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Vol.12 No.582 - 2013年10月20日
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第37回総会の概要
2013年10月14日-17日

気候変動に関する政府間パネル第37回総会 (IPCC-37)は、2013年10月14-17日、グルジア・バトゥミに於いて開催され、世界92カ国の政府関係者、科学者、市民社会の代表を含めた229名が参加した。

総会では、2つの方法論に関する報告書、「2006年IPCC国別温室効果ガスインベントリ・ガイドラインに対する2013年版補遺:湿地」及び「2013年版追加手法及び京都議定書のグッド・プラクティス・ガイダンス」について、審議の上、採択された。また、IPCCの今後の計画を策定するための主要な議論が行われ、幅広い手続き上の問題が討議された。今次会合は、第5次評価報告書 (AR5)の最終とりまとめの段階で開催されたが、コミュニケーションやアウトリーチ、利益相反問題(COI)や事業案なども含め、今後のIPCCの作業に係わる重大な検討期間への準備として、数々の重要な問題について討議された。

IPCCのこれまで

IPCCは、1988年、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された。その目的は、人為的気候変動に伴うリスク、その影響可能性、適応及び緩和のオプションの理解に関する科学、技術、社会経済情報を評価することである。IPCC自体は、新たな研究は行わず、気候関連データをモニタリングすることもない。その代りIPCCは、発表されてピアレビューを受けた科学技術文献に基づき、知識を評価する。

IPCCは3つの作業部会(WG)を有する。WG-Iでは、気候系及び気候変動の科学面を扱う。WG-IIでは、気候変動に対する社会経済システム及び自然システムの脆弱性、気候変動の影響、及び適応のためのオプションを扱う。WG-IIIでは、温室効果ガス(GHG)の排出を抑制し、気候変動を緩和するためのオプションを扱う。各WGは、2名の共同議長、6名の副議長を有するが、WG-IIIは第5次評価サイクルの期間のみ、3名の共同議長を有する。共同議長は、パネルが各WGに課した義務が果たされるよう指導し、その任務遂行のため、テクニカルサポートユニット(TSU)の支援を受ける。

さらにIPCCは、国家温室効果ガス(GHG)インベントリに関するタスクフォース(TFI)を有する。TFIは、IPCCのGHGインベントリ・プログラムを監督するが、このプログラムは、各国のGHG排出量及び除去量の計算と報告書作成のため、国際的に合意された手法及びソフトウェアを開発し、更に改善し、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国による手法の利用を推進する。

IPCC議長団(ビューロー)は、1つのIPCC評価報告書の期間(約6年間)を任期として、パネルにより選出される。議長団の役割は、IPCC作業計画の作成、調整、モニタリングについて、IPCC議長を補佐することである。議長団は、全ての地域を代表する気候変動専門家で構成される。現在、議長団は31名で構成される:IPCC議長、3つのWGの共同議長、TFI議長団(TFB)、IPCC副議長、3つのWGの副議長である。この議長団に加え、2011年、IPCCは、会合間隙中の作業ならびにWG間の調整を支援する執行委員会を設置した。執行委員会は、IPCC議長、WG及びTFBの共同議長、IPCC副議長のほか、事務局の長、4名のTSUの長を含める諮問メンバーで構成される。IPCC事務局は、スイスのジュネーブにあり、WMOがホスト組織となっている。

IPCCの成果:IPCCは発足当初から、一連の総合評価報告書、特別報告書、テクニカルペーパーを作成し、専門家や政府による厳しい査読を受けた気候変動に関する科学情報を国際社会に提供してきた。

IPCCは、これまでに気候変動に関する4つの総合評価報告書を作成し、それぞれUNFCCC交渉の進展において重要な役割を果たしたと評される:第1次評価報告書は、1990年に完成し、第2次評価報告書は1995年に、第3次評価報告書は2001年に、そして2007年に第4次評価報告書が出された。2008年のIPCC-28は、第5次評価報告書の作成と、その2014年の完成を決定した。

評価報告書は、各WGがそれぞれ作成した報告書をまとめた3部構成となっている。報告書にはそれぞれ、政策決定者サマリー(SPM)、テクニカルサマリー、そしてその根拠となる評価報告書本文が収められる。報告書の評価セクションは全て徹底した3段階の査読プロセスの対象となる:第1段階は専門家による査読、第2段階は専門家と政府による査読、第3段階は政府による査読である。各SPMは、担当WGの行ごとの承認を受ける。また、評価報告書には、統合報告書(SYR)も含まれるが、これは3つのWGの報告書の中で最も関連性の高い項目に焦点を当てたものであり、SYRのSPMは、担当WGの行ごとの承認を受ける。AR5の作成には、85か国から800名以上の執筆者及び査読編集者が参加している。

IPCCは、総合評価報告書のほか、特別報告書、手法論報告書、テクニカルペーパーを作成、気候変動の特定問題に焦点を当てる。IPCCが作成した特別報告書は以下の通り。「土地利用、土地利用変化、森林」(2000年);「二酸化炭素回収貯留」(2005年);「再生可能エネルギー源及び気候変動の緩和 (SRREN) 」 (2011年)。また、最近のものでは「気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書(SREX) 」(2011年)がある。テクニカルペーパーとしては、「気候変動と生物多様性」(2002年)や「気候変動と水」(2008年)などが作成されている。

IPCCは、各国のGHGの報告を支援する手法論報告書やガイドラインも作成する。グッド・プラクティス・ガイダンス報告書は2000年と2003年にパネルの承認を得た。最新版のIPCC国家GHGインベントリ・ガイドラインは、2006年にパネルの承認を得た。

IPCCは、2007年12月、「人為的気候変動に関する知識の構築、普及、変動への対応に必要な基礎の構築」というIPCCの作業と努力に対し、米国元副大統領アル・ゴア氏とともに、ノーベル平和賞を受賞した。

IPCC-28:この会合は、2008年4月9-10日、ハンガリーのブダペストで開催された。議論の焦点は、WGの構成、将来の報告書のタイプとタイミング、IPCC議長団及びTFBの将来の組織構成など、IPCC作業プログラムの主要要素を含めたIPCCの今後の活動であった。IPCCは、AR5の作成と現在のWGの組織構造を保持することで合意した。AR5での新シナリオの顕著な利用を可能にするため、パネルは、議長団に対し、WG-I報告書を2013年の早い時期に提供し、他のWG報告書及びSYRを2014年の可能な限り早い時期に完成させるよう要請した。さらにパネルは、2010年までにSRREN報告書を完成させるということで合意した。

IPCC-29: IPCC発足20周年の記念会合にもあたる本会合は、2008年8月31日-9月4日、スイスのジュネーブで開催された。この時点で、パネルは新しいIPCC議長団とTFBを選出しており、Rajendra Pachauri(インド)がIPCC議長に再選された。パネルは、IPCCの将来に関する議論を継続し、ノーベル平和賞の賞金を基に、開発途上国出身の若い気候変動科学者を対象とした奨学金制度の創設で合意した。

IPCC-30:この会議は、2009年4月21-23日、トルコのアンタルヤで開催された。パネルは、この会議では主にIPCCの近未来に焦点を当て、AR5スコーピング会議のガイダンスを提供した。スコーピング会議は2009年7月13-17日、イタリアのベニスで開催された。

IPCC-31: この会議は、2009年10月26-29日、インドネシアのバリで開催された。議論の焦点は、ベニスのスコーピング会議出席者が作成したAR5の各章の概要案の承認であった。さらに、パネルは、開発途上国及び経済移行国の科学者の参加、電子技術の活用、IPCCの長期展望など、IPCC-30の決定の実施進捗状況を検討した。

インターアカデミーカウンシル(IAC)のレビュー:AR4の不正確さに絡む世間のIPCCへの批判や、こうした批判に対するパネルの対応ぶりを受けて、国連事務総長のBan Ki-moon及びIPCC議長のRajendra Pachauriは、IPCCのプロセス及び手順について、第3者レビューを行い、IPCCの強化及びその報告書の質の確保を図る提案を提出するようIACに要請した。IACは、2010年8月、レビュー結果をまとめた報告書を提出した。IACのレビューは特に次の点について勧告している:IPCCの管理体制;危機対応計画を含めたコミュニケーション戦略;参加者の選出基準や評価対象の科学技術情報のタイプを含めた、透明性;WG間の不確実性に関する定義の一貫性。

IPCC-32:この会合は、2010年10月11-14日、韓国の釜山で開催され、IACレビュー提案を審議した。パネルは、いわゆる「灰色」文献や不確実性の扱い、過去の報告書での誤記対応プロセスなど、提案に対する多数の決定を採択した。パネルは、さらなる検討が必要な提案を議論するため、プロセスと手順、利害相反(COI)政策、ガバナンスと管理に関するタスクグループを設立した。パネルは、AR5 SYRの概要改訂版を受理した。

SRREN:WG-IIIの第11回会合は、2011年5月5-8日、アラブ首長国連合のアブダビで開催され、SRRENとそのSPMを承認した。議論の中心は、特に、持続可能な開発、バイオマス、そして政策を扱う章であった。SRRENの主な結論によると、再生可能エネルギーの技術ポテンシャルは予測される将来のエネルギー需要量を大きく上回るものであり、再生可能エネルギーが全ての緩和シナリオで重要な役割を果たす。

