforts and associated costs vary between countries in mitigation scenarios. The distribution of costs across countries can differ from the distribution of the actions themselves)」。あるCLAは、この改定文章は規範目的とシナリオの表現での混乱の可能性を指摘した参加者の懸念に対応するものであり、政策決定者が用いる資金関連の表現に関する懸念にも対応していると説明した。参加者は、これ以上の変更を行わず、この文章及びパラグラフ全体を承認した。

参加者は次の新しいパラグラフについても合意した:「定量化が十分でない気候政策では、広範な副次的悪影響が起きる可能性があるが、同時に共同便益及びスピルオーバー効果の可能性もあるthere is a wide range of possible adverse side-effects as well as co-benefits and spillovers from climate policy that have not been well-quantified)」。

次の文章「緩和政策は化石燃料資産の価値を削減する可能性があるが、地域及び燃料により差異があるpolicy may devalue fossil fuel assets, but differences between regions and fuels exist)」に関し、スイスは、商品に価値を提供する市場の役割を認識するよう要請し、オランダと共に化石燃料資産の価値もこの観点に含めるよう提案した。オランダは、化石燃料資産の「価値削減(devaluation)」ではなく「再評価(re-evaluation)」に焦点を当てるよう求めた。あるCLAは、「再評価(re-evaluation)」は「プラスマイナス両方に向かう(go in both directions)」可能性があり、「価値削減(devaluation)」の方が正確であると説明した。サウジアラビアは、化石燃料の価値が削減するという示唆は「科学を試す(put science to the test)」ことになると述べた。オランダは、化石燃料生産国は将来持続可能なエネルギーの生産国になれるインフラを保有しているとの考えが反映されていないと述べた。あるCLAは、持続可能なエネルギーの機会も化石燃料の価値削減を変えるものではないと応じ、参加者に対し、この記述を容認するよう求めた。

同じパラグラフにおいて、緩和政策は石炭輸出国に相当マイナスの影響を与え、天然ガス輸出国には中期的な利益を与えるとする文章に関し、ノルウェーは、「中期的な(medium-term)」の明確化を求めた。オーストラリアは、「相当マイナスの(largely negative)」の意味について質問した。アルゼンチンは、どのくらいの期間のことを指しているかと尋ねた。サウジアラビアは、石油輸出国の収入に対する緩和政策の影響の文章を、その記述に帰す確信度レベルに応じて分けることを提案し、エネルギー輸出国の都市部や食糧安全保障、貧困、観光へのスピルオーバー効果に関するパラグラフの挿入を提案した。

非公式コンタクトグループでの協議で、この文章の再調整が行われ、一貫性が高められた、その後参加者はこの文章を承認した。この文章は次のように記述する:「大半の緩和シナリオは、石炭石油の主要輸出国における貿易収入の削減を伴う(確信度は高い)(most mitigation scenarios are associated with reduced revenues from coal and oil trade for major exporters (high confidence))」、そして「天然ガスの輸出収入に対する緩和の影響は、不確実性が高い(確信度は中程度)(effect of mitigation on natural gas export revenues is more uncertain (medium confidence))」、さらに「CCSが利用可能であれば、化石燃料資産の価値に対する緩和の悪影響は軽減される(確信度は中程度)(availability of CCS would reduce the adverse effects of mitigation on the value of fossil fuel assets (medium confidence).)」。

SPM.4.1 最終文章:長期緩和経路に関し、次のように記述する:それぞれの緩和レベルと合致する一連の技術オプション行動オプションを伴う多数のシナリオがあり、多様な緩和シナリオに対応する、この中には気温の変化を産業革命前レベルより2℃以下で抑える可能性が高いものも含まれる。カンクン合意に基づく2020年の世界のGHG排出量の推計値は、費用効果の高い長期緩和軌跡と合致しないと見られ、2030年まで既存の緩和努力以上の努力を遅らせるなら、低い長期排出レベルへの移行の困難さが大きく増大すると推定されると警告する。さらにこのセクションは、特に次の点を指摘する:緩和努力及びこれに伴うコストは、緩和シナリオにある国により異なる;緩和政策は、化石燃料資産の価値を削減し、化石燃料輸出国の収入を減らす可能性がある。

SPM.4.2. 部門別及び部門横断の緩和経路及び措置:CLAsは、このセクションを提起し、最初の部分では、エネルギー需要及び輸送、建築、産業、AFOLUの各部門に対し、エネルギー供給がどういう影響を与えるかを論じると指摘し、特に次の項目を記述する:AR4以後の緩和技術及びその開発に関する情報;緩和コスト、共同便益、リスク、副次的悪影響、ポテンシャル。執筆者は、人間の居住及び空間利用計画の強調はAR5における新しい重要な革新を示すと指摘し、このセクションの第2部では次の問題を全体論的観点から論じると説明した:人間の居住、及び輸送、建築、産業部門のインフラとエネルギー需要との相互関係;これらの最終用途部門は人間の居住にどのように形で現れるか。執筆者は、このセクションでは特に次の問題を論じると述べた:部門を横断し、さらに都市規模において排出量を削減するベストプラクティス技術の実施に対する資金的、制度的障壁の克服;インフラ及び都市計画による最終用途部門でのエネルギー需要の固定(lock-in)

SPM.4.2.1. 部門横断的緩和経路及び措置:次の文章で始まるパラグラフ「全ての部門において、GHG排出量はベースラインシナリオ以上に増加すると予想される、ただしAFOLU部門での正味のCO2排出量は除くin all sectors, GHG emissions are projected to grow in baseline scenarios, except for net CO2 emissions in the AFOLU sector)」に関し、サウジアラビアは、この記述はバランスが取れていないと指摘し、AFOLU部門における他のガスについて質問し、AFOLU部門では一貫性を考えCO2排出量ではなくGHG排出量に言及することを希望した。CLAsは、AFOLU部門における正味のCO2排出量は全体として実際に低下すると明言した。米国は、「GHG排出量(GHG emissions)」ではなく「全てのGHGsの排出量(emissions of all GHGs)」が上昇すると予想されるとする提案に反対し、これは新しい意味を持つことになると述べた。非公式折衝の後、参加者は、次の文章を承認した:ベースラインシナリオにおいては、GHGsは全ての部門で増加が予想される、ただしAFOLU部門での正味のCO2排出量は除く。

関連の脚注について、CLAsは、全てのガスを論じ、AGOLUでの正味の排出量について明確にし、WGIとの矛盾がないことを確実にすることを探求したと説明した。ノルウェーは、WGIとの一貫性に関する懸念について述べ、陸上の炭素除去量ポテンシャルに関する問題にも言及するよう求めた。オーストラリアは、この言及の方がAFOLUに関するセクションSPM.4.2.4と適合すると述べた。更なる議論の後、参加者は、次のように記述する脚注とすることで合意した:「AFOLUの正味のCO2排出量には、AFOLU部門からのCO2の排出量及び除去量が含まれる、これには森林の土地も含まれる、一部の評価では、農業用土壌でのCO2吸収量も含まれる(Net AFOLU CO2 emissions include emissions and removals of CO2 from the AFOLU sector, including land under forestry and, in some assessments, CO2 sinks in agricultural soils)」。

次のように記述する文章「ベースラインシナリオにおいては、AFOLU部門からの正味のCO2排出量は時間をかけて減少し、一部のモデルは今世紀末にかけ正味の吸収になると予想する(in baseline scenarios, net CO2 emissions from the AFOLU sector will decline over time, with some models projecting a net sink towards the end of the century)」に関し、サウジアラビアは、アイルランドと共に、AFOLUではCO2以外のガスも増加が見込まれると述べた。ここでの記述は森林にのみ言及しているかどうかとのブラジルの質問に対し、CLAsは、モデルの一部は農業用土壌での炭素隔離も含まれると明言した。ブラジルは、AFOLU部門からのCO2以外の排出量に言及するという提案に反対し、農業のみを強調するよう希望した。CLAsは、農業部門のCO2以外のGHG排出量は増加が予想されるが、AFOLU部門での正味のCO2排出量は一定期間で低下することを特定する表現とするよう提案し、これで合意された。さらに参加者は、次の記述の脚注でも合意した:「WGI AR5で評価した地球系モデルの大半は、全てのRCPsにおいて2100年まで土地の炭素吸収が続くと予想するが、一部のモデルは、気候変動と土地利用変化の複合影響により、土地の炭素喪失をシミュレーションしている(A majority of the Earth System Models assessed in WGI AR5 project a continued land carbon uptake under all RCPs through to 2100, but some models simulate a land carbon loss due to the combined effect of climate change and land use change)」。

CLAsは、ルクセンブルグが表明した懸念に対し、WGIIIはAFOLU部門での人為的排出量のみを論じているが、WGIでは炭素循環のフィードバックが含まれることを明らかにした。

その後参加者は、インフラ及び製品におけるエネルギー集約型経路へのロックインのリスクに関するパラグラフについて議論した。「インフラの開発及び長寿命製品で、GHG集約型の排出経路に社会を固定する場合は、その変更が困難である可能性、変更に巨額の費用がかかる可能性があり、野心的な緩和に向け早期に行動することの重要性を高める(infrastructure developments and long-lived products that lock societies into GHG-intensive emissions pathways may be difficult or very costly to change, reinforcing the importance of early action for ambitious mitigation)」と記述する文章は、改定なしで承認された。「長寿命で、寿命期間内の排出量が低い製品及びインフラは、低排出経路への移行を容易にする可能性があるが、同時に材料の利用レベル低下により排出量を削減する可能性もある(products and infrastructure with long lifetimes and low lifecycle emissions can facilitate a transition to low-emission pathways while also reducing emissions through lower levels of material use)」に関し、米国は、「材料の利用レベルが低い(lower levels of material use)」の除去を提案した。スイスは、製品とインフラに「材料(materials)」を加えることを提案した。サウジアラビアは、この言葉は全ての国に適用可能でない可能性があると指摘し、文末に各国の事情及び基準への言及を加えることを提案した。あるCLAは、この文章は材料特定のものではなく、ケースバイケースで評価する必要があると述べた。ボリビアは、このメッセージは途上国でインフラを構築しないことが唯一の解決策であるかのようだとして、懸念を表明した。参加者は、スイスの提案通り「材料(materials)」を加えることでこの文章を承認した。

緩和シナリオにおける相互依存に関するパラグラフについて、インドは、「非炭素化(decarbonization)」という言葉の利用について意見を留保すると表明した。この問題に関する非公式グループでの協議の後、参加者は、異なるオプション間の相互関係を説明する文章について、次のようにすることで合意した:「緩和シナリオでは、エネルギー供給及びエネルギー最終用途に対する緩和措置導入の速度と、AFOLU部門の開発との間に協力な相互依存性がある。部門を横断する緩和努力の分布は、BECCS及び大規模な新規植林の利用可能性及び実績に大きく影響される(There are strong interdependencies in mitigation scenarios between the pace of introducing mitigation measures in energy supply and energy end-use and developments in the AFOLU sector. The distribution of the mitigation effort across sectors is strongly influenced by the availability and performance of BECCS and large-scale afforestation)」。セントルシアの提案に関し、参加者は次の記述の新しいパラグラフで合意した:「2100年までに約450 ppm CO2eq濃度に達する緩和シナリオは、エネルギー供給部門での大規模な世界的変化を示す。(確固とした証拠、意見の一致度は高い) 選抜されたシナリオにおいて、エネルギー供給部門からのCO2排出量の世界合計は、今後10年間にわたり減少すると予想され、2040年から2070年では2010年比で90%以上の削減となる特徴を持つ。これらのシナリオの多くでは、その後、排出量がゼロ以下に下がると予想される。mitigation scenarios reaching around 450 ppm CO2eq concentrations by 2100 show large-scale global changes in the energy supply sector (robust evidence, high agreement). In these selected scenarios, global CO2 emissions from the energy supply sector are projected to decline over the next decades and are characterized by reductions of 90% or more below 2010 levels between 2040 and 2070. Emissions in many of these scenarios are projected to decline to below zero thereafter)」。