IPCC-33:この会議は、2011年5月10-13日、アラブ首長国連合のアブダビで開催され、主に、IPCCプロセス及び手順に関するIACレビューのフォローアップに焦点が当てられた。パネルは、執行委員会を設立し、COI政策を採択し、IPCC報告書の手順に数件の変更を加えた。パネルは、SRREN及びそのSPMに関するWGIIIの行動を承認し、AR5の進捗状況を検討した。

SREX:IPCC WG- I 及び WG- IIの第1回合同会議は、2011年11月14-17日、ウガンダのカンパラで開催され、SREXの受理及びSREXのSPMの承認を行った。SREXは、気候と環境、人間の各要素の相互作用が極端な気象現象や災害の悪影響に結び付く問題や、影響や災害のリスク管理策、さらには気候以外の要素が影響を決定づける上で果たす重要な役割について議論した。

IPCC-34:この会議は2011年11月18-19日、ウガンダのカンパラで開催され、IPCCプロセス及び手順のIACレビューのフォローアップ、具体的には手順、COI政策、コミュニケーション戦略に焦点が当てられた。パネルは、IPCC報告書の作成、レビュー、受理、採択、承認、刊行の手順の改訂版を採択し、COI政策の実施手順および公表様式を採択した。また、パネルは、SREXのSPMを正式に受理した。

IPCC-35:この会議は、2012年6月6-9日、スイスのジュネーブで開催された。この会議は、IAC勧告に関するパネルの審議を締めくくるものであり、IPCC事務局とTSUの機能、そしてコミュニケーション戦略が承認された。さらに参加者は、IPCC報告書の手順改訂版、IPCC議長団ならびに全てのタスクフォース議長団の選出手順について合意した。

IPCC-36:この会議は、2013年9月23-26日、スウェーデンのストックホルムで開催され、WG-1が「気候変動2013:物理科学的根拠」と題した同作業部会のAR5 報告書を完成させた。その後、行われたパネルにおいて、WG-1のSPMが承認され、テクニカルサマリ―(技術要約)と附属書を含む報告書の本体が受理された。

IPCC-37報告書

IPCC議長のRajendra Pachauriは、月曜日の朝、開会を宣言し、将来世代や地球に対する気候変動の影響など、気候変動を大局的視点でとらえる必要があると指摘し、世界最高の科学的知見を結集し、気候変動に対する一般の関心を惹き起こすというIPCCの役割を強調した。同議長は、IPCCの作業は政策決定者にとりこれまで以上に関連性がある確実かつ信頼できるものだと強調した。

グルジア議会のDavid Usupashvili議長は、グルジア政府を代表して参加者を歓迎した。同議長は、IPCCが行ってきた作業の重要性を強調し、特に科学者の作業を世界中の政策決定者に伝え広め、それにより人類の共通の責任に対する意識を高め、想起したことは重要であると強調した。

グルジアの環境・自然資源保護大臣のKhatuna Gogaladzeは、バツミ会議の全参加者を歓迎し、IPCCの作業を称賛し、世界の多くの国が直面する社会的経済的課題に取り組む研究や、十分に論を尽くした情報の重要性を強調した。同大臣は、世界の気候変動問題を解決する唯一の道は小国や後発途上国を含めた全ての国が努力を結集することだと述べた。同大臣は、グルジアの貢献と約束を保証した。

Adjara自治共和国政府の長であるArchil Khabadzeは、Adjara地域の気候脆弱性を紹介し、同国の気候変動緩和及び適応の努力、そして資金面の課題について詳しく説明した。

IPCC議長のPachauriは、議題書(IPCC-XXXVII/Doc.1)を提出し、パネルはこれを採択した。

第36回会合報告書案の承認

月曜日午後、IPCC事務局長のRenate Christは、IPCC-36報告書草案 (IPCC-XXXVII/Doc.24)を提出した。韓国は、「日本海」への言及に反対し、日本海と「East Sea」の併記を求め、これは公平性の問題だと強調した。IPCC事務局長のChristは、報告書草案はIPCC-36で達成された合意、すなわち報告書の付属書に韓国の声明を付すという合意に基づき作成されたと応じた。報告書案は追加コメントなしで承認された。

「2006年国別温室効果ガスインベントリ・ガイドラインの2013年追補:湿地」の採択と承認

月曜日朝、IPCC副議長のJean-Pascal van Yperseleは、国別温室効果ガス・インベントリのタスクフォース(TFI)共同議長に対し、この議題項目の関連文書(IPCC-XXXVII/Doc.8a、IPCC-XXXVII/Doc.8b、IPCC-XXXVII/Doc.INF.2)の説明を求めた。IPCC TFI共同議長の平石は、検討中の文書に関するIPCCの手順について説明し、「2006年国別温室効果ガスインベントリ・ガイドラインに対する2013年追補:湿地」(2013年湿地補足ガイダンス)の改定案の「ペーパースマート(Paper Smart)」ポータルシステム掲載について説明した。

参加者は、2013年湿地補足文書の概要の章について、セクションごとの査読を行い、前回の草案以後の変更箇所について検討した。フィンランドは、第2章(内陸部の排水された有機土壌)での亜寒帯の排水された森林地の有機土壌の排出係数に関する実質的疑問を議論するため、調整役代表執筆者(CLAs)との会合開催を求めた。参加者は、この問題に関心ある全ての参加者に開放された非公式グループ会合の開催で合意した。

序章に関し、米国は、削除された脚注部分の内容が報告書の他の箇所に反映されていることの確認を求めた。この脚注は、貯水池など常態的洪水地は2013年湿地補足ガイダンスに含まれていないと明記するものである。TFI共同議長のThelma Krugは、これを確認し、参加者はこのセクションを採択した。背景のセクションも若干の編集上の変更を行った上で承認された。

オランダと米国は、異なる熱帯農園林では排出係数に大きな違いがあることに懸念を表明した。これに対し第2章のCLAsは、油やしの農園林とアカシアの農園林との違いについて説明し、ローテーションの回数や栄養管理、そして油やしが植林された土地の生物物理的多様性の大きさの違いを指摘した。少人数グループで議論が続けられた。共同議長のKrugは、主にインベントリ問題に関係する懸念が払しょくされ、変更が必要とはみなされなかったと、後日プレナリーに報告した。

湿地補足文書の対象に関するセクションについて、第3章のCLAは、ロシアの質問に応え、土地の再湿地化の目的は多様であり、それぞれの目的に関する文献が欠如していることから、この排出係数は湿地土壌の再湿地化に関する全ての目的を対象にすると明言した。

共同議長のKrugは、管理された土地及び人為的排出量に関するセクション及び関連する改定案を提出した。このセクションは、若干の変更を加えた上で採択された。参加者は、概要の章の残りの部分も改定することなく採択した。

IPCC議長のPachauriは、その後、報告書の残りの部分に関しコメントを求めた。

ドイツは、報告書の前回の草案で用いられた排出係数の一部と一貫性がないことについて説明を求めた。第2章のCLAは、調整のため単位を変更する必要があった場合もあるが、泥炭採取の場合は誤ってこのセクションに配された2つの研究論文を削除したための変更であることを明らかにした。

中国とドイツは、廃水処理目的で建設される湿地(6章)の推計手法や報告手法に関する懸念を表明した。中国は、手法のさらなる開発が必要であるとし、付属書に置くべきと述べた。6章に関し、少人数グループでの追加審議が行われた。火曜日、TFI共同議長のKrugは、分類が「主要排出・吸収源(key category)」であるかどうか、そして2013年湿地補足文書に記載される手法論を適用する必要があるかどうかを決定する場合には専門家の判断を用いるとの決定で、懸念が払しょくされたとパネルに報告した。

さらに共同議長のKrugは、第4章(沿岸湿地)に関する問題についても報告し、養魚池に関し中国が提起した懸念について、排出係数を求めた方法についての説明を含める、そして農業部門における動物の扱い方と一貫性を確保することで解決したと述べた。

火曜日、参加者は、湿地補足ガイダンスの検討を続けた。TFI共同議長のKrugは、月曜日の少人数グループでの議論について報告した。第2章(内陸部の排水された有機土壌)について、同共同議長は、亜寒帯及び温帯の排出係数に焦点を当てて議論したと述べ、合意された解決策は亜寒帯及び温帯の両方の排出係数を明確化するほか、森林専門に開発された数値を考慮に入れる追加の排出係数も明確化すると述べた。

ドイツ、フィンランド、米国、中国、ノルウェー、マリを含む多数の締約国は、解決策を探るため建設的な精神で臨み努力した少人数グループに対し、満足の意を表明し、改定案は補足ガイダンスの適用可能性を改善すると述べた。パネルは、更なる改定をすることなく、2013年湿地補足ガイダンスを承認した。TFI共同議長の平石は、次のステップについて説明し、2013年11月2日に補足ガイダンスの編集前バージョンをインターネット上に掲載し、2014年2月に公式文書が発表されると参加者に告げた。

「京都議定書から生じる補足手法及びグッド・プラクティス・ガイダンス2013年改訂版」の採択と承認

TFI共同議長の平石は、木曜日朝、この議題項目(IPCC-XXXVII/Doc.9b/Rev.1、IPCC-XXXVII/Doc.INF.3/Rev.1)を提出した。

TFI共同議長のKrugは、土地利用、土地利用変化、森林に関し京都議定書から派生する補足手法及びグッド・プラクティス・ガイダンス2013年改訂版(KP LULUCF補足ガイダンス)の概要の章における変更項目について、セクションごとの査読を行った。同共同議長は、改定案の大半は、以前の草案の簡素化または更新を目指すものであり、この文章の内容を失うことなく可能な限り正確かつ一貫性のあるものにするものだと指摘した。同共同議長は、改定案の中には重複した脚注の削除や略語の排除が含まれると述べた。

中国は、管理された土地の扱いに関し、2013年KP LULUCF補足ガイダンスと2006年IPCC国別温室効果ガスインベントリ・ガイドラインとの関係を明確にするよう要求した。共同議長のKrugは、UNFCCCの下での報告作成と京都議定書の下でのアカウンティングの違いについて説明した。同共同議長は、補足ガイダンスの方は京都議定書の下の締約国会議決議2/CMP.7 (LULUCF)に規定する活動ベース手法に従っていると説明し、これには自然の攪乱に関する規定が含まれており、これにより各国の京都議定書目標遵守を危うくするような人為的でない排出量を、計算から排除できると説明した。

パネルは、京都議定書第2約束期間におけるLULUCF活動の扱いが第1約束期間と比べ変更されている概要の章の表1について議論した。伐採木材製品の計算に関し、中国は、輸入された伐採木材製品はその原産地がどこであれ、決議2/CMP.7に則り、輸入国の計算には入れられないと明確に表現することを要求し、パネルもこれに同意した。

この章の政策関連性セクションに関し、ドイツ、スペイン、インド、フィンランドは、再植林の定義における開始日に関する文章に異議を唱えたが、ブラジルはこれに反対した、この文章では、国際気候変動体制の将来の決定において異なる解釈が議題となる可能性があると記述する。前者の国々は、この文章は不必要であり、UNFCCCの政策に予断を加える可能性があると主張した。パネルは、この表現をこの章から削除することを合意した。

リモート・センシング・データの利用に関し、米国は、報告書本文の第2章(3.3条及び3.4条の下でのLULUCF活動の推計、測定、監視、報告の方法)の脚注の言及を挿入するよう提案し、パネルもこれに同意した、この脚注では例として、補足文書の対象や、広くはUNFCCCの下での全ての国の報告の対象となる関連データ及び関係する製品を、リモート・センシング・プラットフォームや多様な国の現場プラットフォームから取得し、自由に利用できるようにするため、宇宙関連機関と協力する地球観測政府間グループ(Intergovernmental Group on Earth Observations (GEO))の共同作業に言及する。

その後、パネルは、報告書全体を承認した。IPCC議長のPachauriは、2013 KP LULUCF補足ガイダンスの作成にかかわった全てのものを祝し、これはIPCCの強みを実証し、科学と政策行動者の共同作業の強みを実証するものだと述べた。

IPCCの将来

この議題項目は、火曜日と木曜日のプレナリーで議論されたほか、この週を通して開催された少人数グループの会合でも議論された。

火曜日の朝、IPCC事務局長のChristは、この議題項目(IPCC-XXXVII/Doc.19、IPCC-XXXVII/INF.1)を提出した。同事務局長は、各国の提出文書に基づき考慮されなければならないオプションの可能性や配慮について説明した、この中には総合評価報告書の利用、地域問題、タイミング、構成、WGsの手法、議長団の人数と構成、途上国専門家の参加、TFIの役割が含まれた。

多数の国は、影響や脆弱性そして適応に関する追加作業を支持し、脆弱性と適応に関する共同研究プログラムの設置を提案した。フィンランドは、小国及び途上国にとってのIPCCの重要性に注目し、議長団においては継続性と定期的な変更の両方が必要だと指摘した。さらに同代表は、最優秀な科学者をIPCCに惹きつけられるよう報告のタイミングを図る必要があると論じた。マリは、ギャップを明確にするよう求め、特にアフリカにおける不適切なデータの利用可能性やプロセスと処理について議論する特別チームが必要だと強調した。

多数の意見発表が行われ、IPCCの作業における途上国科学者の参加人数を増やし、TSUsでもこれら科学者の参加を増やすよう求めた。メキシコは、ベネズエラの支持を得て、農村部共同体及び先住民共同体の参加を求め、さらに伝統知識を含めるよう求めた。同代表は、報告書作成における努力の重なりを避けるため、他の国際機関との調整を改善するよう求めた。

多くの参加者は、IPCCの作業の基礎をなす評価報告書の重要性を述べた。IPCC議長のPachauriは、IPCC設立文書を引用し、IPCCがサービスを行う対象は政府を超えており、ビジネスや産業も含めることを想起した。スウェーデン、オランダ、ニュージーランド、その他は、変化する時代に適応する必要性に言及する一方、IPCCの厳格なプロセス保持の重要性を強調した。

参加者は、IPCCの将来について議論する政府間タスクグループの必要性を表明した。ニュージーランドは、タスクグループは政府主導であるべきだが、科学者社会の意見や専門性も取り入れるべきだと強調した。ノルウェーは、議長団の参加の必要性を強調した。多数の参加者は、政府間タスクグループのマンデートと委託事項を作成する少人数グループの設立を提案した。英国は、IPCCはこれまで以上に一般の精査に曝されていると指摘し、科学者社会での「IPCC疲れの徴候(signs of an IPCC fatigue)」を指摘し、委託事項では特に科学者社会の参加に言及すべきだと強調した。議論の中で、カナダは、政策関連性と科学的十全性を保持することの重要性を強調し、IPCCの将来を議論する場合はUNFCCCや世界保健機関(WHO)、食糧農業機関(FAO)といった組織、さらにはビジネスその他からのインプットをオープンかつ透明性のあるプロセスで取り入れるよう求めた。

IPCC副議長のJean-Pascal van Yperseleは、次の項目を確保する必要があると強調した:IPCCの作業の質を保持する;独立性と客観性を確保する;科学本位のものであり続ける;政策関連性を保持する;作業は効率的にする;参加性がある;透明なものとし、メディアにも開放的になる。

日本は、現在のWGの構成を検討する必要があると指摘し、WGs間の協力や一貫性を推進することが重要と強調した。さらに同代表は、特に統合報告書(SYR)における専門家の地域バランス改善を求めた。日本は、特に2015年のUNFCCC合意を見据え、TFIが行っている手法論ガイダンスの作業継続を支持し、今後もTFIの活動を支援し続けると述べた。

ベルギーは、評価報告書の包括的な特性を保持し、定期的な情報更新と利用者の要求への対応のバランスをとることを支持した。さらに同代表は、シナリオと調整、TSUsの役割、IPCC副議長のマンデートについて議論する必要があると指摘した。

米国は、学習事項やベスト・プラクティス、そして利用者社会のニーズを取り入れる必要性を強調した。同代表は、評価報告書の意義とその包括的な特性の重要性を強調し、WGsの作業の積み上げを支持した。さらに同代表は、特別報告書の価値を指摘した。

インドネシアは、低炭素開発に焦点を当て、政策関連性があると同時に実施可能な長期経済計画の検討を求めた。さらにインドネシアは、持続可能な開発の議論が国際的に進展することはIPCCにとり有益であり重要だと強調し、サウジアラビアもこれを支持した。中国は、UNFCCCと各国政府のニーズを念頭に置き、IPCCとその製品に対する注目度を高めることを強調し、第6次評価報告書とAR4及びAR5との一貫性を求めた。さらに同代表は、主要な変更に警告し、IPCCの手順での最近の改善が重要であると強調した。

WMOは、IPCCのレビューの価値を認識する一方、「入浴用のお湯とともに赤ん坊まで投げ出す(throwing out the baby with the bath water)ように大事なものまで捨て去る」ことに警告した。ニュージーランドは、IPCCの組織構成を変更する場合、議長団や執行委員会に全ての地域の代表が確実に入るようにする必要があると強調した。

ノルウェーは、他の必要性とともに、次の必要性を強調した:評価報告書サイクル間での更新;特に途上国へのアウトリーチなど、コミュニケーションの改善を続ける;WGs間の協力を改善する;一つの議長団から次の議長団への移行期間におけるIPCCの機能確保。アルゼンチンは、CLAsのWGs継続参加を確保するため、インセンティブを作ることが重要だと強調し、特別報告書の利用可能性を高めるべきだと述べた。

ニカラグアは、適応支援作業の重要性を強調し、各地域を代表するデータを増やし、損失損害問題に更なる焦点を当て、地域専門家を増やし、途上国のデータ・プロセス能力を改善する必要があると強調した。同代表は、データ・プロセス・プラットフォームの利用を提案した。モルディブは、ペルーとともに、IPCCの将来に関する各国の提出文書統合の必要性を強調した。タンザニアは、アフリカの科学者の参加を進める努力を求め、コミュニケーションとアウトリーチの必要性を強調した。UNEPは、IPCCの将来に関するタスクグループの協議への参加に関心を表した。

フランスは、IPCCの報告書がどのように使われているかを考慮する必要があると強調し、総合評価報告書の頻度は変更すべきでないとし、将来の評価サイクルを計画する際は資金資源を考慮すべきだと述べた。さらに同代表は、IPCCによる他の国際機関及び民間部門への参加改善を求めた。マダガスカルは、IPCC報告書の利用者と協議し、そのインプットを得るための手順を作成するよう求め、意識向上を高めることを提案し、アフリカの科学者の訓練を増やし、より多くの地域データをIPCCの評価に使用できるようにすることを求めた。