ベースラインシナリオ及び約450 ppm CO2eqに達するとされる緩和シナリオにおける部門別のCO2直接排出量及び部門横断的なCO2以外のガスの合計量について、CCSがある場合とない場合のものを示した図SPM.7は、多少の変更の後、承認された。

参加者は、エネルギー需要削減に関するパラグラフ及び、エネルギー最終用途部門での需要削減に言及する最初の文章の議論に移った。中国は、途上国におけるエネルギー利用需要の強力な成長を指摘し、「需要削減(demand reductions)」という表現に疑問を呈し、インド、サウジアラビア、イラクもこれを支持した。サウジアラビアは、自国は世界をリードするエネルギー供給国の一つであるとことわった上で、持続可能な開発をする権利尊重が必要だと強調した。インドは、「エネルギー需要を満たした後の需要の合理化(demand rationalization after meeting the energy demand)」の挿入を提案した。サウジアラビアは、この表現に対する態度を保留した。CLAは、「最終エネルギー需要(final energy demand)」への言及を提案し、サウジアラビアの発言に応えて、この文章は各地域の寄与度については何も触れていないと指摘した。スイスは、「削減(reduction)」を省くよう提案し、カナダは、需要削減ではなくエネルギー効率改善への言及を提案した。ノルウェーは、「エネルギー保全(energy conservation)」の追加を提案した。ブラジルは、多数の国で「エネルギー網(energy grids)」を拡大する必要があると強調し、この文章は特定の状況においてのみ有効であると明記するよう提案した。アルメニアは、「持続可能な開発の実現を妨げることのない需要削減(demand reduction that does not prevent sustainable development from happening)」を反映する表現を提案した。米国は、「削減(reduction)」という言葉の利用は開発や成長の制約を暗示すると解釈される可能性があることに注目した。あるCLAは、次の表現を提案した:「2100年までに約450から500 ppmの大気濃度を達成するシナリオにおいて、開発を損なうことなくエネルギー需要を削減するには、効率の強化と行動の変化が重要な緩和戦略である(Efficiency enhancements and behavioral changes, in order to reduce energy demand without compromising development, are a key mitigation strategy in scenarios reaching atmospheric concentrations of about 450 to 500 ppm by 2100)」。アルメニアとチリは、より限定的な表現を加えるため「開発(development)」の前に「持続可能な(sustainable)」を挿入するよう提案したが、インドは反対した。インドは、これらを重要な緩和戦略として限定するには「おそらく(may be)」という言葉で良いと付け加えた。スイスは、エネルギー需要削減の変化をベースラインシナリオと比較したとする記述を付け加えるというCLAの提案の採用を提案し、参加者もこれに同意した。

「エネルギー需要の近未来の削減は、費用効果の高い緩和戦略の重要要素である(near-term reductions in energy demand are an important element of cost-effective mitigation strategies)」とする文章に関し、インドは、エネルギー供給部門の非炭素化への言及削除を提案した。参加者は、これを「炭素原単位の削減(reducing carbon intensity)」に置換することで合意した。

参加者は、総合的な研究及び部門別の研究は共に、2030年及び2050年の輸送、建築、産業の各部門におけるエネルギー需要削減量について、類似する推計値を示しているとの文章で合意した。

参加者は、ベースライン比の最終エネルギー需要削減量及び2030年及び2050年までの輸送、建築、産業部門の最終エネルギー量における低炭素エネルギー媒体の割合に関するSPM.8を、多少の改定を行った上で承認した。

次の記述のパラグラフの第1文:「行動様式、生活様式及び文化は、エネルギー利用及びそれに伴う排出量に相当大きな影響を与え、一部の部門では高い緩和ポテンシャルがある、特にこれを補うだけの技術革新や構造改革がある場合にそうである(behaviour, lifestyle and culture have a considerable influence on energy use and associated emissions, with high mitigation potential in some sectors, in particular when complementing technological and structural change)」に関し、ボリビアは、「構造改革(structural change)」への言及は他の意味でも使われているため、ボリビアの政策決定者の間で懸念がでてくると述べた。あるCLAは、「構造改革(structural change)」は用語集にある合意された用語だと述べた。非公式折衝後、参加者は、用語集にある「構造改革(structural change)」の定義づけを脚注に加え、原文を容認した。

その後参加者は、消費パターン、食事の変化、食料廃棄物の削減により排出量を大幅に低下させることは可能だとする文章で合意した。「金銭的なインセンティブ及び一般からの関心を引く情報提供措置など多数のオプションが、行動の変化を推進する可能性がある(a number of options such as monetary incentives and information measures to improve public awareness may facilitate behavioral changes)」との文章に関し、ボリビアは、スイスとカナダの支持を受け、「金銭以外の(non-monetary)」インセンティブへの言及を求めた。スイスは、キャパシティビルディングに言及すべきと述べた。タンザニアは、一般の啓発への言及は削除すべきだ、インセンティブではそのような啓発にならないとし、参加者も同意した。参加者は、「金銭以外(non-monetary)」のインセンティブを挿入し、「一般の啓発(public awareness)」への言及を削除した文章を承認した。

SPM 4.2.1 最終稿: 部門横断型緩和経路と対策については、特に: 「ベースラインシナリオにおいて、GHG 排出量は、AFOLU 部門のCO2の純排出量を除き、全ての部門で増加する; GHG密度の大きい排出経路にロックイン(固定化)するインフラ開発や長寿命製品を変えることは困難であるか、非常に高いコストを伴う可能性がある; 効率性の改善や行動様式の変化が緩和戦略のカギとなる。」との結論が記された。

セクション 4.2.2. エネルギー供給 部門: 「エネルギー供給部門からのCO2の直接排出量は、2050年までに2倍から3倍になる」と記載されたセクション冒頭文について、 サウジアラビアは、12月版のSPMにある“過去の開発を超えてエネルギー効率の改善を図ることができない限り”と記された注意書きをまた挿入するよう要請したが、スイスがこれに反対した。サウジアラビアは、排出量の増加予測は不可避であると描写すべきではないと強調した。ノルウェーは、 その他の部門の排出削減ポテンシャルも記載すべきだと示唆した。 スイスは、「エネルギー効率が排出量を左右する一つの要因であるが、人口や所得の増加などのその他の要因もまた因子である」と記された新たな案文に懸念を示した。ペルーは、エネルギー効率の改善が重点であると明記することを主張した。

この問題は二つの文章の中で取り上げることとし、最初の文章で「2050年までにエネルギー供給部門からのCO2の直接排出量が2010年水準と比較して、2倍から3倍までに増加する可能性がある」と記載することで合意が成立した。CLA陣は、「過去40年間に観測された改善を上回る、エネルギー効率の改善を重点とする複数のシナリオでは全体のレンジの下限値が中心となる」という2番目の文章を提案した。ベルギーは、排出レベルの下限値を明記することを主張した。非公式協議を経て、出席者は、「エネルギー効率の改善が過去の開発を超えて大幅に加速されない限り、排出量は2倍から3倍に増加する」との記載が適切であるという記載で合意した。タンザニア及びセネガルは、「化石燃料の欠乏だけでは、CO2eq濃度を2100年までに450 ppm、550 ppm、または650 ppmといった水準に抑制するのに十分ではない」との文章にある“欠乏(scarcity)”という用語に懸念を示した。オーストラリアは、オランダ、英国の支持を受け、650 ppmだけを記載すべきだと提案したが、セントルシアが反対した。CLA陣は、「化石燃料の利用可能性だけではCO2eq濃度を450 ppm、550 ppm、または650 ppmといった水準に抑制するには十分ではない」と記すことを提案し、合意された。

次のパラグラフの冒頭にある「低濃度安定化レベルを実現する上で脱炭素の発電が費用対効果の高い緩和戦略のカギとなる」の一文について、 インドは、サウジアラビアの支持を受け、“脱炭素(decarbonizing)”という用語を“炭素密度の低減(reducing carbon intensity)”という用語に置き換えるよう提案した。 ニュージーランド、英国、カナダ、アイルランド等は、この案に反対し、 “脱炭素”は幅広く合意されている用語であり、WGIII用語集にも収められていると反論した。 そこで、CLA陣は、“脱炭素”とは “炭素密度の低減”を指すとの文言を挿入することを提案し、合意が成された。

再生可能エネルギー (RE)の拡充に関するパラグラフの冒頭文「多くの再生可能エネルギー技術は性能向上及びコスト低減という面で大いに進展した」及び「多くは技術的かつ経済的な成熟度に達している」については、米国が、タンザニア、ドイツ、ペルーの支持を受け、 誤解を避けるために“コスト”という語を “費用対効果の高さ”に変更するよう提案した。 デンマークは、ノルウェー、ドイツの支持を受け、再生可能エネルギーの共同便益について記載し、報告書の本体にある「世界の再生可能エネルギー技術総体のポテンシャルは全体として世界のエネルギー需要よりも大幅に高い」という一文を改めて挿入するよう求めた。 CLA陣は、共同便益に関する他のセクションで議論されている内容であり、ここでは簡略にまとめるべきだとし、この意見に異論を唱えた。そこで、下記のように改訂することとなった。「AR4以降、多くの再生可能エネルギー (RE) 技術が相当な性能向上やコスト低減をしたことを実証しており、大規模な普及が可能な成熟度まで達した再生可能エネルギー技術の数も増えている。」との一文が合意された。

その後、再生可能エネルギーが2012年に世界で増設された新規発電能力の半分以上を占めたとの一文が、些少な編集上の改訂後に承認された。

「市場占有率が著しく増加する場合、多くの再生可能エネルギー技術は今なお、ある種の政策支援(例えば、炭素価格制度や直接的な技術支援)を必要としている」との一文については、日本、ドイツ、EUが、元の文章を残すか、あるいは直接的な政策支援と間接的な政策支援を区別するとともに、固定買取制度など多くの事例について言及した12月版のSPM原案の文章に戻すか、どちらかにするよう提案し、CLA陣の支持を受けた。しかし、ボリビア、ベネズエラ、アルゼンチン等は、事例は一切入れない方が良いと主張した。また、ボリビアは、炭素価格制度についての記載を削除するよう提案したが、スイスが反対した。さらに、ブラジルからの質問を受けて、CLA陣は、炭素価格制度には、炭素市場だけでなく、特に炭素税なども含むものだとの考えを確認した。IPCCのPachauri議長は、AR4 は炭素価格の重要性についても言及していると指摘した。 ブラジルは、それは別の文脈の話だとして反対した。

サウジアラビアは、一つのパラグラフで、いかに再生可能エネルギー技術が成熟しているか冒頭文で説きながら、同時に、政策支援を必要としているとも言及するのは如何なものかと疑義を示した。あるCLAは、この文章では、再生可能エネルギー技術の成熟度について言及するとともに、一部の再生可能エネルギー技術については今なお支援が必要だと述べていると明言した。 スペインは、「対等な立場を確保するため」という言及を追加するよう求めたが、 CLA陣はそれでは政策処方箋のようになるとして異議を唱えた。 一方、スイスは“制度的、技術的、経済的な障害”について言及するよう提案した。協議の後、“市場占有率を著しく拡大させようとするならば、多くの再生可能エネルギー技術には未だに直接的、間接的な支援が必要だ」と記載することで合意した。 また、「再生可能エネルギー技術の政策は、昨今の再生可能エネルギーの成長促進に成功している。再生可能エネルギーをエネルギー系統に統合するための課題ならびに関連コストは、再生可能エネルギーの技術、地域的な環境や既存の背景となるエネルギーシステムの特徴によって異なる」という一文でも合意が成された。