ドイツは、タスクグループのプロセスと期限について議論し、ベルリンでのIPCC-39の可能性など、2014年で既に予定されている会合に合わせた会議の開催を提案し、2015年早期に決定して、6か月後の議長団の選出を可能にするよう提案した。デンマークは、作業部会報告書の間隔延長を支持し、ドイツでのIPCC-39と同様、デンマークもコペンハーゲンでのIPCC-40と合わせた会議の開催企画に自信があると表明した。

南アフリカは、IPCCの第3者レビューの必要性、評価報告書間の移行期間、評価の範囲、評価作業への途上国の参加に関する問題を提起した。同代表は、IPCCの効率や効果を高めることに焦点を当てる必要があると指摘した。

ベネズエラは、2014年のUNFCCC第20回締約国会議(COP 20)に間に合うようベネズエラとペルーで結果を提示することをIPCCに求めた。コモロ諸島は、小島嶼途上国 (SIDS)や他の諸国を支援し、これら諸国がIPCCに貢献できるようにすることを求めた。

WGII共同議長のChristopher Fieldは、いわゆる「執筆者の疲れ(author fatigue)」にもかかわらず、IPCCは最強の執筆者を結集し続けていることを保証した。同共同議長は、この点で、6つの重要問題を提起した:執筆者になることによる特別な意味合いは、IPCCの厳格さにより異なってくる;これまで代表されたことのない途上国の科学者の参加を得ることは、執筆者参加の追加インセンティブになる;執筆者は優れたIPCCアウトリーチ大使になりうる;執筆者が高度な科学的発見事項に注目できるようにし、執筆というルーティン作業で執筆者を支援することの重要性;広範な文献へのアクセス推進の価値;単なるWG執筆者ではなくIPCC執筆者としての認定。

WGI共同議長のQin Daheは、代表執筆者とCLAsをアウトリーチ目的で動員することを進めるべきだと述べ、途上国及び経済移行国の科学者の参加の程度を図る何らかの指標を作り、キャパシティビルディング努力の一環として、小国の科学者が参加できる方法、特にWGIに参加できる方法を見出すよう提案した。

ブラジルは、評価報告書の包括的特性を歓迎したが、WGsの作業における時間のずれについて検討するよう提案した。スペインは、IPCCの将来に関するタスクグループでは電子会議の機会を最大限生かすよう提案した。

WGIII共同議長のYouba Sokonaは、途上国およびアフリカ諸国の参加拡大が必要だと強調し、これによりIPCCの報告書は全ての諸国への影響を高め、有用性も高められると強調した。同共同議長は、IPCCの作業におけるアフリカの大学の参加改善、及び科学文献に対するアフリカのアクセス改善を提案した。さらにシェラレオーネも、多角化や関係構築、支援によるアフリカ諸国の参加拡大を求めた。エクアドルは、部門別の手法の分析、及び不適応のコスト分析に対する支援を求めた。バハマは、途上国での観測網を改善し、データのギャップを減らすよう求めた。

WGIII共同議長のRamon Pichs-Madrugaは、適応、緩和、持続可能な開発に更なる焦点を当てるよう提案した。

パネルは、IPCCの将来に関するタスクグループ設立で合意した。IPCC議長のPachauriは、ニュージーランドとサウジアラビアを共同議長とする少人数のオープンエンドグループを設置し、委託事項を作成してプレナリーに報告するよう提案した。水曜日午後、少人数オープンエンドグループの共同議長は、同グループの提案をプレナリーに提出した。参加者は、タスクグループの構成について検討し、このグループのオープンエンド特性を認める一方、地域バランスを確保するためと組織上の実際目的から、基本メンバーを特定するかどうか議論した。

事務局長のChristは、親組織であるUNEPとWMOの参加が招へいされると明言した。欧州連合(EU)は、EU代表が特別オブザーバーの立場でオブザーバー組織であることを確認する脚注を追加するよう要請し、ベルギーもこれを支持した。さらにドイツは、執行委員会の代表とTSUの代表を参加者リストに加えるよう要請した。タスクグループの実質的参加者となることに関心があるものを知るため、挙手が求められた。タスクグループの基本メンバー加盟について、ほぼ全ての国が関心を表明した。

さらに参加者は、タスクグループの運営についても協議し、次のとおりとすることで合意した:プレナリーセッションと合わせて会合し、会合期間外でも会合する;可能な場合は電子会議手法をとる;IPCCの第39回会合、40回会合、41回会合に報告する。

議論は木曜日も続けられた。パネルは、草案作成グループで合意された委託事項の提出を受け、これに若干の改正を加えて採択した。さらにパネルは、事務局が次のことを行うことで合意した:各国政府から受理した提出文書の統合文書を作成する;IPCC-37での議論をまとめる;各国政府に対し、委託事項に基づき、再度文書を提出するよう求める。

最終成果:合意された委託条件は、タスクグループ設置の背景、その目的、インプット、アウトプット、構成、運営を規定する。同グループの目的は、次の問題に関するオプションを開発し、提案し、IPCCの運営と製品の改善計画を支援することである:IPCCの将来の製品;IPCCの製品作成のための構成と運用方法;IPCCの将来の作業における途上国の参加と貢献を確実に強化できる方法。

このグループは、委託条件付属書に規定するとおり、42か国とEUを基本メンバーとするオープンエンドのグループである。その議長は、サウジアラビアとニュージーランドが務める。このグループは、AR5作成サイクルでの報告書作成にかかわった人々、IPCCのメンバー、IPCCオブザーバー組織や利害関係者、そしてIPCCプロセスにかかわる科学者の提出文書、さらにはIPCC-37で表明された意見など、多様な情報源からインプットを得る。グループは、IPCC会合と合わせ会合し、IPCC-39とIPCC-40において、進捗状況を報告する。このタスクグループは、IPCC-41に提案書を提出する。

コミュニケーション戦略とアウトリーチ

IPCCのコミュニケーション戦略とアウトリーチは、月曜日午後に議論された。IPCC事務局のJonathan Lynnは、この議題項目に関する文書(IPCC-XXXVII/Doc.13、IPCC-XXXVII/Doc.14、IPCC-XXXVII/Doc.15)を提出し、AR5に関するコミュニケーションとアウトリーチの計画について、最新情報を提供した。

Lynnは、IPCC-36での公式のWGI SPM発表の2時間前に発表禁止(embargo)コピーをメディアに提供したと指摘し、このイニシアティブにより、タイムリーで正確かつ十分な情報を持ったコミュニケーションが可能になったと述べた。同氏は、WGIIとIIIの報告書では24時間前まで発表禁止期間を延ばすよう提案し、数名の参加者もこれを支持した。

Lynnは、IPCC-36では事務局の補助スタッフ、現地のボランティア、WMOなどから支援を受けたことを想起し、最も忙しい時期での資源の利用可能性をさらに高める必要があると強調した。同氏は、テレビ放送では更なる努力が可能であるとし、事務局は主要メディアに積極的に参加しているとして、一連のIPCCビデオ作成作業に焦点を当てた。多数の参加者は、事務局の行った業務を祝し、自国で行われたあるいは計画されているコミュニケーション及びアウトリーチ活動について、情報を提供した。

日本は、一つの評価報告書と別な評価報告書での違いを示す明確なメッセージが必要だと指摘した。中国は、WGI SPMとその元となるWGI報告書との不一致に警告し、IPCCのウェブサイトに掲載された報告書本文は、IPCC-36でのWGI SPMの改定と一致していないと指摘した。同代表は、事務局に対し、関連するオンラインの断り書きが読者にわかりやすいものにするよう求めた。

メキシコは、IPCCのコミュニケーション及びアウトリーチ努力の影響は、IPCC資料のオンラインダウンロード件数で計算できると述べ、メディアとのコミュニケーションについてCLAsを訓練するよう求めた。スペインは、コミュニケーション資料の国連用語への翻訳に関し疑問を呈した。マリは、コミュニケーション及び意識向上の重要性を強調し、途上国、特にアフリカを対象としたアウトリーチ活動を増やすよう求めた。ベルギーは、事務局に対し、主要な結果に関するスライドをタイムリーな形で、さらに適切なフォーマットで提供し、数字や図も異なる言語に翻訳可能にすることを要請した。

IPCCの利益相反政策の実施

水曜日、IPCC議長のPachauriは、この議題項目(IPCC-XXXVII/Doc.4)を提出した。IPCC副議長のHoesung Leeは、IPCC利益相反委員会の最近の議事について説明し、議長団全員が利益相反書式及び毎年の最新報告を提出済みであり、利益相反は見つかっていないと指摘した。同副議長は、実施手順の条項など、利益相反政策の主要項目に焦点を当て、専門家諮問グループの設置を指摘した。ベルギーは、同委員会にはUNEP及びWMOの両方の法律顧問を有すると述べ、WMOの顧問がまだ任命されていないことに懸念を表明した。WMOは、任命プロセスが開始されており、このプロセスが進むにつれ、IPCC事務局に追加情報が提供されると応じた。

IPCCの活動のカーボンフットプリント削減

参加者は、月曜日午後、この問題を取り上げた。IPCC事務局長のChristはこの議題項目(IPCC-XXXVII/Doc.10)を提出し、事務局ではIPCCのカーボンフットプリント及び環境面のフットプリントを削減すべく検討しており、会議の開催場所の選択や旅行距離についても検討していると述べた。同局長は、このような考察はアウトリーチ推進や意識向上努力など、他のニーズとバランスさせる必要があると強調した。同局長は、カーボンオフセットの可能性を取り上げ、IPCCでは最近の会議で電子文書を使用して成功を収めていると指摘した。

ニュージーランドは、会議は世界各地の異なる場所で開催する必要があると強調し、議長団メンバーは会議の開催場所についてインプットすべきだと強調した。ノルウェーは、「グリーンなホテル(green hotels)」を選択する価値を指摘し、会議に先立ち、各ホテルのグリーン状況の情報を提供すべきだと述べた。オーストラリアとサウジアラビアは、バランスのとれ開催場所の選択方法を用いるよう求めた。英国は、電子コミュニケーションを奨励すべきであり、純粋なカーボンオフセットを用いるべきだと強調した。ブラジルは、IPCC及び他のものがUNFCCCのクリーン開発メカニズムのクレジットを購入して排出量を相殺するよう提案した。カナダは、プレナリー以外の会議を電子的に行うことの意義に注目し、啓発や能力向上の影響を検討することが重要だと強調した。ドイツは、オフセットコストの情報が必要だと述べ、インドは、オフセットは他の優先策とバランスさせる必要があると強調した。ノルウェーは、汚染者負担原則の適用を求め、IPCCは先進国参加者の炭素排出オフセットを負担すべきでないと指摘した。IPCC議長のPachauriは、このような問題については事務局が調査し、いずれデータやオプションを提供すると述べた。

IPCCプログラムと予算

月曜日、IPCC事務局長のChristは、この議題項目と文書を提出した、これには次のものが含まれた:収支報告書、2014年、2015年、2016年の予算書 (IPCC-XXXVII/Doc.2、Corr.1、IPCC-XXXVII/Doc.2、Corr.1 Add.1);参加者の旅行関係問題と会議のアレンジ(IPCC-XXXVII/Doc.7);IPCC会議の報告サービス (IPCC-XXXVII/Doc.26)。Nicolas Beriot (フランス)とIsmail El Gizouli (スーダン)を共同議長とする分科会は、今回の会合期間中、5回の会合を開催、資金タスクチームが議論をリードした。

木曜日の午後、共同議長のBeriotは、このグループの作業について報告し、IPCCの将来及びAR5アウトリーチ活動に関するタスクグループの会合開催で、予算を改定する必要が出てくることなどを指摘した。さらに同共同議長は、このチームは旅行アレンジの評価に関し事務局とWMOが開始した研究成果を検証したと述べ、状況改善に向けた事務局の真剣な努力を認識したとし、これは維持されるべきと付け加えた。同共同議長は、各国政府やWMO、UNEPの貢献に対し、資金タスクパネルの感謝の意を表し、資金タスクチームの提案をパネルに提示した、この中には次のものなどが含まれる:

• 事務局に対し、IPCC窓口と連絡をとり、報告書完成後のアウトリーチ活動に対する資金拠出を検討するよう求める;

• 各国政府に対し、ノルウェーに倣うことができる立場にある場合は、ノルウェーと同様、SREXのアウトリーチ活動を支援することを奨励する;

• AR5サイクルの進行とともに予算圧力は増すと指摘し、各国に供託金の維持または増額を求める;

• 基本旅費のCHF4,500からCHF4,000への改定を指摘する;

• 2014年のWGII、WGIII、AR5 SYR承認会合を取材するEarth Negotiations Bulletin執筆者の旅費を補てんするため、CHF50,000の無償供与を割り当てる。

パネルは提案を採択した。

第5次評価報告書作成に向けた進捗状況

WGI進捗状況報告:水曜日、WGI共同議長のThomas Stockerは、AR5のWGI報告書(IPCC-XXXVII/Doc.23)の進捗状況についてプレゼンテーションを行い、コミュニケーション戦略や実施に関するUNFCCC事務局との協力、WGI専門のホームページ、科学者や利害関係者、政策関連の多様な会合におけるWGI報告書のプレゼンテーションなど、ストックホルムのWGI会合以降の活動に焦点を当てた。多数の国は、WGI共同議長への感謝の意を表し、代表執筆者、事務局、IPCC議長、TSU、科学者に対し、この報告書への貢献を祝した。

WGII進捗報告:水曜日、WGII共同議長のVicente Barrosは、WGII進捗報告書(IPCC-XXXVII/Doc.6)のうちの関連事項を紹介した、この中には、このグループが第2次草案を完成させ、現在は最終草案を各国政府に提出している段階にあることが含まれる。WGII共同議長のChristopher Fieldは、報告書を掲載するため、先進技術のウェブサイトの作成を強調し、途上国に焦点を当てるアウトリーチプログラムにも注目した。その後の議論において、コンゴ共和国は、キャパシティビルディングの重要性を強調し、コモロ諸島は、評価報告書へのSIDSの参加を求めた。ベネズエラは、横浜でのIPCC-38におけるWGII報告書承認の後、2014年にベネズエラで開催されるUNFCCC プレCOP 20閣僚会合の前での報告書普及活動の主催に関心を示した。

WGIII進捗報告:水曜日、WGIII共同議長のOttmar Edenhoferは、WGIIIの進捗状況 (IPCC-XXXVII/Doc.21)を報告し、WGIIIの第2稿草案については445名の専門家、24の国の政府から9万件のコメントを受け取ったこと、WGIIIでは最終草案の完成が近づいていることなどを述べた。同共同議長は、10章と11章ではそれぞれ廃棄物及びバイオエネルギーに関する付録が加えられたと参加者に伝え、このような重要な題目には包括的で焦点を絞る扱いをする価値があるとの執筆者の考えを説明した。

ブラジルは、そのような付録書を除去するよう提案した自国の立場について発言し、バイオエネルギーを取り出す必要性に疑念を呈し、このテーマでは2011年のSRREN以後、特に重要な進展はみられないと指摘した。同代表は、この付録を保持するかどうかについて各国政府が追加コメントを提供する、さもなければ、付録の情報を関連する章に組み入れるというオプションを要請した。WGIII共同議長のEdenhoferは、バイオエネルギーに関する付録は気候変動の緩和に関する文献の中でも最も急速に伸びている分野の一つを包括的で焦点を絞る形で扱うことを可能にするものであり、バイオエネルギーでは、SRRENの文献が締め切られた後、相当な件数の新しい文献が登場していると強調した。同共同議長は、この段階でこの付録に対する再度のコメント募集を行うのは、ロジスチック的にもできず、適切でもないと付け加えた。

ノルウェーは、付録にも結論のあるパラグラフが含まれていると指摘し、本文の章では付録とは異なり実質性のある問題を扱うことが重要だと強調し、各国政府によるこの付録の検討では全ての手順が確実に尊重されることを求めた。WGIII共同議長のEdenhoferは、さらに、バイオエネルギーに関する付録の書は章を横断する合意成果である、これはバイオエネルギーの問題が多様な章と関連し、クロスカッティングな特性があるためだと説明した。同共同議長は、このような題目を正当に扱うには、多様な側面の総合的な議論を配する専門の場を設ける必要があると執筆者が感じたと述べた。

ペルーは、急速に都市化する途上国では廃棄物管理問題が重要であると想起し、この付録の特別査読を行うというブラジルの提案を支持した。

IPCC議長のPachauriは、この問題は重要であると指摘した、その理由は相当量の文献が存在するマイナスの排出量の問題に関係しているからであり、これはIPCCの対象として世界が期待している重要部分だと述べた。同議長は、執筆者は報告書の全体バランスへの懸念から、一つの技術のセットに過ぎないこの問題を付録の一部にするよう提案したが、政策関連問題は章自体に取り入れるべきとして合意したと想起した。パネルは、重要な結論を付録のみに残すことはせず、関連する章にも登場させることで合意した。

SYR進捗報告:水曜日、IPCC議長のPachauriは、SYR進捗報告書(IPCC-XXXVII/Doc.22, Corr.1)を提出した。同議長は、SYR草稿の変更点に関する最新情報をパネルに説明し、クロスカッティングイシューを扱うボックスの挿入、重複した資料の削除、GHG計算方法に関する文章の挿入を指摘した。ドイツは、計算方法とボックスを追加した理由を問い、スウェーデンは、ボックスの中の項目を選択した理由を質問した。IPCC議長のPachauriおよびSYR TSUの長であるLeo Meyerは、ボックスはクロスカッティングイシューを扱うため執筆者が選択したものであり、SYRを横断する問題を明確に理解してもらうため提供されると説明した。カナダは、最近の温度傾向に関するボックスを含めるよう提案し、ドイツとともに、地球工学も再検討されるべきだと提案した。ロシアは、SYRは3つのWG報告書の結論に基づくべきだと強調した。