次のパラグラフの「(1993年以降)世界の発電比率に占める割合は減少しているものの、原子力エネルギーは低GHG排出の成熟技術であり、低炭素エネルギー供給に対する寄与度は向上しうる」という一文については、オーストリアが、“低炭素エネルギー供給に対する寄与度は向上しうる”という部分を削除するよう提案。ドイツやCLA陣の支持を受けたが、カナダと米国が反対した。結局、12月版のSPM原案にある「原子力エネルギーは成熟した低GHG排出技術だが、世界の発電比率に占める割合は(1993年以降)減少している」という一文にすることで合意が得られ、「主要な障害を克服した場合、原子力エネルギーの低炭素エネルギー供給に対する寄与度は向上しうる」とした、2番目の文章を追加するとのCLA陣の提案も合意を受けた。

米国は、原子力エネルギーはベースロード電源であるとする文言を入れるよう求め、合意が成された。 特定技術の開発の外部要因として“障害”を記載することについては、ベルギーが、“障害”ではなく“リスク”と記載することを提案し、オーストリア、ルクセンブルグ 及び サウジアラビアの支持を受けた。 これに対して、CLA陣は、“障害 及びリスク”と記載することを提案した。

ドイツは、原子力エネルギーの低炭素エネルギー供給に対する寄与は、減少しており、将来的にも減少が続くとして、これにに関する一文の削除を提案した。あるCLAが、実のところ上昇する可能性があると説明したところ、ドイツは、上昇を反映させつつ、それでも今のところ寄与度は低いとする文言を提案した。

その後の非公式協議を経て、「原子力エネルギーは成熟した低GHG排出のベースロード電源であるが、 (1993年以降)世界の発電比率に占める割合は減少している。原子力エネルギーは、低炭素エネルギー供給に対する寄与度を向上しうるが、各種の障害及びリスクが存在する」と記載することで合意した。

また、原子力エネルギーの障害及びリスクについては、それが“運用上の安全に対する懸念とリスク”なのか単に“運用上の安全性とリスク”なのかという議論もあった。 米国は、“運用上の安全に対する懸念”の方が良いと主張したが、ベルギーとオーストリアが反対した。結局、運用リスク” 及び “関連する懸念”の両方を文言として盛り込むことで合意した。

「こうした問題の一部である新たな燃料サイクルと原子炉技術について現在調査が行われており、安全性と廃棄物処理については進展がなされた」という一文については、オーストリアが研究開発における進展について言及・提案し、その案で合意した。 

「天然ガスが利用可能で、掘削や供給に伴うGHGの漏出が小さい、もしくは緩和されれば、エネルギー供給部門からのGHG 排出量は石炭火力発電を最新の高効率天然ガス複合発電や熱電併給発電に転換することで大幅に削減できる」とする一文については、日本が、報告書本体に記載されたように、石炭火力発電の前に“既存の世界標準”という文言を追加することを提案し、出席者の合意が成立した。

化石燃料発電所からのGHG 排出量のライフサイクルを減少させるCCS技術についてのパラグラフは、若干の編集上の修正を行った後、合意が成された。

「効率低下を一因とする追加投資や運用コストが十分に高い炭素価格(または直接的な財政支援)によって相殺される場合のみ、CCS発電所は、競争性をもつ」とする一文について、米国は、規制策や適切な政策についても言及することを提案し、合意が成された。

「CCS関連のリスクには、運用面の安全性ならびにCO2地層貯留およびCO2輸送の長期的な保全に対する懸念が含まれる”とする一文については、サウジアラビアが、この文言を支持する証拠は限られており、ガス輸送のリスクはCO2輸送のリスクよりも高いとして、この文章の削除を求め、カタールの支持を受けた。一方、CLA陣は、リスクについて言及するのが妥当だと述べた。ノルウェー、ドイツは、運用面の安全性に対する懸念はリスクではないと述べた。 CLA陣は “障害及びリスクには、安全性リスク及び長期的保全に関する懸念が含まれる”と記載することを提案した。  米国は、ノルウェー 及び CLA陣の支持を受け、CO2圧入井の保全をどのように担保するかという問題; CO2貯留による地層内の圧力上昇による潜在的な影響; 主な圧入井からのCO2漏洩による人間の健康や環境における潜在的な影響に関する文献が増加しているとした報告書本体の文言を用いることを提案し、改定案どおりに承認された。

「大気中のCO2純除去量を達成するための取組みにおいて、多くの低濃度安定化シナリオは、CCS付きバイオエネルギー (BECCS) に大きく依存する」との一文で始まるパラグラフについては、 日本が、タンザニアの支持を受け、技術的な課題とリスクについて言及した代替文言案を提起した。ブラジルは、課題とリスクについて言及することに反対して、報告書本体に記された “CCS付きバイオエネルギー (BECCS) は、マイナスの排出量を伴うエネルギー供給の見込みがあり、多くの低濃度安定化シナリオで重要な役割を果たしている”との文言からの代替案を出したが、これにはドイツとノルウェーが異論を唱えた。結局、日本の提案通りに課題とリスクについての記載を追加した文言案で合意が成された。 その後、マイナスの排出量について、ブラジル、ノルウェー、ルクセンブルグ 、CLA陣による議論が行われたが、“大規模なマイナスの純排出量”という文言にすることで出席者の合意を見た。

  ノルウェーは、技術的な課題以外の生物多様性などの課題について注意を喚起し、課題とリスクについてはもっと一般的な記述を入れるよう求めた。

そこで、「CCS付きバイオエネルギー (BECCS) は大規模なマイナスの純排出量を伴うエネルギー供給の見込みがあり、多くの低濃度安定化シナリオで重要な役割を果たしているが、課題やリスクを伴う。また、これらの課題やリスクには、CCS施設ならびにCCS技術自体との関連するところで利用される上流の大規模なバイオマス設備と関連するものも含まれる。」という文章に改訂することとなった。

SPM.4.2.2 最終稿: エネルギー供給については、「ベースラインシナリオでは、エネルギー効率の改善を著しく加速できない限り、2050年のエネルギー供給部門からの直接CO2 排出量は、2010年の年間14.4 GtCO2水準から約2倍~3倍に増加する; 脱炭素(脱炭素化)発電は、低濃度安定化レベルを実現する上で、費用対効果の高い緩和戦略のカギとなる要素; AR4以降、多くの再生可能エネルギー技術は、相当な性能改善やコスト削減を実証。さらに、原子力エネルギーは、世界で発電比率が減少している成熟した低GHG排出のベースロード電源であり、低炭素エネルギー供給への貢献を高められる可能性はあるが、各種の障害やリスクが存在する」との結論が示された。また、このセクションでは、特に:「現在の国際標準となっている石炭火力発電を最新型の高効率天然ガス複合発電や熱電併給に置き換えることによって、エネルギー供給部門からのGHG排出量を削減; 化石燃料発電所のGHG排出ライフサイクルを引き下げるCCS技術の力;大規模なマイナスの純排出量を伴うエネルギー供給源としてのBECCS」等の内容が取り上げられた。

SPM.4.2.3. エネルギー最終消費部門: 輸送: 輸送部門の排出量、成長予測、セクター全般の潜在的な排出削減;交通様式及びインフラの緩和対策、及び関連する緩和ポテンシャルに関する各パラグラフについては、所々で些少な編集上の変更を行った後、承認された。

輸送部門における炭素強度の低下に向けた戦略の将来性と制約に関するパラグラフについては、「バイオ燃料の緩和ポテンシャルは、技術進歩や持続可能な原料供給の利用可能性に関連した排出量の水準に依存する」との記載に関して、ノルウェーが、ドイツの支持を受け、“技術進歩”後のバイオ燃料の“生産における”との表現を追加することを提案した。ブラジルは、SPMの他の箇所に類似表記があるとして上記の記載を削除することを提案したが、これは“輸送”に関する議論の中で重要な部分であるとしてCLA陣が反対した。CLA、ブラジル、ノルウェー間の協議の後、「商業的に利用可能な液体及びガス化バイオ燃料は、技術進歩によって高められる緩和策とともに、すでに共同便益を提供している」という一文にすることで合意した。 

ブラックカーボン及び窒素酸化物 (NOx)の排出削減に関する記載については、米国が、スイスの支持を受け、ブラックカーボン及びNOxという表記を粒子状物質(PM)及びオゾン及びエアロゾル先駆物質という表記に変更するよう提案した。また、スイスは、対流圏オゾンについても記載するよう提案した。メキシコは、ブラックカーボンの記載を維持するよう求めた。ノルウェーは、NOxについて記載することが政策決定者のより良い理解につながると主張してNOxを記載する重要性を強調し、ルクセンブルグ及び米国の支持を受けたが、サウジアラビアが反対した。そこで、CLA陣が、「輸送部門の粒子状物質(ブラックカーボンを含む)、対流圏オゾン及びエアロゾル先駆物質(NOxを含む) に関する排出量の削減は、短期的に、人間の健康や緩和面の共同便益をもたらす」という記載に改訂するよう提案し、承認を受けた。

輸送部門の様々な炭素削減策の費用対効果の差異に関するパラグラフについては、出席者が合意した。また、輸送部門の緩和策の選択における地域的な違いの影響については、フィリピン及びサウジアラビアが、輸送対策に関する勧告が様々な状況の中で各国にどのように適用されるか考察した一文に変更することを提案し、出席者の合意を受けた。また、輸送部門の GHG 排出量と経済成長の問題を切り離すことに緩和戦略が寄与すると記したパラグラフが出席者の承認を得た。

建築部門: 建築部門の最終エネルギー消費 及び GHG 排出量については、ノルウェーが、緩和のポテンシャルに関する文書を追加することを提案した。これに対して、あるCLAが、他の箇所でこの情報はすでに記載されていると述べ、結局、原案どおりとすることが合意され、このサブセクションの残りの部分についても承認された。

産業部門: このセクションの大部分は、若干の編集上の改訂だけで承認された。ハイドロフルオロカーボン (HFC)の排出量の削減について、プロセス最適化、及び冷媒の回収やリサイクル及び代替が重要な緩和の機会と記す一文だけが争点となった。中国は、このセクションが包括的ではないとし、これらの緩和機会に対する障害についても言及することを要請した。スイスは、文章の最後で障害について言及し、その後で中国の提案通りに報告書本体からの引用を入れることを提案し、引用文を挿入することが合意された。

SPM 4.2.3 最終稿: エネルギー最終消費部門についてのテキストは、輸送、建築、工業の各部門を取り上げた。輸送については、輸送部門が最終エネルギー消費の27%を占め、 2010年のCO2直接排出量が6.7Gtとなり、ベースラインシナリオにおけるCO2 排出量は2050年にほぼ倍増するとの予測が記載された。特に、: 技術や行動様式における緩和対策によって、2050年には最終エネルギー需要をベースライン比で約40%削減;輸送部門の様々な炭素削減対策の費用対効果は、車両タイプや輸送手段によって著しく異なる; 地域差が輸送部門の緩和策の選択に影響を及ぼす; 気候以外の政策と関連する場合、緩和戦略は全ての地域において輸送部門のGHG排出量と経済成長を切り離すのに役立つ。

建築部門については、「建築部門が2010年に最終エネルギー消費の約32%を占め、8.8 GtのCO2を排出し、ベースラインシナリオでは今世紀半ばまでにエネルギー需要がほとんど倍増すると予測される」の結論が示された。 さらに、特に:「今般の技術、ノウハウや政策の進歩は、世界の建築部門のエネルギー消費を今世紀半ばまでに安定化または削減する機会となる; ライフスタイル、文化及び行動様式は、建築部門におけるエネルギー消費に著しく影響する; スプリット・インセンティブ問題や市場の分断、情報や資金に対するアクセス不全といった強力な障害が、費用対効果の高い市場ベースの機会の活用を妨げる」ことが観察された。

産業部門については、2010年に産業部門が最終エネルギー消費の約28%を占め、CO2排出量は13 Gtであり、2050年にはベースラインシナリオで排出量が50-150%増加すると予測されることが記された。 その他には、特に、「産業部門のエネルギー効率については最善の利用可能技術(BAT)の大規模な改良や転換、導入によって、現在の水準と比較して約25%が直接的に削減可能である; 産業部門からのGHG排出量の中ではCO2排出量が突出しているが、CO2以外のガスについても実質的な緩和の機会がある; 廃棄物管理における重要な緩和策としては廃棄物の削減をはじめとして、リユース(再利用)、リサイクル及びエネルギー改修がある」との点が強調された。