進捗状況報告

TFIの進捗状況報告:水曜日、TFI共同議長の平石は、TFI活動に関する進捗状況報告(IPCC-XXXVII/Doc.20)を行った、これには次のものが含まれる:月曜日の2013年湿地補足文書概要の章の採択、火曜日の全体報告書の承認;2013年LULUCF KP補足文書の作成;排出係数データベースに関する作業;GHGインベントリ作成に関するIPCCのソフトウェア改善、これは2012年12月、インドネシアのバリで開催されたIPCC専門家会議で開始されたもの;専門家会議を通したリモートセンシングと漏えい排出量の追加作業;現在のIPCCの手法論に関する分析実行の提案、これは2014年予算に盛り込まれており、2015年に合意される新しい議定書または他の制度に関し、新たなガイダンスを作成するようUNFCCCがIPCCに要請してくる可能性が高いことを見据えての作業。

影響及び気候の分析におけるデータとシナリオ支援に関するタスクグループ(TGICA)の進捗状況報告:木曜日、TGICA共同議長のTimothy Carterは、TGICAに関するプレゼンテーションを行い、その活動について報告した(IPCC-XXXVII/Doc.12)、中でも2012年2月のTGICA-17会議以後の進捗状況に焦点を当てた。この活動には次のものが含まれる:技術ガイドラインとファクトシートの作成;2014年に計画されている専門家会議などのキャパシティビルディング活動;WMOの気候サービスのための地球枠組(GFCS)への参加。さらに同共同議長は、TGICA共同議長の任期が2015年のIPCCサイクル終了まで延長されると参加者に告げた。その後の議論において、参加者は次の問題などを取り上げた:IPCCの将来の作業を考えた場合、タスクグループに背景情報を提供するというTGICAの役割;新しい排出シナリオの利用可能性;利用可能なデータを増やす必要性;GFCSの重要性とさらなる参加の必要性;TGICAの資金レベル向上の必要性。

IPCC奨学金プログラムの進捗状況報告:水曜日、IPCC事務局長のChristは、IPCC奨学金プログラムの進捗状況報告書(IPCC-XXXVII/Doc.11)を提出した。同事務局長は、このプログラムの資金状況の概要を示し、この資金の根幹はIPCCのノーベル平和賞受賞賞金、そしてモナコのプリンス・アルバートII世基金(Prince Albert II of Monaco Foundation)とクオモ基金(Cuomo Foundation)とのパートナーシップによるものだと説明した。同事務局長は、2013年では多様な途上国出身の13名の学生がこの奨学金を授与されたと述べ、応募件数が相当多かったことから、申請者の年齢を30歳以下とするなど、申請者の基準が厳格になったと指摘した。同事務局長は、プログラムを延長し、奨学金卒業生ネットワークを構築することが望ましいと指摘した。さらに同事務局長は、参加者に対し、追加の資金源を提案するよう求めた。コンゴ共和国は、アフリカに研究センターを設立し、この地域の若者の訓練を推進するよう提案した。タンザニアとシェラレオーネは、30歳という年齢制限は低すぎるとして懸念を表明し、この点での柔軟性を求めた。コモロ諸島は、奨学金授与者の地域的に公平な配分が重要だと述べた。

IPCC執行委員会の有効性

火曜日、IPCC議長のPachauriは、執行委員会について説明し、極めて生産的で効果の高い革新が行われたと述べた。同議長は、この委員会は定期会合を毎月開催し、会議時間の90%は電子会議であり、議事録は窓口で入手でき、記録として利用可能だと指摘した。

オブザーバー組織の認可

火曜日朝、事務局長のChristはこの議題項目(IPCC-XXXVII/Doc.3)を提出した。パネルは次の組織のオブザーバーとしての参加を許可することで合意した:オランダ、Nijmegen(ナイメーヘン)大学;国際気候行動ネットワーク (CAN-I);欧州気候基金 (ECF);気候グループ。同事務局長は、オブザーバーの立場を求める産業技術研究所(Industrial Technology Research Institute)の申請書(IPCC-XXXVII/Doc.3, Add.1)は申請が遅れたと指摘し、この申請書はまだ保留されていると述べた。

UNFCCC及び他の国際機関に関する問題

火曜日、UNFCCC事務局は、AR5 WGI報告書がUNFCCCにどのような関連性を持つかについてプレゼンテーションを行い、AR5は気候政策という意味で大きな一歩前進を意味する、特に推進要素、地域予測と近未来予測、海面上昇、2℃目標以下に抑える炭素予算(carbon budget)のセクションは一歩前進であると指摘した。同代表は、この結論はUNFCCC COP 19における科学的技術的助言に関する補助機関(SBSTA)の特別イベントでプレゼンテーションされると述べ、UNFCCCが2015年のパリ会議で地球の気候変動合意を採択するという目標に向け進む中、強力な政策対応の基礎を提供したとして、AR5を称賛した。

WMOは、2013年7月、ジュネーブで第1回気候サービス政府間理事会(Intergovernmental Board on Climate Services)が開催され、気候サービスのための地球枠組(Global Framework for Climate Services)実施計画が採択されたとパネルに告げた。

事務管理上の問題

記録文書としてのIPCC報告書電子版:水曜日、IPCC事務局長のChristは、この議題小項目(IPCC-XXXVII/Doc.18)を提出した。WGII共同議長のFieldは、電子版文書と印刷文書の両方を進めるという考えについて、多数のコメントが寄せられたと指摘した。多数の途上国や地域ではインターネットへのアクセスが制限されているとのコンゴ共和国及びモルディブの懸念に対し、事務局は、印刷された報告書が廃止されることはないと保証した。

電子的手段による理事会会合開催の可能性:水曜日、IPCC事務局長のChristは、この議題小項目(IPCC-XXXVII/Doc.5)を提出した。同局長は、特定の状況では、ビデオ会議や他の電子的手段による理事会メンバーの会議参加を認めるとの提案を提示した。その後の議論において、多数の国が事務局の提案を支持した。中国は、技術的に可能であれば国連の6つの公用語への翻訳を提供できる可能性を保持するよう求め、マリとサウジアラビアもこれを支持した。WGII共同議長のFieldは中国の提案を支持し、会議施設に対し、リモートで参加する場合にも、全ての国連公用語への翻訳を可能にする技術を採用するよう推奨した。モルディブは、電子的手段の利用を歓迎したが、全てリモートでの会議開催に対しては警告を発した。

水曜日午後、事務局長のChristは、参加者がリモートで英語の理事会会合に参加可能となるよう、IPCC作業統括原則の14項改正案を提示した。同事務局長は、このような会議を開催する各国に対し、全ての国連公用語への完全なリモート翻訳を可能にする適切な技術や施設の利用を推進するよう奨励した。同事務局長は、翻訳のアレンジは議長団の合意及び技術的設備の利用可能性が条件であると指摘した。事務局長のChristは、リモートで参加するものは、どの国連公用語で聴いても良いが、この状況下では英語でしか発言できないと明言した。ベルギーは、議長団の合意が必要とされる時期を明確にするよう求めた。オーストラリアは、そのようなアレンジは会議の開始前に行われるべきと決定書を改定するよう提案した。パネルは次の表現を採択した:そのようなアレンジは会議に先立つ議長団の合意、並びに技術的設備の利用可能性を条件とする(such arrangements will be subject to agreement by the Bureau in advance of the meeting, and availability of technical facilities)。

ガバナンスと管理に関するパネル決議の実施:火曜日、IPCC議長のPachauriは、進捗状況を報告し、人員募集プロセスへのインプット、年間業務計画の作成、IPCC事務局長及び事務局次長の実績評価を行っているとパネルに告げた。

他の手続き上の問題:水曜日の朝、IPCC議長のPachauriは、AR4 WGIII報告に関する誤謬の可能性に関する文書(IPCC-XXXVII/Doc.25)を提出した。WGIII共同議長のEdenhoferは、AR4 SYRの図SPM.11のx軸ではラベル表示がAR4 SYR表SPM.6の内容と一致しておらず、さらにAR4のその後の多様な箇所でもこの間違いが反映されていると説明し、IPCC評価報告書、統合報告書、特別報告書、手法論報告書における誤記の可能性に対応するIPCCプロトコルに基づき執られる措置について概要を説明した。さらに同共同議長は、評価ではエアロゾルを考慮していると明記する誤記訂正ステートメントの草案を、パネルでの採択に向け提出した。パネルはこの訂正ステートメントを承認した。

その他の業務

火曜日、IPCC議長のPachauriは、IPCCプロセスについて研究する可能性を検討する文書(IPCC-XXXVII/Doc.17)を提出し、研究者の信用性、IPCCプロセスを妨げないこと、パネルの対応の機会など、このような研究の基準を指摘した。発言した参加者全員が透明性とオープンであることの価値を強調した。さらに多数のものが、基準や手順をより明確にする前に研究に応じることには注意するよう求めた。ニュージーランドは、科学者個人個人がそのようなレビューに同意すべきであり、現在提案されているものについては次の評価報告書を担当する議長団が決定すべきだと述べた。オランダは、そのような提案は利点をベースに、ケースバイケースで検討されるべきだと述べた。カナダは、インドやベルギーとともに、研究パラメタ―の設定原則を事前に定めるべきだと述べた。南アフリカは、提案を歓迎する一方、フィンランドとともに、多様な地域の研究者を含める必要があると強調した。