SPM.4.2.4. 農林業・土地利用 (AFOLU):  SPM原案にある以前の2つのパラグラフから新たなパラグラフに変更するというCLA陣の提案について審議が行われた。「AFOLU 部門が人為的なGHGの純排出量の約4分の1を占め、 主に森林減少や土壌・栄養管理に由来する農業部門および家畜などにによる排出量の主な原因である」と記した文章については、スイスが、UNFCCCのREDD+の交渉プロセスが現在進行中であるとして、森林減少や農業に関する図の分散を求めたが、ブラジルが反対した。この文章については提案通りの文章を維持することで合意した。

最も費用対効果の高い林業対策は、新規植林、森林管理 及び森林減少の削減」という文言に始まり、「農業においては、炭素価格の低さが農地や耕作地の管理を支持する一方で、炭素価格の高さは有機土壌の回復に役立つ」と書かれたパラグラフについては、ボリビアが森林管理と炭素価格を関連づけることに反対を唱えた。コンゴ共和国は、森林劣化をGHGの排出源と記載することを提案した。ドイツは、“持続可能な” 森林管理という用語を使うことを提案した。アイルランドは、食料生産に係わる持続的な強化こそ緩和策のカギであると記載する案に支持を表明したが、CLA陣は、特定の緩和策を選んで記載することに警戒を示した。

ブラジルは、AFOLU部門で最も成功した炭素価格の事例には取引や課税が含まれていないと指摘し、炭素市場から明らかに排除されてきた部門と炭素価格を結びつけることに大きく頼りすぎているのは残念だと述べた上で、これらの2つの対策に炭素価格という制約をつけることに釘を刺した。これに対して、執筆者は「対策の費用対効果の高さは、炭素価格によって変動し、価格への言及は政策コストについて注意を向けるものである」と説明した。

非公式協議を経て、AFOLUが食料の安全保障や持続可能な開発にとって中心的な役割を果たしており、林業 (新規植林・持続可能な森林管理・森林減少の削減) 及び農業 (農地管理・耕地管理・有機土壌の回復)の両方にとって、最も費用対効果の高い緩和策に対して、もっとスポットをあてる文章に改訂することが執筆者より提案された。 中国は、緩和策の実施に対する障害についての文言を入れるよう求め、執筆者と出席者 もこの意見に同意した。

また、CLA陣からの提案として、緩和の経済コストの評価で使われる多くのモデルで、炭素価格が緩和政策の取組みのレベルを示す指標のように使われることが多いと記す一文を用語集に盛り込む案が出された。

パラグラフ全体の削除を求め、ボリビアは、SPMでは、一方でエネルギー部門の脱炭素(脱炭素化)を伝え、他方では天然資源に関連した部門の炭素化について記すという矛盾したメッセージを送っていると主張した。 ボリビアの懸念に対応すべく、用語集の文言を脚注に挿入し、炭素価格についての言及はいかなる炭素価格政策を暗示するものではないと繰り返すことで合意した。

ボリビアは、供給側の対策の経済的ポテンシャルを考察する一文については、研究調査が不足しているとして一文の削除を提案したが、英国が反対を唱えた。この問題に対して、執筆者は、本体の文章ならびにAR4以降に発表されたこの問題に関する全ての研究を反映する文章であると応じた。

農業慣行、森林保全・管理に影響を与える政策に関するパラグラフについては、AFOLU部門の一部の緩和策は気候変動に対して脆弱かもしれないと記す一文で合意した。 「持続的に実施されれば、REDD+ は、経済、社会、環境面のポテンシャルと適応の共同便益を備えた費用対効果の高い緩和政策である」とした記載について、ブラジルが、 REDD+は、持続的な実施を担保するためのセーフガードであると述べ、ペルーとともに、これを本文で記す必要はないと主張した。REDD+の様々なプロセスについては、ボリビアが、混乱を避けるために、REDD+という頭字語での記載を削って用語の意味すべてを記載するよう求めた。あるCLAは、持続可能性をめざして設計されたプロジェクトだからといって、それが持続的に実施されることを意味するものではないと述べた。 ブラジルは、「REDD+ は、気候変動の緩和に向けた費用対効果の高い政策オプションである」と記載し、脚注でREDD+に関する用語集の定義について言及することを提案した。カナダは、「持続的に実施された場合は、森林由来の排出量の削減に向けた諸活動は、気候変動の緩和のために費用対効果の高い政策オプションである」と改訂することを提案し、出席者によって合意された。 また、用語集について脚注で言及することでも合意ができた。

バイオエネルギーは緩和に決定的に重要な役割を果たすが、バイオエネルギーシステムの慣行の持続可能性や効率性といった問題についても検討すべきである」と記された箇所についてはコモロ諸島が、利用可能な耕地についての言及を追加するよう求めた。 ブラジルは、大規模な持続可能性に関する代替策は何年もすでに効果的かつ持続的に利用されているとし、これは農業生産性の問題であって、土地の利用可能性の問題ではないと主張し、反論した。そこで、原文はそのまま残すことで合意された。

ブラジルは、「大規模なバイオエネルギーの展開に対する障害には、土地、食料安全保障、生物多様性の保全ならびに生活からのGHG排出に対するリスク及び懸念が含まれる」との記載について、特に食料安全保障のリスクになるという言及に反対を唱えた。 大規模なバイオエネルギーについては、それが多年生作物生産を可能にするとともに、農家にとっては価格変動からの防衛手段となるため、食料安全保障が実際のところ共同便益であるとの論拠に立ち、長い目で見れば食料の安全保障に寄与すると主張した。 一方、スイスは、バイオエネルギー関連のさらなる懸念として、人間の健康を含めることを求めたが、ブラジル 及び カナダが反対した。 

ボリビアは、水を懸念の一つに加えるよう求めた。 ブラジルは、バイオエネルギーに対するマイナスの含意に反対の立場から、“リスク”という文言を削除し、バイオエネルギーの懸念に対する言及だけにとどめることを提案し、出席者もこれに合意した。サトウキビのようなGHG排出量を削減できる低ライフサイクル排出のバイオエネルギー代替策に関する文章の中で “すでに利用可能な” 代替策という文言を入れて言及するというブラジル提案についても合意を受けた。

「全般的なバイオエネルギーの成果は場所に限定され、効率的で統合されたバイオマスやバイオエネルギーシステム、持続可能な土地利用管理、及びガバナンスに依存する」との記載について、「効率的で統合されたバイオマスやバイオエネルギーシステム、持続可能な土地利用管理、およびガバナンス」が、バイオエネルギーの条件であるように紹介しているとして、ブラジルが反対を唱えた。 これを受けて、CLA陣は、一般的なバイオエネルギーの成果がそうした要素に“依存する”と記載することを提案し、出席者の合意を得た。

SPM.4.2.4 最終稿: 最終稿には: 「AFOLU部門は、主に森林減少、土壌や栄養物管理といった農業部門や家畜からの排出量に由来する人為的なGHGの純排出量の約4分の1を占める; AFOLUは、食料の安全保障及び持続可能な開発において決定的に重要な役割を果たす; 林業部門で最も費用対効果の高い緩和策は、新規植林・持続可能な森林管理・森林減少からの排出削減であり、農業部門では農地管理・放牧地管理・有機土壌回復である;バイオエネルギーは、緩和のため決定的に重要な役割を果たすものの、バイオエネルギーシステムに関する慣行の持続可能性や効率性は検討すべき課題である。」と記された。

SPM.4.2.5. 人間居住、インフラ、空間計画: 都市化は世界のトレンドであり、所得の増加と関連がある。また都市部の所得増はエネルギー消費およびGHG排出量の増加と相関関係がある」と記されたパラグラフについて合意した。「今後20年間が都市部の緩和に向けた機会の窓となる」と記されたパラグラフについては、 中国が、サウジアラビアの支持を受け、この文言ではインフラについて取り上げられていないと強調し、いったん削除された12月版SPM原案にあった文言―「現在、インフラに具現化された人口1人あたり平均の排出量は、途上国よりも工業国の方が5倍以上多い。」―を再度挿入するよう提案したが、 米国、英国、オランダがこれに反対した。このパラグラフ は、提案された改訂はせずに、承認された。

緩和政策ツールのバンドリング、都市形態やインフラが固定化されずに急速に都市化が進む地域における緩和の機会、都市行動計画の総合的な影響、都市部の緩和戦略の共同便益に関するパラグラフについては、若干の編集上の変更を経て、承認された。

SPM.4.2.5 最終稿:  人間居住、インフラ 及び 空間計画については、都市化が所得増やエネルギー消費及びGHG 排出量の増加と関連する世界の潮流であると強調された。また、特に、世界の都市部の多くで開発が進む今後20年間が、都市の緩和に向けた機会の窓となる; 都市部の緩和策は都市化の経路によって異なり、個々の政策ツールが統合化された場合に最も効果が上がると予想される。; 都市化が急速に進む地域に最大の緩和機会が存在する; 数千の都市が気候行動計画を実施中だが、都市の排出量に対する総合的な影響は未知数である;気候変動緩和戦略を都市規模でうまく実施すれば、共同便益につながる。

SPM.5. 緩和政策及び制度: SPM.5.1. 部門別及び国家政策: CLAがこのセクションを紹介し、部門別及び国家政策、国際協力の2つのパートから構成されていると説明した。 また、理論や経験、持続可能な開発とのリンケージ; 国際、地域、国家の規模の相互作用; 社会や制度の相互作用等を含めた相互作用の効果についても注目していると指摘した。

投資パターンの大変革を要する排出量の実質的な削減についてのパラグラフに関して、中国は、投資とともに資金面のニーズについて記載されるのかどうか尋ね、あるCLAが、気候資金の定義は政治判断になると説明した。スウェーデン、ノルウェーは、アップサイドの投資に関する情報を盛り込むことを提案したが、あるCLAが投資だけに議論を限定した方が良いと主張した。このパラグラフは、2,3の文言の修正を経て、承認された。 

気候緩和に関連した資金フローの推計が入手可能だが、気候資金を構成しているものに関しては広く支持される定義は欠如している」と記載されたパラグラフについて、ペルーは、ロシア、中国、ベネズエラ等の支持を受け、気候資金に関する広く支持される定義の欠如について、もっと強調する一文を求めた。スイスは、気候資金の定義に向けて現在、交渉が行われていることを指摘し、反対を唱えた。この一文が矛盾しているとの中国、ロシアの指摘を受け、CLAが、気候資金について広く支持された定義はUNFCCC交渉において欠如しているが、これは科学のコミュニティーには該当しないと説明した。 CLA陣は、「気候資金を構成しているものに関しては広く支持される定義は存在していないが、気候変動の緩和及び適応に関連した資金フローの推計は入手可能である」と記すことを提案し、参加者も合意した。

「最も包括的な定義を適用すれば、 ‘気候資金の総額’として例えば年間3430~3850億米ドルが世界の緩和及び適応プロジェクトに流れると推計される」と記された一文については、 “気候資金の総額”の定義は「GHG純排出量の削減や気候変動へのレジリエンスを強化する効果が予想される全ての資金の流れ」であるという脚注が付けられていたが、ベネズエラが、中国、モルジブ、フィリピン等の支持を受け、気候資金には広く合意された定義が欠如していることを鑑みると、これらの数値の計算法が明確ではないとして一文の削除求めた。また、モルジブ 及び サウジアラビアは、 “気候資金の総額”の定義を適用して資金フローを推計するというのは処方的であると強調し、個々の数値ではなくて、もっと一般的なレンジを用いるよう求めた。気候資金の総額について“公表済みの評価”を参照するよう求めたカナダ提案、及び“気候資金の総額”の定義を入れるよう求めたペルー案に対して、 CLA陣が、「GHG純排出量の削減や気候変動や気候の変動制へのレジリエンスを強化する効果が予想される世界の資金フロー総額については現在、公表済み評価により年間3430~3850億米ドルになると示されている」 と記載することを提案し、参加者も合意した。