WGI副議長のFrancis Zwiersは、IPCC執筆者がどのように作業をするかという研究はIPCCの査読プロセスではないと述べ、前例を作ることに懸念を表明し、IPCCは最も優れた科学専門家を惹きつけられる組織であるべきだと強調した。同副議長は、WGI共同議長のQin Daheの支持を得た、同共同議長は慎重さを求め、IPCCプロセスを理解することが重要であり、混乱を回避する必要があると強調した。WGIII副議長のJim Skeaは、社会科学研究でのゴールドスタンダードはどのプロジェクトの会議でも重要であると強調し、この点で多様な文化的観点を取り入れ、倫理面のレビューも行う必要があると強調した。

IPCC議長のPachauriは、この提案はIPCCプロセスの「ミステリーをなくす(demystify)」のを助け、評価報告書の作業を行うIPCC執筆者がいかに厳密さを守っているかを示すと述べた。米国は確立したIPCC手順書に留意し、これを推進する者は第三者が承認するオブザーバー組織と共に作業することを提案した。WGII共同議長のFieldは、透明性を推進することの価値を強調し、パネルの決定を待つことなくそのような提案を可能にする方法を探るよう提案した。オーストラリアは、一つの学術的提案とは別にこの問題を検討するよう求めた。

英国と南アフリカを共同議長とする少人数グループが結成され、議論を続け、回答を提示することになった。水曜日朝、英国は、少人数グループではIPCCの作業の研究に外部の社会科学研究者の参加を認める問題は更なる議論が必要であると結論し、執行委員会がこの問題に関する専門家会合を2014年中に開催し、IPCCの将来を検討するタスクグループの作業に情報を伝える報告書を作成するよう提案したと報告した。

IPCC-37の閉会

サウジアラビアは、この会議が国連の休日にあたるイードアルアドファ(Eid Al-Adha、イスラム教の休日)の期間に開催されたことへの懸念を表明し、将来の会合は国連の公式休日と重ならないようにすべきだと要求した。ノルウェーとベルギーは、参加者の出席可能性や場所から、閉会直後にタスクグループの作業を開始するよう提案した。事務局長のChristは、一部の参加者は会合を早めに離れる必要があり、タスクグループ会合への全員の出席は不可能だと指摘した。この会合は10月17日木曜日、午後5時40分に閉会した

IPCC-37に関する簡易分析

今年9月にはIPCC第5次評価報告書 (AR5)の第1作業部会(WG-I)の報告書が無事完成した。スウェーデン・ストックホルムの会議で長時間交渉の末に受諾されたという記憶も新しいが、今回IPCCは、太陽の光が燦々と降り注ぐグルジアの黒海沿岸のバトゥミにて総会を開いた。今次会合が開催されたのは、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)からの要請に則り、2013年10月までに2つの方法論報告書を完成させる必要があったためだが、注目度の高いAR5 という評価報告書を完成させる上で多忙な行程を送る関係者には一服の休養となっただろう。この中休み期間で、IPCCは今後の数ヶ月に備えて力を蓄え、IPCCの今後の作業、つまり、AR5後の作業を見据える上で、非常に重要な事務作業に対応するためのチャンスが与えられたのだ。本会合はスムーズに進展し、その建設的なムードのおかげで議題は順調に消化され、1日早く全作業を完了することが出来た。

この簡易分析では、AR5の承認プロセス、および気候変動交渉という広い視点からIPCC-37を読み解く。また、新たに採択された方法論報告書の重要な役割と今後の青写真ともいうべきIPCCの将来像についての進捗状況を検証する。

第5次評価報告書の文脈から見る、 IPCC-37

今、IPCCの第5次評価報告書(AR5)の作成作業は佳境に入っている。AR5は、「気候変動の自然(物理)科学」 (WG-I報告書はIPCC-36で採択済み)、「影響・適応・脆弱性」 (WG-II 報告書は2014年3月に採択予定)、「気候変動の緩和」 (WG-III報告書は2014年4月に採択予定)、統合報告書 (2014年10月に採択予定)から構成される。これらの報告書は、UNFCCCにおいて2015年に採択を予定している新たな合意案も含め、UNFCCCの国際気候変動交渉のための科学的根拠を成すものである。

これらの重要イベントが控える中で、IPCC-37は、組織内秩序の立て直しに乗り出した。2010年、インターアカデミーカウンシル(IAC) が IPCCの体制、プロセス、運営の見直しを行った。その後のIACのレポートを受けて、 IPCCは、透明性や効率性、アウトリーチやコミュニケーション活動の改善、ならびに利益相反(COI)問題の予防策など、一連の改革を行った。IPCC-37では、特にコミュニケーションとアウトリーチの準備作業、利益相反予防措置、IPCCの様々な作業分野での進展等について重点的に取り上げ、IPCCが2014年に向けて準備が整っているという信頼感を出席者に与えた。また、これまで経験したもの以上に厳格な精査を受けることになったとしても、IPCCは的確に対応できるだろうという確信を与えた。

さらに、今次会合では、IPCC自身が環境に配慮したグリーン化に関する諸問題を取り上げ、組織のカーボン・フットプリント削減や、会合文書の電子化に向けたPaperSmartシステムの採用など、IPCCが訴えているテーマを自ら実践する姿勢を示した。

方法論報告書: IPCCの作業における重要な要素

温室効果ガス(GHG)の排出量や除去量について、IPCCがガイドラインや方法論を策定し、UNFCCC締約国がGHGインベントリの推計や報告書を作成するための支援を行っていることは余り知られていないが、これはIPCCの重要な作業の一つである。

GHGインベントリは見過ごされることが多いかもしれないが、多国間の気候レジームを構成するために不可欠な最重要項目の一つである。排出量および除去量の推計のために共通化した方法論や、比較検証やその後の公表や利用を簡便にするための共通様式での報告法などについて、各国が合意可能だという事実は、加盟国ごとに大きく異なる国情や生物物理的な状況を勘案すれば、決して小さくはない偉業である。一般からも広く認められた科学者達が、確かなプロセスを通じて作業を行い、提案するというプロセスを経て初めて、各国は排出量・除去量の推計・報告方法に合意できるのだ。まさにIPCCはそうした目的のため設立されたものであり、グルジア・バトゥミに於いても、このプロセスが再度試され、成功裡に完了したのである。

IPCC-37では、2つの重要な方法論報告書が採択された。すなわち、1つ目が「2006年IPCC国別温室効果ガスインベントリ・ガイドラインに対する2013年版補遺:湿地」(2013 Supplement to the 2006 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories: Wetlands)、通称「2013年湿地補遺」。2つ目が「2013年版追加手法及び京都議定書のグッド・プラクティス・ガイダンス”( “2013 Revised Supplementary Methods and Good Practice Guidance Arising from the Kyoto Protocol)、通称「2013年KP LULUCF補遺」である。特に後者は京都議定書第2約束期間に利用できるようにしたいという京都議定書締約国会合の役割を果たす締約国会議(COP/MOP)の要請に合わせて、記録的な早さで完成の運びとなった。

方法論報告書は非常にテクニカルな内容であるものの、気候交渉のための政治的な意義は大きく、ある重要な決議の背後にある運用マニュアルとなるものである。例えば、「2013 KP LULUCF 補遺」の推計方法は、GHG 排出量・除去量のアカウンティング(算定)で利用され、その算定結果が各国の京都議定書の目標遵守状況に影響を及ぼすことになるため、各国にとって重大問題である。これが今次会合で円滑に進んだのは、科学者、政府の代表者、その他の利害関係者が幾度となく共に力を合わせ、個別の懸案事項の対応策を見いだすとともに、いまの知見に忠実であろうと努めたからであり、こうしたプロセスが機能するというサインに他ならない。これは、気候変動対応策として、将来の新たな国際合意に向けた少なからぬ礎を成すものである。

IPCCの将来

今次会合からIPCCの今後のあり方を検討するための作業が開始された。まず、2015年を期限として次の評価報告書の作成スケジュールを決定し、次期議長団(事務局)を選出するために、これに間に合うように決定を下すための作業部会(タスクグループ)が発足した。それによって、IPCCは政策との関連性は維持する(policy-relevant)という立場を担保しつつ、独自にIPCCの作業や成果物を評価し、変化する時代に合わせて内容を改善していく。各国がIPCC-37に提出した意見書や声明に示される通り、本件に対する関与の度合いは、2010年のIACレビューを契機にIPCCのガバナンスや手続きが変化した結果、IPCCが強力になっているとの自覚を示すものでもある。

IPCCの総合評価報告書は有用であるという点で概ね意見は一致しているが、今後改善しうる点として、さらなる特別報告書や最新情報の提供が考えられるという提案もあり、IPCCの作業部会の再編成といった意見までも出された。

また、今回の議論では、2015年を目指した国際気候変動合意の採択も視野に入れ、今後数年に各国が必要とする情報を見越した全般的な取り組みも討議されたほど、建設的に行われた。適応と緩和の分野をもっと統合し、地域別に網羅する部分を改善すべきだという声もすべて、今後のUNFCCCのプロセスでのニーズに関して現在、進行中の議論に沿った提案であった。こうした取り組みを現実化するための具体案として、例えば、現在の3作業部会(WG)体制を改編し、1つの作業部会で“問題”やメカニズム(気候科学と影響)に対応、もう1つの部会で“解決策” (適応 と緩和)に対応するといったような2つの作業部会体制にするというアイディアが出された。