また、「現在、途上国に流れている公的気候資金の総額は年間350億~490億米ドルと推計される」という一文については、モルジブが、マレーシア 及び 中国の支持を受け、数値の正確さに懸念を示し、途上国のニーズについて言及するよう提案した。ベネズエラはいかなる具体的な数値も削除するよう求めたが、カナダがこれに反対した。CLAは、この数値は政府や多国間、二国間の開発銀行や機関から報告されているコミットメントに基づく数値であり、非常に厳格な”データセットから成る情報の幅を示すものだと説明した。ペルーは、これらの数値が報告書本体に登場している通り、2011年と2012年のものであると明記することを提案し、CLA陣も合意した。年間3430~3860億米ドルのうち「2011年、2012年に、途上国に流れた公的気候資金の総額は年間3500~4900億米ドル」という一文が合意された。

一方、「途上国に流れている国際民間気候資金の推定額は年間100億~720億米ドルの幅になる」との記載について、CLA陣は “外国直接投資の推定額は年間100億~370億米ドル”という文言の挿入を提案した。また、時間枠に関するザンビアからの質問に対して、CLA陣は、2008-2011年の期間についても言及するよう提案し、合意を受けた。 合意文は「途上国に流れている国際民間気候資金の総額は、年間100億~720億米ドルの幅であり、2008-2011年のエクイティローンとしての外国直接投資総額は年間100億~370億米ドル」。

2100年までに約430-530 ppm CO2eqの濃度安定化をめざす緩和シナリオ用の今後20年間 (2010年~ 2029)の平均ベースライン水準比の年間投資フローの変動に関する SPM.9が出席者の承認を受けた。

部門別と 経済全体の政策に関するパラグラフは、スウェーデンが経済全体の政策が“緩和だけの目標に向けられたもの”と明記するよう提案し、この修正を経て、承認された。

部門別政策よりキャップ&トレード制度が費用対効果の高いと記されたパラグラフ は議論を招いた。 GHGキャップ&トレード制度は現在、多くの国や地域で創設されているとの一文について、ブラジルは、炭素価格の下落を考えると、実際のトレンドはその逆だと述べた。CLA陣は、この懸念を受けて文言修正を提案し、出席者も合意した。最終稿では、「AR4以降、GHGキャップ&トレード制度が多くの国や地域で創設されている。」と記載された。

緩いキャップや拘束力をもたないキャップの設定を原因とする、キャップ&トレード制度の限定的かつ短期的な環境効果に関する一文については、サウジアラビアが、“拘束力(binding)”の用語の使用を疑問視した。CLA陣は、“制約している(constraining)”  という用語に変更するよう提案し、出席者も合意した。

サウジアラビアは、「巧く設計されたキャップ&トレード制度は、費用対効果が高い」とする一文を、各国の状況についての参照情報として盛り込むことを要請し、合意された。若干の議論の後、CLA陣は、「原則的にはキャップ&トレード制度によって費用対効果の高い方法で緩和を実現できる。また、その実施は、各国の状況次第である」という代替案を提案し、合意された。

その後、参加者は、課税ベースの政策について論議した。サウジアラビアからの質問に応え、CLA陣が “GHG排出量”という語ではなく、“エネルギー消費または排出量”と修正することを提案した。 スイスは、スロべニアとともに、課税は主に化石燃料燃焼を対象としていると強調し、提案に反論した。あるCLAは、この課税がその他の部門も対象としていると述べ、そのまま原案どおりに合意するよう提案、合意された。

社会的、経済的環境に依存している排出削減を実現する化石燃料補助金の負の社会的費用における削減」という冒頭文で始まるパラグラフについては、ドイツ、モロッコ、カナダが、 “負の社会的費用”という用語の使用を疑問視した。 CLA陣は、この用語には特別な意味があり、増大する社会福祉を示していると返答した。カナダ、ドイツ は、社会的、経済的環境という修飾語により文章が弱められているとして削除を要請したが、執筆者は原文のままが良いと主張した。

サウジアラビアは、農業などのその他の部門も補助金撤廃の恩恵を受けていて、排出量削減につながっていると指摘し、この文章は化石燃料をターゲットにしたものだとの懸念を示した。これに対して、執筆者は、その他の部門における補助金改革に関する文献は見当たらないが、化石燃料の補助金改革については多くの研究が存在すると説明した。オーストリアは、多くの部門の補助金がGHG排出量に影響を及ぼすが、最近の文献の多くが化石燃料補助金を対象としたものだという説明を脚注の中に入れることを提案した。

広範な非公式協議の後、土曜午前、執筆者は改訂テキスト案を紹介。化石燃料部門だけでなく対象を拡大し、化石燃料補助金に関する最近の文献の多くについて言及する一文を入れ、補助金の段階的撤廃による排出削減予測に関する具体的数値について記載する脚注を追加し、どの補助金が無駄で非効率なのか評価を実施せずに化石燃料補助金を撤廃する影響を評価する研究について言及したことを伝えた。サウジアラビアは、このテキストのメッセージは誤解を招くものであり、化石燃料補助金についてはG-20ですでに対応していると指摘した。 ドイツは、改訂テキストは、元案を骨抜きにした内容であり、G-20ですでに対応しているため化石燃料補助金について、ここで言及すべきかどうかという議論を支持していないと述べた。

様々な部門におけるGHG関連の補助金削減によって著しい排出削減を達成できると記載する改定案について、サウジアラビアは、“著しい”とい修飾語を削除し、改訂版で執筆者が削除したものの改めて挿入することも可能とする“社会経済的な環境”という文言を元に戻すよう要請した。こうした修正を経て、この一文が承認された。

サウジアラビア、カタール、エジプト、ベネズエラは、「全ての国で化石燃料補助金を完全に撤廃することにより、今世紀半ばまでに世界の総排出量を負の社会的費用で著しく削減可能と予測する経済全体のモデルに基づく文献が、AR4以降、少数ながらも増加している」と記載する一文の削除を提案した。しかし、ドイツ、英国、ノルウェー、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、カナダは、この意見に反対を唱えた。米国は、報告書の中にある本件に関する文献の参照および知見は有益だと述べた。 “著しい”削減と“負の社会的費用”という言及を削除して、同文が承認された。

補助金に関するパラグラフの中の懸案事項について、さらなる非公式協議を行って、CLA陣が提案したのは、最初の案にあった脚注のかわりに「各国の状況を勘案しつつ、全ての化石燃料補助金の完全撤廃の影響について、どの補助金が無駄とか非効率的であるとか評価せずに、研究調査を行う」と一文に記すことであった。ドイツがノルウェー、の支持を受け、脚注の中で予測される排出削減量の具体的な数値が残されるならば、この文章を入れることに同意すると述べた。サウジアラビアは、この脚注を入れることに 反対を唱えた。米国は、自国の排出削減量の推計値が脚注案の推計値よりも高いと指摘し、数値に関する合意が存在しない以上、脚注は削除する方が良いと主張した。これに対して、執筆者は、予測値については、非常に高い値ではないため、脚注の削除に同意できると述べ、参加者も同文章は盛り込むが脚注は入れないことで合意した。

その後、若干の修正を行った後、以下のパラグラフが承認された: 排出削減に対して相乗効果がある緩和策や何ら追加的な効果がない緩和策などの政策間の相互作用の潜在力; 幾つかのエネルギーサービスに対する価格を引き上げ、現在、サービスが行き届かない人々への近代的エネルギーサービスのアクセス改善に向けた社会の能力を阻害する可能性をもつ緩和政策; 及びその他の緩和政策.を補完する技術政策

また、「適切な環境の中では、民間部門が緩和に重要な役割を果たす」というパラグラフについては、マレーシアが、ボリビアの支持を受け、排出における民間部門の役割を強調する文章の挿入を要請した。 ボリビアは、公共部門の役割に対する民間部門の“補完的な” 役割 を強調した。 非公式協議を経て、CLA陣は「多くの国々で民間部門は排出ならびに緩和につながるプロセスにおいて重要な役割を果たしている」として、緩和に対する資金供給における、民間部門の役割とともに公共部門の役割について言及する文章を盛り込んだ改訂文を紹介した。

さらに、国内の民間企業の新技術やインフラに対する投資に“実質的な”インパクトをもつ、制度、規制、ガイドラインの実効性を含めた、民間部門の知的所有権保護や政策の信頼性に関する環境作りの要素について言及する一文を加えることについて承認された。

SPM.5.1 最終稿:

部門別及び国家政策、このセクションの結論として、「実質的な排出削減には、投資パターンの大改革が必要とされる。; 気候資金を構成するものについては広く合意された定義は存在しない。; AR4以降、国家や準国家の緩和計画及び戦略は増加した。; また、AR4以降、複合的な目標を一本化し、共同便益が増加し、不都合な副作用が減少するよう設計された政策が重視されてきた。」との結論が出された。さらに、 特に「経済全体の政策よりも部門別政策の方が広範に導入されている。; 規制的アプローチや情報対策は広範に導入されており、環境効果があることが多い。; 緩い上限値(キャップ)や抑制効果があると実証されていない上限値の結果、キャップ&トレード制度の短期的な環境効果は限定的である。; 様々な部門におけるGHG関連活動に対する補助金削減は、社会経済の環境次第で排出削減を達成可能。」というテキストが示された。

SPM.5.2.国際協力:  Edenhofer共同議長は、国際協力に関してCLA陣が新たに提案した文言についての議論を始めた。UNFCCC は実質的に全世界が参加する気候変動に対応するための多国間フォーラムであるという一文については、出席者の意見が分かれた。モルジブは、中国、ベネズエラ、ブラジル 及び ペルーの支持を受け、UNFCCCが“第一義的な(primary)”多国間フォーラムであるとの記載を維持するよう求めた。

一方、米国は、UNFCCCが気候変動に関する唯一の多国間機関であると強調することに反対を唱えた。このセクション全体について議論するためのコンタクトグループ が設置され、その後の協議によって、以下の項目に関するパラグラフが承認された。すなわち、“ほぼ全世界が参加する、気候変動に対応するための主要な多国間フォーラムとしてのUNFCCCの役割”; 重点や集権性や連携性の異なる国際気候変動協力協定の差異;  UNFCCCの究極目標達成に向けた京都議定書の教訓 ; 2007年以降の国際気候変動協力協定の発展; 政策の相互関係; 現在までの世界の緩和イニシアティブの限定的な影響

SPM.5.2 最終稿: 国際協力についての主要な知見は以下の通り。

「UNFCCCはほぼ全世界が参加する、気候変動に関する主要な多国間フォーラムである。; 既存および提案されている国際気候変動協力協定は、それぞれ重点や集権性や連携性の面で異なる。;京都議定書は、特に参加や実施、柔軟性メカニズムや環境効果に関して、UNFCCCの究極目標達成に向けた教訓を示している。; 2007年以降のUNFCCCの活動によって、気候変動に関する国際協力のための制度やその他の協定の数が増加した。; 地域、国家、準国家の気候政策の間の政策的なリンケージが気候変動の緩和のポテンシャルや適応便益を提供する。」

図表: IPCC のJean-Pascal van Ypersele 副議長 (ベルギー) 及び Ismail El Gizouli 副議長(スーダン)が進行役を務めるコンタクトグループの中で、図表についての審議が行われ、整合性と明確さを目指した図表の改訂が行われた。プレナリーで、2つの表と9つの図、ならびにキャプションと関連する脚注について、承認が行われた。

また、 主要メッセージを強調する大見出しが盛り込まれたSPM本文全体のボックス(囲み記事)を削除することが合意された。

報告書本体の科学技術に関する評価

土曜日午後からは、Edenhofer共同議長がSPMの承認及び科学技術評価に関する報告書本体受諾作業を行うよう参加者に求めた。ボリビアは、社会や集団、人間の価値よりも経済的な合理性を優先し、市場以外のアプローチを十分に考慮することなく、炭素市場を推進しているような緩和シナリオや分析を用いているとして、IPCCの科学的成果について、留保の意を示した。また、緩和行動を促進するためIPCC が提案している技術についてはCDR技術に基づいたジオエンジニアリングの利用を通じて組み立てられていて、気候変動に自然に適応するという母なる地球の権利を侵害する上に、地元民や先住民の生活や権利に影響を及ぼすと指摘。さらに、本体の各章では所得ベースの国家分類が科学的文献の中では受け入れられているが、政策決定には不適切であると主張した。