すべての作業分野で途上国の参加をいかに増やし、地域のバランスを確保していくかという問題は、IPCCの長年のテーマでもあり、今回の総会でも繰り返し強調されていた。IPCCの今後の作業に関する公式の議論の中で、この問題については新たな革新的な手段で対応を強化する施策が講じられることとなり、技術支援ユニット(TSU)への途上国の参加を増加させるという案や、途上国に新たなTSUを設置するという案などが検討された。

また、透明性やアウトリーチ、コミュニケーションの確保という継続的な課題についても討議されたが、これらは一筋縄ではいかないような問題だ。情報の公開というニーズは、既に複雑化しているプロセスを妨げたり、執筆者や他の報告書の関係者に対して過度の負担や無償奉仕を強いたりしないというニーズともバランスを取る必要があるからだ。

一方、IPCCに対する各国の真剣な取り組みは、IPCCの将来に関するタスクグループに積極的に係わるメンバーになろうと、全体総会に参加していたほぼ全ての加盟国が署名を行ったことでも明らかだ。

会合が終わると、快晴のバトゥミが曇り空に変わっていた。それは、あたかも横浜のIPCC-38やベルリンのIPCC-39で、濃厚に政治的な意味合いを帯びたWG-II や WG-IIIの報告書をまとめなければならない集中論議の行く末を予言するかのように。ただし、今回のIPCC-37は、ちょっと一休みといった案配だったが、IPCCが今後の課題に対処し、国際気候変動交渉での将来の合意に向けて科学的根拠を提供できるはずだという一定の信頼感を与えるものとなった。         

今後の会議スケジュール

モントリオール議定書第25回締約国会合(MOP): MOP 25では、オゾン層破壊物質に関する必要不可欠用途の申請や、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の段階的撤廃、及びハイドロフルオロカーボン(HFC)の段階的削減の加速化による気候便益等などの諸問題について検討する予定。 日程: 2013年10月21-25日 開催地: タイ・バンコク  連絡先: オゾン事務局  tel: +254-20-762-3851  fax: +254-20-762-4691  email: ozoneinfo@unep.org  www: http://ozone.unep.org

UNFCCC19回締約国会議: COP 19、CMP 9、ADP、UNFCCC補助機関会合(SBI 及び SBSTA)がポーランド・ワルシャワで開催される。  日程: 2013年11月11-22日  開催地: ポーランド・ワルシャワ  連絡先: UNFCCC事務局  tel: +49-228-815-1000  fax: +49-228-815-1999  email: secretariat@unfccc.int  www: http://unfccc.int

山岳部の気候変動・水・災害に関する国際会議: 水文学者及び気象学者協会(SOHAM-ネパール) 主催の会議。日程: 2013年11月27-29日  開催地: ネパール・カトマンズ  連絡先: Mr. Deepak Paudel, SOHAM Nepal  tel: +977-9841647398  email: sohamconference2013@gmail.com  www: http://www.soham.org.np/pdf/international-conference.pdf

国連総会 持続可能な開発目標に関するオープン・ワーキング・グループ(OWG) 7回会合: OWG-7で予定されている議題: 持続可能な都市や居住、持続可能な運輸; 持続可能な消費と生産(化学物質および廃棄物を含む); 及び気候変動と防災。  日程: 2014年1月6-10日   開催地: ニューヨーク国連本部 連絡先: 国連持続可能な開発部 email: dsd@un.org  www: http://持続可能なdevelopment.un.org/index.php?menu=1549

IPCC WG-II 10回会合、IPCC-38: IPCC WG-IIでは、AR5の第2作業部会(WG-II)の報告書の承認および受諾を目指す。WG-IIは、社会経済システム及び自然のシステムの気候変動に対する脆弱性や、気候変動に係わるプラスとマイナスの影響、及び気候変動への適応策などを評価する部会。その後に開催される第38回総会(IPCC-38)では、WG-II 報告書の承認を行う予定。日程: 2014年3月25-29日  開催地: 日本・横浜  連絡先:  IPCC事務局  tel: +41-22-730-8208  fax: +41-22-730-8025  email: IPCC-Sec@wmo.int  www: http://www.ipcc.ch/

IPCC WG-III 12回会合、IPCC-39: IPCC WG-IIIでは、AR5の第3作業部会(WG-III)の報告書の承認および受諾を目指す。WG-IIIは気候変動の緩和を専門とする部会。その後に開催されるIPCC第39回総会(IPCC-39)では、 WG-III 報告書の承認を行う予定。日程: 2014 47-13日   開催地:ドイツ・ベルリン  連絡先: IPCC 事務局  tel: +41-22-730-8208  fax: +41-22-730-8025  email: IPCC-Sec@wmo.int  www: http://www.ipcc.ch/

3回国際気候変動適応会議: “適応の未来 2014”と題された本会議は、地域及びグローバルなレベルで、気候変動への適応に関する研究者と同分野に関心をもつ人々とをつなげる 日程: 2014年5月12-16日   開催地: ブラジル・フォルタレザ  連絡先: UNEP  Provia事務局  email: adaptationfutures2014@inpe.br  www: http://adaptationfutures2014.ccst.inpe.br/

UNFCCC40回補助機関会合: SBI 40及びSBSTA 40は2014年6月に開催する。 日程: 2014年6月4-15日  開催地:ドイツ・ボン,  連絡先: UNFCCC事務局  tel: +49-228-815-1000  fax: +49-228-815-1999  email: secretariat@unfccc.int  www: http://unfccc.int

CBD SBSTTA 18: 生物多様性条約の科学技術助言補助機関(CBD SBSTTA) 第18回会合では、海洋及び沿岸の生物多様性や、生物多様性と気候変動との関係、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES) との関係などのテーマを中心に議論する予定。日程: 2014年6月23-27日 (仮)  開催地: カナダ・モントリオール (仮)  連絡先: CBD 事務局  tel: +1-514-288-2220  fax: +1-514-288-6588  email: secretariat @cbd.int  www: http://www.cbd.int/meetings/

CBD COP 12: CBD COP 12は、戦略計画および愛知ターゲット(愛知目標)の実施状況に関する中間見直しを行う。会議のテーマは、“持続可能な開発のための生物多様性”。バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締約国会合はCOP 12直前に開催される。日程: 2014年10月6-17日  開催地:韓国・平昌  連絡先: CBD事務局  tel: +1-514-288-2220  fax: +1-514-288-6588  email:secretariat @cbd.int  www: http://bch.cbd.int/protocol/e-doc/?notification=2036

2014年気候サミット: UNFCCCプロセスを通じた野心的な法的合意を目指した政治的意思を動員するため、潘基文(パンギムン)国連事務総長が主催するイベント。  日程: 2014年9月16日 (仮)   開催地: ニューヨーク国連本部   www: http://www.un.org/climatechange/summit2014/

IPCC-40: IPCC第40回総会でAR5 SYR(統合報告書)の採択及びSPM(政策決定者向け要約)の承認が行われる予定。日程: 2014年10月27-31日   開催地: デンマーク・コペンハーゲン  連絡先:  IPCC事務局  tel: +41-22-730-8208  fax: +41-22-730-8025  email: IPCC-Sec@wmo.int  www: http://www.ipcc.ch/

詳しい情報や日程については、下記サイトでご確認下さい。

http://climate-l.iisd.org/.

用語集

AR4       
AR5       
CLAs     
COP       
GHG      
IAC        
IPCC     
LULUCF
SIDS      
SPM       
SREX
SRREN
SYR       
TFB       
TFI         
TSU       
UNEP
UNFCCC
WG
WMO
第4次評価報告書
第5次評価報告書
調整役代表執筆者
締約国会議
温室効果ガス
インターアカデミーカウンシル
気候変動に関する政府間パネル
土地利用・土地利用変化・林業
小島嶼開発途上国
政策決定者向け要約
気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書
再生可能エネルギー源と気候変動緩和に関する特別報告書
統合報告書
TFI 議長団
国別GHGインベントリに関するタスクフォース
技術支援ユニット
国連環境計画
国連気候変動枠組み条約
作業部会
世界気象機関
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This issue of the Earth Negotiations Bulletin © <enb@iisd.org> is written and edited by María Gutiérrez, Ph.D, Mihaela Secrieru and Hugh Wilkins, LL.M. The Editor is Pamela Chasek, Ph.D. <pam@iisd.org>. The Director of IISD Reporting Services is Langston James “Kimo” Goree VI <kimo@iisd.org>.  The Sustaining Donor of the Bulletin is the European Commission (DG-ENV). General Support for the Bulletin during 2013 is provided by the German Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation and Nuclear Safety (BMU), the Ministry of Environment of Sweden, the New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, SWAN International, the Swiss Federal Office for the Environment (FOEN), the Finnish Ministry for Foreign Affairs, the Japanese Ministry of Environment (through the Institute for Global Environmental Strategies - IGES), and the United Nations Environment Programme (UNEP). Funding for translation of the Bulletin into French has been provided by the Government of France, the Wallonia, Québec, and the International Organization of La Francophonie/Institute for Sustainable Development of La Francophonie (IOF/IFDD). The opinions expressed in the Bulletin are those of the authors and do not necessarily reflect the views of IISD or other donors. Excerpts from the Bulletin may be used in non-commercial publications with appropriate academic citation. For information on the Bulletin, including requests to provide reporting services, contact the Director of IISD Reporting Services at <kimo@iisd.org>, +1-646-536-7556 or 300 East 56th St., 11D, New York, NY 10022 USA.

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