サウジアラビアは、イラク、ベネズエラ、マレーシア、インド、エジプト、シリア、スーダン等の支持を受け、所得ベースの国家分類の利用に “実質的な反対”を表明し、WGIII 報告書の受諾に対する懸念を示した。また、サウジアラビア、バハマ、モルジブ、カタールなども、人口1人あたりの排出量に基づく国家分類に異議を唱えた。

WGIII-12閉会

閉会にあたって、Edenhofer共同議長は、自身のWGIII 共同議長としての任期7年を振り返り、 “極めて刺激的で価値のある”経験だったと述べ、WGIII TSU メンバーを中心として、共に働いた全ての人々に感謝の意を示すとともに、報告書の執筆者に対して深い敬意を表した。第3作業部会第12回会合は、4月12日(土)午後1時12分、Edenhofer共同議長により閉幕した。

IPCC-39再開会合レポート

WGIII-12の閉会を受けて、土曜日午後から、IPCC-39が再開された。IPCCのPachauri議長は、2011年からIPCC事務局長代理を務めてきたGaetano Leoneの退任を発表し、 “IPCCの問題解決屋”として、かけがえのない存在だったと述べ、Carlos Martin-Novella (UNEP) が後任として引き継ぐことを伝えた。

多くの国々の代表が、評価報告書及びSPMの承認プロセスの重要性について述べた。スイスは、SPMについては満足していると述べ、プロセスの科学的な性格を維持していくことが重要であるとと強調した。オーストリアは、先入観をもつことなく、緩和・適応の今後の課題という観点に留意していくことを求めた。今次会合については複雑な感情を抱いているとして、セントルシアは、全てのレベルでの行動を求めた。

IPCCのPachauri議長は、WGIII 報告書に対して深い感謝を示し、国家間の違いの現れは、ほとんど科学的プロセスの一部であり、IPCCの民主的な精神をはっきり示すものだと述べた。

IPCC-38報告書原案の承認

日本・横浜で2014年3月に開催されたIPCC-38 の報告書案 (IPCC-XXXIX/Doc.14)、が承認された。

IPCC 事業予算

Ismail El Gizouli副議長(スーダン) 及び Nicolas Beriot副議長(フランス)が共同議長を務める財務タスクチームによって、IPCCの2014年改訂版の予算案及び3カ年予算問題が紹介された。パネルにより、紹介された通りの改訂予算が採択された。(IPCC-XXXIX/Doc.2、Corr.1).

WGIII-12で実施された行動の受諾

サウジアラビアは、WGIII-12閉幕時に発表した自らの意見をIPCC-39報告書の中で反映させるよう求めた。会合を通して示された課題克服の難しさや敬意を認識し、フランスは、高次元の協力へと移行すべきだと強調し、2015年にパリで開催されるUNFCCC気候変動会議を楽しみにしていると述べた。

その後、パネルは、AR5 WGIII SPMの承認、基礎的な科学技術の評価報告書部分の受諾を考慮し、WGIII-12の行動に合意した。

オブザーバー組織の認可

IPCC のLeone事務局長代理により、IPCC-37以降に受け付けた、7つの組織のオブザーバー資格の要請が含まれたIPCC-XXXIX/¥Doc.3文書が紹介され、これらの要請がパネルの承認を受けた。スウェーデンは、中国 及び ベルギーの支持を受け、気候変動問題に対する世間の関心の高まりを鑑み、IPCCが“おそらくは百近い”数のオブザーバー組織の参加を受け入れる能力をもっているのか疑問を投げかけた。IPCCのPachauri議長は、将来のオブザーバー総数を制限する可能性について検討するよう、パネルに要請した。ドイツは、この提案に反対を唱え、ベルギーとともに、IPCCの作業における透明性と信頼を維持する必要があると強調した。スイスは、中国とペルーの支持を受け、この問題をIPCCの将来に関するタスクグループで検討することを提案した。しかし、サウジアラビアとオランダが、これはIPCCビューローの業務管轄だとして反対を唱えた。結局、パネルは後者の提案で合意した。

IPCC の将来の作業–タスクグループ 第1回進捗報告書

IPCCのLeone事務局長代理が、IPCC-37で発足したIPCCの将来の作業に関するタスクグループがIPCC-39に合わせて初回会合を開催し、第1回進捗報告書をIPCC-39に提出すると説明した。(IPCC-XXXIX/Doc.15)

タスクグループから進捗状況の報告があり、Helen Plume共同議長(ニュージーランド)は、政府から寄せられたコメント(IPCC-XXXIX/INF.1 及び Add.1) とこれらの意見をIPCC事務局がとりまとめた統合文書 (IPCC-XXXIX/Doc.7) が4月6日のグループ会合の土台になると説明した。また、IPCCの成果物; 途上国の参加の強化; パネルの体制や運営方式などについては、明らかに意見の収束が見られたと説明したが、後者の問題については、改善すべき部分の提案があったと指摘した。今後のステップについては、グループとして、幅広いステークホルダーからの意見をさらに募っていくとし、IPCC-40で検討するべく、オプションに関するペーパーを作成予定だと述べた。 そのため、IPCC-40の前にワークショップを開催することを提案し、英国、オーストラリア、タンザニア、チリ、フィンランド、インド等をはじめとする国々の支持を受けた。 IPCCのPachauri議長は、タスクグループの作業はパネルの将来にとって極めて有益だと指摘した。このワークショップ案は、プレナリーで承認された。

IPCC 執行委員会の活動報告

Pachauri議長は、IPCC-37以降の執行委員会の活動について報告し、定期的なテレビ会議開催によって委員会の作業が円滑に進んでいると述べた。

利害相反委員会(COI)の報告

COI委員会 Hoesung Lee議長(韓国) から、委員会報告書(IPCC-XXXIX/Doc.10)が紹介された。WGIIIの傍らで開催された会合で、同委員会は、COI専門家諮問グループ (EAG)による助言メモに関する議論を行い、IPCCビューローメンバーがUNFCCC等の他の気候機関の政府代表を務めている場合、どの程度の利益相反があると考えられるのかという問題やビューロー及びタスクフォースビューロー (TFB) メンバーからの詳細情報を受けとるための利害相反フォームの改善法等などについて話し合いが行われた。 EAGは、ビューローメンバーが政府に指名された結果、内在的な利益相反が生じたことを発見し、そうしたメンバーはUNFCCC等のその他の気候プロセスとの関係を公表することが望ましいと指摘し、COI委員会もこれに賛成した。また、EAGは、新ビューロー選出前に、より詳細なCOI公表様式をパネルに提出することを提案した。

ビューローメンバーの内在的な利益相反に関するEAGの知見については、その科学的知見を各国政府から支持されてこそ、IPCCが成立するのだと主張し、ブラジルが異議を唱えた。また、ブラジルは、透明性向上の必要性は、ビューローメンバーに限った話ではないと述べ、科学的知識を“政策に密着する中で構築するため”、主幹執筆者と政府関係者との間に密な関係を築くことは良いと主張した。 サウジアラビア、モルジブ はパネルの作業における途上国の参加に向けたEAGの知見の意味合いをめぐり、懸念を示した。IPCCの最善の利益を見出すためにCOI委員会が発足したことを認め、カナダは、IPCCの行動を支持し、様々な時期に様々な役割を果たすことに対する理解の重要性を強調した。

米国は、 “利益相反”の意味やその対象者、政府機関に対する科学的知見の伝達方法などを検証する必要があると主張した。ドイツは、 EAGの助言を踏まえて、どのような決定を下すべきか、さらなる情報を求めた。

ブラジルは、 UNFCCC参加者向けの利益相反に関する決定はパネル次第だと見て、プレナリーで本件に関する議論を行うという案を支持した。オーストリアは、 COI 政策をどのように変更できるか制約があると述べた。COI委員会が、パネルに代わって、政府間の諸問題について決定を下すのは不適当であるとして、サウジアラビアは、COI委員会の委託条件を明確にするよう求めた。

IPCCのPachauri議長は、出席者の意見は会合報告書の中に記録し、COI委員会に伝えられると保証した。

進捗報告書

SYR 進捗報告書:  IPCCのPachauri議長は、AR5 SYR作成に関する進捗報告書(IPCC-XXXIX/Doc.5)を紹介し、 SYR の作成は“順調”であると述べ、各国政府には意見を出すよう奨励した。

TFI 進捗報告書: TFI 共同議長のThelma Krug (ブラジル) は、TFIの活動について進捗報告(IPCC-XXXIX/Doc.6)を行い、編集委員会の新メンバーやIPCCのGHGインベントリ・ソフトウェアの継続的改善、TFIの青果物に対する体系的な評価のための専門家会合を含む2014年のTFI会合計画などについて報告した。

TGICA 進捗報告書: 気候影響評価のシナリオに関するタスクグループ (TGICA) のTimothy Carter 共同議長(フィンランド)が、グループの活動に関する進捗報告書(IPCC-XXXIX/Doc.11)を紹介し、特にTGICAのメンバー更新プロセスについて、各国政府に候補者選定を要請した。

IPCC 活動に関する炭素フットプリント削減に向けた代替案や対策の最新情報: IPCCのPachauri議長は、IPCC事務局が提出した、IPCC 活動に関する炭素フットプリント削減に向けた代替案や対策に関する進捗報告書(IPCC-XXXIX/Doc.8)を紹介し、ペーパーレスシステムをその一例として挙げて説明した。

その他の進捗報告書:  WGIのThomas Stocker共同議長からAR5に向けたWGIの進捗報告(IPCC-XXXIX/Doc.9)が行われ、WGI 報告書の印刷版も現在、提供されており、アウトリーチ 活動も進行中であるとの説明があった。WGIIからは、Christopher Field共同議長によるAR5に向けたWGIIの進捗報告があり、WGII SPMは約150,000件のダウロード数を記録していると紹介された。

コミュニケーション及びアウトリーチ

IPCCのコミュニケーション及びメディア対応のリーダーを務めるJonathan Lynn、は、WGI 及び WGII 報告書及び今後のWGIIIのプラン (IPCC-XXXIX/Doc.4)に関連するアウトリーチ及びコミュニケーション活動について概要報告を行い、IPCCに対する関心の大きさや世界的な報道ぶりについて述べた。

UNFCCC 及び その他の関連組織に係わる諸問題

UNFCCC のFlorin Vladuは、研究及び系統的観測や毎年のGHGインベントリ等、IPCCの作業として認識される、各種COPの決定について紹介し、IPCCが発表を行う予定となっている今後の様々なUNFCCCのサイドイベントについて言及した。

その他の事務事項

IPCCのLeone事務局長代理は、国際農業部門の研究に関する諮問グループからのレター(IPCC-XXXIX/Doc.12)に対する注目を呼びかけ、UNFCCC交渉を支援するため、3つの作業部会の報告書から農業関連の情報をとりまとめたIPCC技術報告書を2015年6月までに完成させるよう要請した。出席者との初期の議論を踏まえ、IPCC執筆陣の時間も限られていることから、IPCCのPachauri議長は、代替案として専門家会合を開催するよう提案し、農業に関する特別報告書を作成することも検討可能だと述べた。

まだSYRは最終段階にあると指摘し、技術報告書の現実的な価値について疑問を投げかけ、英国は、アイルランド、オーストリア、ドイツ等の支持を受け、議長の提案は時期尚早であるとし、もっと後の段階で、例えば技術会合のような場で議論されるべきだとの所感を伝えた。

ベルギー、カナダ、オーストラリア、オランダは、UNFCCC、FAO 、UNEPを含むその他関連機関と協議し、本件について模索することを提案した。スイスは、ワークショップ開催を提案した。一方、ブラジルは、そうした報告書がUNFCCC交渉官に送られるというシグナルについて懸念を示し、交渉官にとっては“何十ものテーマ”が特別な懸念事項であると述べ、そうした問題について踏み込むにはSPMが最適だとの見解を示した。

IPCCのPachauri議長は、関連機関とIPCC事務局が協議を行った上で、より包括的な提案をもってIPCC-40に臨むよう提案した。サウジアラビアは、提案について十分審議するよう求め、これからIPCC-40までに本件に対処するためのプロセス設置を提案した 。Pachauri議長は、本件に対してIPCCが“中途半端な対応”をするつもりはないと保証し、プレナリーで議長の提案がそのまま合意された。

次回会合の時期および開催場所

IPCC-40は、2014年10月27-31日、デンマーク・コペンハーゲンで開催。AR5 SYR のレビュー及び採択を行う予定だ。

IPCC-39の閉幕

IPCCのLeone事務局長代理は、ドイツ政府の歓待に感謝の意を示すろともに、IPCC議長、事務局に対して、ささやかながらもIPCCの成功の一助になったとすれば非常に光栄だと述べた。

カナダは、10月のIPCC-40期間中、SYR のレビューと採択の前に、IPCCの事務事項について議論することを提案した。 SYRについては、参加者が前もって十分に準備できるよう、レビューに関するアクション・プランを会合前に全員共有できるようにすることを提案した。

今回のIPCC会合のトリを飾ったのは、IPCCカンファレンス・オフィサーのFrancis Hayesで、ガーシュウィンの楽曲“I Got Rhythm”をIPCC風に歌詞を付け替えて披露した。Pachauri議長は “生産的で刺激的な”一週間になったとし、コペンハーゲンでは夜間の会合をすべて回避できるよう期待していると述べた。

Pachauri議長は午後5時34分、閉会の槌音を鳴らし、IPCC-39が閉幕した。

IPCC会合の簡易分析

「希望、ささやかな希望」

日本の横浜において、影響・適応・脆弱性に関するWGII報告書が承認されて1週間たつかたたないかだが、IPCCはベルリンで会合を再開し、気候変動の緩和に関するIPCC第5次評価報告書のWGIII報告書について議論した。WGIII報告書は、温室効果ガス排出量の動向とその推進要素、さらには主要部門の緩和措置を考察し、異なる排出経路におけるシナリオを提示、緩和に関する技術的、社会経済的考察で政策関連性を持つものを展開する。この報告書がAR4と異なる点は、さらに多くのシナリオや経路を駆使して実体のある証拠を提供し、さらなる共同便益の特定を行い、多様な緩和経路をたどる場合のコストや影響に関し、より良い推計を示すことである。最近の他のIPCC WG会合と同様、政策決定者向けサマリー(SPM)草案に記載されるWGIII報告書の40頁近くのサマリーに対し、約107か国の政府代表による行ごとの難しい議論が行われた。

緩和に関するWGIII報告書は、3つの科学評価報告書シリーズの最後のものであり、これらの報告書と統合報告書を合わせてAR5を構成する。このWGIII報告書は、2013年9月に承認された気候変動の自然科学面に関するWGI報告書、2014年3月末に承認された影響・適応・脆弱性に関するWGII報告書に続くものであり、3つのWGsの評価結果をまとめ、2014年10月にコペンハーゲンでパネルが考察する予定の統合報告書に先立つ報告書である。AR5は、気候変動の科学的根拠やその影響及び適応と緩和のオプションを総合的に評価し、サマリーの結論に各国政府の承認を得ることで、世界の気候政策に科学的根拠を提供する、これには、2015年にパリでUNFCCC締約国による採択が期待される気候変動に関する新たな国際合意の交渉支援も含まれる。

この簡単分析は、WGIII報告書の主要な結論を紹介し、承認プロセスを省み、世界の気候政策の展開という大きな観点からベルリン会議の位置づけを図る。

「この惑星を救うのに、費用はかからない」―共同議長のOttmar Edenhofer

WGIII報告書からのメッセージの中でおそらくは最も正直と思われるメッセージ、それは、この問題が何十年間も認識され続け、各国も国際的にも解決を約束してきたにも拘わらず、温室効果ガスが上昇し続け、2000年から2010年では、その前の30年間のどの10年間の増加率よりも早く増加していることである。経済成長と排出量の乖離を図るためのあらゆる話や約束があるにも拘わらず、他のエネルギー資源と比較した石炭への依存度は再度上昇に転じ、世界経済をこれまで以上に炭素集約型にしている。人口の増加と共に排出量増加の主要な原動力でもある経済成長は、10年ごとで見た寄与度を高めてきた。近未来においてこのような動向の劇的な逆転がない限り、世界の気温は、産業革命前より3.7-4.8℃上昇すると見られ、これに伴い、全ての生態系が深刻な影響を受けることは、WGII報告書が明快に示すとおりである。今世紀末の時点で、世界の気温上昇を2℃で抑え、大気濃度を約450 ppm CO2換算で保持するシナリオは、2050年までに排出削減量を2010年比で40-70%とし、2100年までに排出量レベルをほぼゼロにする必然性があることを示している。このようなシナリオの多くは、炭素回収貯留などの二酸化炭素除去技術の活用を必要としている、ただし炭素回収貯留は、要求される規模では利用可能になっておらず、大きな課題やリスクも伴う。

このような課題を考えると、WGIII SPMの正式発表の席でEdenhofer共同議長が語った「希望、ささやかな希望(hope, modest hope)」という言葉は、もし良く知られた炭素原単位の低い技術のポートフォリオを展開し、エネルギー効率を改善するなら、かろうじて安全地帯にとどまれるとの考えを中心にしたものであろう。この報告書は、多数の再生可能エネルギー技術が顕著な進展を見せ、技術的、経済的に熟したと考えられるレベルに達している一方で、その多くは未だにインセンティブを必要とし、固定価格買取制度や割当義務など、一定レベルの支援が必要であると指摘する。さらに本報告書は、輸送や産業、建築部門などの経済部門において排出削減及び効率向上を推進する方法も記述する。しかしながら、これは容易ではない。行動様式や活動においてそのような転換を図るには、投資パターンも大きく変化させる必要がある。しかし本報告書は、たとえ排出経路の変更が近未来の経済成長の相対的鈍化を意味するとしても(本報告書は、緩和の経済コストは世界の消費を年約0.06%削減することに等しいと予想する)、WGIIに詳述する気候変動の悪影響回避での少なくもない共同便益からすると、それを超える長期の共同便益をもたらすと明言する。

政策決定者によらない、政策決定者向けのサマリー

IPCC SPMの偉大なる力の一端は、全ての国の支持を得ているという事実からきているが、その過程で犠牲が出るのはやむを得ない。承認プロセスは全員の同意が必要だが、そのため、科学的結論を示す正確な表現について全員が合意する必要がある。ベルリン会議で、このプロセスの最も明らかな犠牲は、過去40年間、所得が排出増加の主な原動力であったとする重要な結論でだった。高所得グループ及び中所得グループに分類された一部の途上国は、所得区分の利用に反対し、その際、SPMにおける全ての関係資料が削除された。これら諸国の懸念は、自国が努力して獲得した経済成長の結果である所得レベルに焦点を当てれば、歴史的な排出蓄積量から焦点が逸れるのではないか、行動において不公平な負担を背負わされるのではないか、経済成長を維持する能力がそがれるのではないか、そして自国の国民の基本的福利を改善する能力がそがれる可能性があるのではないかと懸念するものも多かった。科学の表現次第で、自分たちの発展の権利が妨げられることがあってはならないと、断固拒絶するものも多かった。

残念ながら、この点が未解決であったことから、他の政策関連情報も削除される結果となった。たとえば排出量の計算で、生産ベース手法ではなく消費ベース手法にするとの言及が失われ、参加者は嘆いていた。

SPMの承認プロセスで、このようなことが起きたのは初めてではない。第2次評価報告書では、「統計上の生命の価値(value of statistical life)」すなわち人間の生命は、異なる国では異なる価値を持つとの経済学者の計算に関し、評価された文献の文章が変更され、その後に、一部の執筆者は実際にSPMとの関係を絶った。Pachauri議長及び他のものが指摘したとおり、違いを整理し、それを示すことは、科学というものの一つの形である。

WGIII報告書は、3つのWGsのうち最も直接的な政策関連性を有する、その理由は、この報告書が政策の効果やその影響を中心にするもので、新しい気候合意に関するUNFCCCの交渉に影響を与えるからである。この結果、ベルリンでの議論は、WGI及びWGIIでの議論より政治的なものとなり、各国は、頻繁に、IPCC WGIII SPMの承認プロセスにUNFCCCの概念が入り込むことへの懸念を表明した。

幸いなことに、この会議では、国レベルでの行動に直接焦点を当てる場合がこれまで以上に多かったのは明らかである。WGIII報告書が確認するとおり、AR4以後、国内や国内小地域の緩和計画及び戦略は大幅に増加した。これは歓迎すべき兆候であり、気候変動政策の組織は現実に増加し、各国政府の多様なレベルに浸透してきた。SPMは、AR5の小さな部分に過ぎない:WGの基本報告書(これはWGI共同議長のThomas Stockerが指摘したとおり、WGIの場合は約5キログラムの重量がある)に加え、AR5には、用語集やテクニカルサマリー、よく聞かれる質問集が含まれ、別々に読むことができる。これら全ては、あらゆるレベルの意思決定者にとって絶対的価値のあるものとなり得る。

さらに、この報告書は、UNFCCCの下での政治交渉の結果であるカンクンプレッジ(Cancún Pledges)について、産業革命前のレベル比で2℃の気温変化に制限する優れた機会を提供する長期の費用効果のある緩和の軌道と一致するものではないことを明らかにした。科学的な証拠は、この目標達成の可能性を排除してはいないが、WGIII報告書は一層確固とした排出削減目標の必要性を強調する。この報告書は、2℃目標達成のための行動は、国別の価値判断や倫理上の配慮に導かれるべきとする一方、国際協力を通して成功させるのが最善であろうと結論づける。

地図の作成者とナビゲーター

WGI及びIIの成果報告書と同様、WGIII報告書は、気候変動の交渉に重要な根拠を提供する。今回の会議を通して、何回も繰り返し言われた比喩的表現は、科学者は政策決定者にどういうコースをとればよいかを示す地図の作成者(mapmaker)だということである。科学者は地図作成者として、可能な道筋を示すだけでなく、確実性が薄い地域、空白の地域、先に待ち構える危険を地図に示す必要がある。科学者は、多様な道筋における課題やリスク、可能な影響について隠さず、透明でなければならない。WGIIIが描いた地図は、比較的安全に通行できるやや狭い経路を示している。しかし極めて重要なのは時間である。地図の作成者は、出発が遅れれば、これから先の航海に深刻な影響結果が出ることを明らかにした;つまり、状況が悪化し、一部の道筋が通行不能となる場合が増えれば、多額の費用をかけ船をなおす必要が出てくるかもしれず、この修理が確実に成功するとは限らず、試したことのない技術を使うことになり、そのような技術にはさらに多額の投資が必要となり、更なるリスクを伴う可能性があるということだ。科学はこれまでになく明確で、影響は否定できない、多様な道筋が描かれており、そして10月に採択される予定の統合報告書は、こういった全てのものをまとめ、荒海を乗り切るため利用可能な選択肢を示す、完璧な地図を描き、同時に行動しないことの影響結果も示すことになる。共同議長のEdenhoferが言った通り、そこには希望が、ささやかな希望がある。

今後の会議予定

アフリカ・クリーンエネルギー・サミット: 2014年のアフリカ・クリーンエネルギー・サミットは、意思決定者、政策決定者、産業部門のリーダー、投資家、専門家、報道関係者が一堂に会し、あらゆる人のための持続可能なエネルギーというテーマについて議論するとともに、国際展示や技術セッション、ビジネスフォーラムやその他の併催イベントを通じて、世界各国からの参加者が再生可能エネルギーの課題と機会について模索する。 日程: 2014年4月22-24日  開催地: ナイジェリア・アブジャ  連絡先: Wale Akinwumi   ディレクター TEL: +234-803-316-4567  email: olawaleakinwumi@gmail.com  www: http:// africaクリーンenergysummit.com/

サブサハラン・アフリカ・ソーラー・カンファレンス 2014:  主要な政策決定者、投資家、資本家、独立系電力事業者、技術系企業などが集まり、サハラ砂漠以南の農村部における太陽光エネルギーの電化インフラ開発やエネルギー強度の大きい工業部門における応用について模索する。 日程: 2014年4月23-24日   開催地:ガーナ・アクラ   連絡先: Reema Raj  email:  r.raj@magenta-global.com.sg   www:http://magenta-global.com.sg/subsaharanafricasolar2014/

アブダビ・アセント: アラブ首長国連邦(UAE)主催のAbu Dhabi Ascent(アブダビ・アセント)は、国連事務総長が開催する9月の気候サミットに向けて機運づくりを目指した2日間のハイレベル会合。政府閣僚やビジネス、金融、ならびに市民社会のリーダーが集い、9月サミットで各国の政府や企業、機関が具体的なアクションを起こせるよう、行動に関する提言づくりや、パートナーシップ拡大と深化を遂げている各種イニシャティブへの参加を向上させるべく取り組む。 日程: 2014年5月4-5日  開催地: アラブ首長国連邦(UAE)・アブダビ  www: http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=47073&Cr=&Cr1=#.U0suKlxJ-Ji

クリーンエネルギー ミニステリアル 5 (CEM5): 第5回クリーン エネルギーミニステリアルは韓国で開催。20ヵ国を超える世界の主要大国のエネルギー閣僚やその他ハイレベルの参加者が世界規模でクリーンエネルギー経済への移行を加速するための道筋を策定することをめざす。また、特に、省エネやクリーンエネルギーの普及、エネルギー・アクセスの拡大に向けた優れた政策やプログラム、戦略の策定などを重点テーマとする。日程: 2014年5月12-13日  開催地:韓国・ソウル  連絡先: CEM事務局   email: CEMSecretariat@hq.doe.gov www: http://www.cleanenergyministerial.org/Events/CEM5  

地球環境ファシリティー (GEF)46回カウンシンル及びGEF総会:第46回GEFカウンシルに続き、GEF総会がメキシコに於いて開催される。5月25日の理事会会合を皮切りに、市民社会機関(CSO)コンサルテーション、GEFカウンシルやその他の会合が5月25-27日に開催される。また、5月27日にもCSOコンサルテーションと半日重複する形でGEFカウンシルが開催される。総会の開催は、5月28-30日。日程: 2014年5月25-30日 開催地:メキシコ・カンクン  連絡先: GEF事務局  TEL: +1-202-473-0508  fax: +1-202-522-3240  email: secretariat@thegef.org  www: http://www.thegef.org/gef/5th_assembly

UNFCCC40回補助機関会合: SBI 40 及び SBSTA 40 が2014年6月に開催。また、. ADP 5-2も開催される。  日程: 2014年6月4-15日  開催地: ドイツ・ボン  連絡先: UNFCCC 事務局  TEL: +49-228-815-1000  fax: +49-228-815-1999  email: secreariat@unfccc.int  www: http://unfccc.int/meetings/upcoming_sessions/items/6239.php

2回国際オフグリッド再生可能エネルギー カンファレンス 及び展示会: 国際再生可能エネルギー機関 (IRENA)、アジア開発銀行 (ADB) 、農村電化同盟の共催。現在のアジアにおける電力アクセスの状況についてオフグリッド型再生可能エネルギーの関係者が情報収集を行い、最新エネルギーサービスへのアクセス改善に対する様々な利害関係者の視点を共有。送電線網を利用しない再生可能エネルギーの普及を拡大させる上で直面する障害について議論し、障害を解決するためのソリューションを特定、政策の設計及び実施、資金面のソリューション等に関する優良事例や教訓を共有する。本会合は2014年6月16-20日にマニラで開催されるADBのアジア・クリーンエネルギー・フォーラムの一環で開催。 日程: 2014年6月16-17日  開催地: フィリピン・マニラ  連絡先: IRENA事務局  TEL: +971-2-4179000   email: offgridconference@irena.org  www: http://www.iorec.org

アジア・クリーン エネルギーフォーラム2014: アジア・クリーン エネルギーフォーラムは、アジア開発銀行(ADB)、米国国際開発庁 (USAID) 及び 世界エネルギー会議(WEC)が主催。学会、産業界、市民社会、政府 及び 多国間機関などがアジアにおけるクリーンエネルギーについて討議する。日程: 2014年6月16-20日  開催地: フィリピン・マニラ 連絡先: Aiming Zhou、ADB  TEL: +632-632-5602  fax: +632-636-2444  email: azhou@adb.org www: http://www.asiacleanenergyforum.org

2014 CIF パートナーシップ・フォーラム: 気候投資基金 (CIF) 及び米州開発銀行(IDB)共催となる2014年のCIFパートナーシップ・フォーラムには、市民社会、民間部門、政府、先住民、学会からも参加。カンファレンス前の6月22日に開催される特別イベント、“ステイクホルダー・デイ“は、CIFの活動において主要な利害関係者を取り込む上での進展状況や課題の議論にあてられる。カンファレンスでは、パネルディスカッション形式で、気候変動プログラムの管理やミニグリッドからREDD+にわたる民間資金の誘導など多様なトピックを扱う予定だ。日程: 2014年6月23-24日  開催地: ジャマイカ・モンテゴベイ  連絡先: CIF Admin Unit  TEL: +1-202-458-1801  email: CIFAdminUnit@worldbank.org  www: https://www.climateinvestmentfunds.org

UNFCCC COP 20 及び CMP 10に向けたプレPre-COP閣僚会合:ベネズエラ政府主催の同会合は、気候変動における地方政府の役割を検証し、現場の地方政府や市民の参画推進法や地方レベルの行動を国際的なアジェンダに統合するための手段等について検討する。日程: 2014年7月15-18日  開催地:ベネズエラ・カラカス  連絡先: Cesar Aponte Rivero、General Coordinator  email: precop20@gmail.com

2014年気候サミット: UNFCCCのプロセスを通じた野心的な国際気候協定に向けた政治的機運の醸成を目指す国連・潘基文事務総長主催のイベント。 日程: 2014年9月23日  開催地: ニューヨーク国連本部  www: http://www.un.org/climatechange/summit2014/

気候シンポジウム 2014: “地球観測を通じた気候プロセスの理解促進”をテーマとして、効果的で持続的な宇宙からの国際的な地球観測の発展を目指し、気候の観測、研究、分析、モデリング分野の国際的な専門家が結集。世界及び地域レベルの気候に関する知識向上における宇宙からの地球観測の役割や気候予測に用いられる各種モデルの評価を行う。  日程: 2014年10月13-17日  開催地:ドイツ・ダルムシュタット  連絡先: 組織委員会  email: climate.symposium@eumetsat.int  www: http://www.theclimatesymposium2014.com/

サステイナビリティ・サイエンス・コングレス: 地球規模の課題に対する持続可能な解決策について、様々な分野の専門家が協働し、科学に基づく政策インタフェース及びソリューションを提供することを目的とした会議。  日程: 2014年10月22-24日   開催地: デンマーク・コペンハーゲン   連絡先: コペンハーゲン大学 Sustainability Science Center  email: IARU2014@science.ku.dk  www: http://www.sustainability.ku.dk/iarucongress2014

UNFCCC ADP 2-6:  ADP第2回第6部は2014年10月に開催。  日程: 2014年10月20-24日(仮)  開催地: ドイツ・ボン  連絡先: UNFCCC事務局  TEL: +49-228-815-1000  fax: +49-228-815-1999  email: secretariat@unfccc.int  www: http://unfccc.int

IPCC-40: AR5統合報告書の採択及び政策決定者向け要約(SPM)の承認をめざすIPCC総会。 日程: 2014年10月27-31日  開催地: デンマーク・コペンハーゲン  連絡先: IPCC事務局  TEL: +41-22-730-8208  FAX: +41-22-730-8025  email: IPCC-Sec@wmo.int  www: http://www.ipcc.ch/

UNFCCC COP 20 及び CMP 10に向けたPre-COP閣僚会合 : UNFCCC交渉における市民社会の参画について再検証することを目指した、ベネズエラ政府主催の会合。  日程: 2014年11月4-7日  開催地: ベネズエラ・カラカス  連絡先: Cesar Aponte Rivero, ゼネラル・コーディネーター  email: precop20@gmail.com

UNFCCC COP 20 及び CMP 10: 国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP 20)及び第10回京都議定書締約国会合(CMP 10) はペルー・リマに於いて開催。  日程: 2014年12月1-12日  開催地: ペルー・リマ  連絡先: UNFCCC 事務局  TEL: +49-228-815-1000  FAX: +49-228-815-1999  email: secretariat @unfccc.int 

www: http://unfccc.int

その他の会議及び最新情報については右記を参照。http://climate-l.iisd.org/
用語集

AFOLU
AR5
AR4       
BECCS
CCS
CDR      
CLA       
COI        
CO2       
CO2eq
EAG       
FOLU
GHGs
GT          
GWP      
IPCC     
LDCs     
PPM       
RCP       
RE          
SPM       
SRREN
SYR       
TFI         
TSU       
UNEP
UNFCCC
WG
WMO

農業、林業 及び その他の土地利用
第5次評価報告書      
第4次評価報告書
CCS付きバイオエネルギー
炭素回収貯留
二酸化炭素除去量
調整主幹執筆者
利益相反
二酸化炭素
二酸化炭素換算
COI専門家諮問グループ
林業 及び その他の 土地利用
温室効果ガス
ギガトン
地球温暖化係数
気候変動に関する政府間パネル
後発開発途上国(LDC)
100万分の1(百万分率)
代表的濃度経路
再生可能エネルギー
政策決定者向け要約
再生可能エネルギー源と気候変動緩和に関する特別報告書
統合報告書
国家GHGインベントリに関するタスクフォース
技術支援ユニット
国連環境計画
国連気候変動枠組み条約
作業部会(ワーキンググループ)
世界気象機関(World Meteorological Organization)

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This issue of the Earth Negotiations Bulletin © <enb@iisd.org> is written and edited by María Gutiérrez, Ph.D., Elena Kosolapova, Ph.D.,  Mari Luomi, Ph.D., Leila Mead, Mihaela Secrieru, and Hugh Wilkins, LL.M. The Editor is Pamela Chasek, Ph.D. <pam@iisd.org>. The Director of IISD Reporting Services is Langston James “Kimo” Goree VI <kimo@iisd.org>. The Sustaining Donor of the Bulletin is the European Commission (DG-ENV). General Support for the Bulletin during 2014 is provided by the German Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation, Building and Nuclear Safety (BMUB), the New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, SWAN International, the Swiss Federal Office for the Environment (FOEN), the Finnish Ministry for Foreign Affairs, the Japanese Ministry of Environment (through the Institute for Global Environmental Strategies - IGES), the United Nations Environment Programme (UNEP), and the International Development Research Centre (IDRC). Specific funding for the coverage of this meeting has been provided by the IPCC and the Government of Norway. Funding for translation of the Bulletin into French has been provided by the Government of France, the Wallonia, Québec, and the International Organization of La Francophonie/Institute for Sustainable Development of La Francophonie (IOF/IFDD). The opinions expressed in the Bulletin are those of the authors and do not necessarily reflect the views of IISD or other donors. Excerpts from the Bulletin may be used in non-commercial publications with appropriate academic citation. For information on the Bulletin, including requests to provide reporting services, contact the Director of IISD Reporting Services at <kimo@iisd.org>, +1-646-536-7556 or 300 East 56th St., 11D, New York, NY 10022 USA.

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